昨年さいごに作ったビラが教育特集だったのですが、今も若干の残りをお配りしています。ここでは主として、傍聴した教育委員会の評価を中心に論じているのですが、大前提として、次の通り問題提起しています:





『教育問題は、何もお子さんのいるご家庭、特に公立小・中学校等へ通わせているご家庭だけの問題ではありません。


国際競争が激化している現在、そして人口減少が著しく進行し、かつ資源の乏しい日本においては一人当たり生産性を飛躍的に向上させる必要があり、そのためには教育の充実は全国民の課題と考えます。また、このために「ゆとり教育」から脱して学習指導要領を充実させる必要がありますが、そのためには公立学校教育の底上げが喫緊の課題です。』




この観点から、注目すべき記事が出ています:




<都内私立高>中高一貫加速で高校入試取りやめ増加
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110129-00000037-mai-soci



”中学校を併設する東京都内の私立高校が募集を取りやめるケースが相次いでいる。中学からの募集だけにして中高一貫体制を整えるためだ。今春は海城高(新宿区)など3校が入試をやめ、全233校の約2割に当たる45校で入試が行われない。来春は東京女学館高(渋谷区)が募集しないことを決めている。人気を集める公立の中高一貫教育校や難関大学進学の実績を伸ばす都立の進学指導重点校への対抗意識もあり、公立復権を背景にした“都立校VS私立校”の競争に拍車がかかりそうだ

 今春から募集を取りやめるのは、海城高のほか東京純心女子高(八王子市)、富士見高(練馬区)の2校。

 難関大への進学実績の高さを誇る海城高は昨年5月、高校の募集を取りやめることを公表した。同校の茂木雅之教頭は「知識を与えるだけでない教育をするためには、中学高校の計6年で生徒を見られる方がいい。20年前から考えてきた」と説明。さらに「都立の進学指導重点校など首都圏の公立校の取り組みも踏まえて総合的に判断した」と公立校への対抗意識も口にする。

 東京純心女子高の原田泰宏教頭は「公立校が進学を重視するのは我々にとって脅威」と打ち明ける。また入試の倍率が低下傾向にあったことも一因という。入試問題作りや募集の労力の割に入学者は少なく「メリットは多くなかった」という。

 都私学行政課によると、02年度は都内の私立235校のうち募集をしない高校は37校だった。その後増加傾向にあり、11年度は45校。12年度も東京女学館高が決めている。

 一方、都教委も私立校を意識し「進学実績での公立復権」を目指す。難関大学合格者を増やすために、01年度以降、日比谷高(千代田区)や西高(杉並区)など7校を進学指導重点校に指定。日比谷高の東京大合格者は、01年度の3人が昨春は37人に伸びた。7校全体でも49人から83人と実績を上げている。

 さらに公立の中高一貫校も次々設置され、10年度は17校。うち10校の今春入試の応募倍率は平均7・46倍(一般枠)と人気は高い

 中学受験に詳しい森上教育研究所の森上展安所長は「公立の進学指導重点校や中高一貫校で進学指導に力を入れれば、保護者の公立校への期待が膨らむ。公立校にとって確実に追い風だ。対抗する私学が『中高一貫』を徹底するのは経営戦略上、当然の動き。しばらくはこうした傾向が続くのでは」と話す。”




***




私は幸い、中高一貫(ただし、中学からの持ち上がり150人、高校からの入学者100人、というミックスですが)教育を受け、これはありがたかった、と親に感謝しています。



実際に教わる内容として、中学・高校ではちゃんと連続性があり、小中一貫よりも連携させるメリットが大きい。途中で高校受験のために、敢えて中学過程で停まらせて受験テクニック競争に走るよりも、場合によっては高校内容まで進ませて基礎を徹底させる方が後の応用も利きます。




以前、このブログでも提唱したように、実際上、高校がほとんど義務教育化している現在、これをハッキリと義務化させて、指導要領の連続性・一貫性を改善させた方が習うもののためでしょう。




また、実際にウチの学校もそうでしたが、途中で高校受験が無いので、部活を継続できるなど、勉強以外のメリットも大きい。




***




いわゆる難関校への合格率という指標には抵抗があるでしょうが、それを一つの目標として指導に力を入れる、結果として子ども達の勉強の基礎がみっちり入る、という点では、都教委の取り組みは評価できます。




私立に通わせている場合も、学校側が伸びつつある公立に対する競争心でしっかり取り組んで貰えるのであれば相乗効果は大きいと言うべきでしょう。