優しさに包まれて知らない間に時間だけは過ぎ去っていく。どんなに願っても元には戻らない。ムッとする空気の中で、今自分はただ生きている。愛する息子の好きだった音楽が流れている。目を閉じると息子の大きな愛の力で優しく包まれている。ありがとう。
魂生きている限り、いつかは死ぬ。こんな当たり前の事さえ気にせず、毎日生きて来た。息子の突然の死によって一番大切な事を知った。今の自分は、生きていく目的を失ないどうして行けばいいか、分からない。息子の魂は今何処に居て、何をしているのか?何をしていても考えてしまう。
遺してくれた物私の人生は決して人に誇れるものではない。自分勝手に生き家族の事を考えず、普段家にも寄り付かず金を渡す時だけ立ち寄っていた。息子が中学生になってからの思い出は無い。今息子の写真を探しアルバムにしているが、知らない写真が多くて今更自分は何をしてきたのか。息子は音楽が好きで特にクラシックのCDがかなり残っている。同じ楽曲をいくつかの演奏家で聴き比べていたようだ。その一つひとつを記憶にとどめ、その知識やセンスは専門家も認める程だったと後に知った。息子の才能を活かしてやりたかった。何も語らぬ息子の代わりに、彼の愛した音楽が今も流れている。