脳型AIは自ら学ぶ、理研など開発へ　データ枯渇に対応　Deep Tech　技術の地平 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

「脳型AIは自ら学ぶ、理研など開発へ　データ枯渇に対応　Deep Tech　技術の地平」（日本経済新聞）がちょっと面白い。

「脳の情報処理の仕組みを生かした脳型AI（人工知能）の開発が始まった。今のAIは良質な学習データの枯渇が懸念され、性能向上の限界点が指摘される。少ない情報で学び、人のように未知の課題に取り組めれば、汎用人工知能（AGI）と呼ばれる万能AIにつながる可能性がある。」

「東京大学のAI研究者である鈴木雅大特任助教は「すでに莫大な言語データをAIは学習したが、人間のように賢くなっていない」と話す。

　質問に対して意図していない回答や誤った情報を正しいと提示する「ハルシネーション（幻覚）」を起こしたりする。AIが今後も進化し続け、ヒトのような知性を得るには「自律的に世界を学ぶ仕組みが必要だ」（鈴木特任助教）という。

　ヒトの場合、生成AIのように莫大なデータを学習せずとも、相手と会話したり、モノを作ったりできる。少ないデータでも効率的に学習し、自ら学び続ける仕組みが脳にはある。未知の物体を見ても形からどんな物か想像できるが、現状のAIはデータに無いことに対応できない。」

「日々の会話から相手の性格を予測したり、モノの構造を予測して発明したりなど、脳は予測と修正をくり返し高度な知性を作り出す。脳が世界を予測する仕組みを応用できれば、いずれヒトのように考えるAGIの開発にもつながる可能性がある。

　基本原理は数理モデルとして提唱されているが、実際に脳にどのように基本原理が実装されているか詳細な仕組みは分かっていない。

　磯村氏らはまず、生物学や医学の研究者がマウスやサル、ヒトの脳の活動状況を記録し、得られたデータを基に情報工学の研究者が脳のモデルを構築する。」

「ロボットを用いて脳の仕組みを解明する取り組みもある。沖縄科学技術大学院大学の谷淳教授は、ヒトが自身の置かれた環境を客観的に認識する「メタ認知」の仕組みをロボットで再現する研究を進める。」

「海外では予測して学習する性質を生かした「世界モデル」と呼ばれるAIの開発が進む。英ディープマインド（当時）が23年に発表したAIは、大量のデータを用意せず、人気ゲーム「マインクラフト」の仕組みを自ら学習し、設定課題を解いた。脳はより複雑な現実世界を予測できる。性能を高めるには脳を深く理解する必要がある。

　各国は脳研究に力を入れる。米国の「ブレイン・イニシアチブ」では25年までにヒトの脳細胞を詳細に記録した地図の作製や脳を精密に調べる機器の開発を目指す。中国でも脳型コンピューター技術などの開発を掲げる「中国脳計画」が進む。」

東京大学の船水章大講師はマウスの大脳の広い領域に予測する神経細胞が存在することを見つけた=東大の船水講師提供

小松　仁

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