ITの分野では、媒体(メディア)によって記録・伝送される、人間にとって意味のあるひとまとまりの情報のことをコンテンツと呼ぶことが多い。文字、図形、音声、画像、動画やそれらの組み合わせで、特に、これらをデジタルデータとして一定の形式で表現・記録した「デジタルコンテンツ」のことを略してコンテンツという場合が多い。

具体的には文章、映画、テレビ番組、音楽、演劇、写真、マンガ、イラストレーション、コンピュータグラフィックス、アニメーション、ビデオゲームなどがコンテンツに含められることが多い。これに対し、コンピュータプログラムや、プログラムと処理対象のデータを組み合わせたものを「ソフトウェア」というが、ソフトウェアに含まれる処理対象のデータのことをコンテンツと呼ぶこともある。

ソフトウェアという語は広義には「映像ソフト」のように、プログラムの存在を想定せずひとまとまりの情報を意味する用法があり、その場合はコンテンツとほぼ同義となる。ビデオゲームのようにプログラムも含めて人間の観賞(体験)に含まれる場合もあり、ソフトウェアとコンテンツは厳密に区別されるわけではない。

また、一般の外来語として、劇場で上演される演目や、映画館の上映作品、施設で開催される行事などのことを、施設や場所と対比して、そこで催される内容という意味でコンテンツと呼ぶことがある。

デジタルコンテンツ

文字や画像、図形、音声、映像などの視聴覚的な表現をデジタル形式で表現、記録したもの。ビデオゲームのように、それらを表示・再生したり閲覧者の操作に合わせて変化させたりするコンピュータプログラムなどを含む場合もある。

あるデータ形式に従って0と1の組み合わせによって表現されたコンテンツのことで、コンピュータで直に記録や処理ができ、加工や複製、伝送が容易、記録媒体や伝送媒体の状態による劣化や変質が起きにくいという性質がある。同じ表現内容を記録したものでも、例えばアナログレコード盤に記録された音声はアナログコンテンツ、CDに記録された音声はデジタルコンテンツとなる。

キラーコンテンツ (キラータイトル)

ある機器やサービス、ソフトウェアなどが大きく普及するきっかけとなる、特別に人気の高い対応製品や提供内容などのこと。

コンピュータのように汎用的、基盤(プラットフォーム)的な製品は、登場して間もないうちはそれ自体の機能や性能、構成要素などは魅力となりにくく、「それで何ができるのか」(見られるのか、遊べるのか)「何の役に立つのか」といった点をアピールできなければなかなか普及は進まない。その際、多くの人が魅力に感じ、その製品を購入・導入する動機付けとなるような内容のことをキラーコンテンツという。

例えば、新しい家庭用ゲーム機が発売されたときに、同時に人気ゲームシリーズの新作がその機種向けに発売されれば、そのシリーズのファンが新作を遊ぶことを目当てにその機種の購入するようになる。このような場合に、その新作ゲームはそのゲーム機にとってのキラーコンテンツであるという。このような関係は工業製品だけでなくサービスや施設、社会インフラ、技術規格などでも目にすることができ、IT分野ではパソコン普及における表計算ソフトワープロソフト、インターネット普及における電子メールやWeb(WWW)などの例が有名である。

キラーコンテンツがメディア作品(ビデオゲーム、映像、音楽など)の場合にはこれを「キラータイトル」ということがある。また、コンピュータ製品や、OSなどの基盤的なソフトウェア製品におけるアプリケーションソフトがキラーコンテンツの場合には「キラーアプリケーション」(キラーアプリ)あるいは「キラーソフト」などと呼ぶこともある。

コンテンツプロバイダ (コンテンツホルダー)

他の事業者にコンテンツを提供・販売する事業者のこと。コンテンツの消費や販売の「場」となる機器やサービスなど(プラットフォーム)に対し、実際に利用されるコンテンツを提供する主体のことを指す。

例えば、ポータルサイトのニュースコーナーに記事を配信する新聞社、電子書籍販売サイトで電子書籍を販売する出版社、音楽配信サービスで楽曲を配信するレコード会社などが該当する。一方、コンテンツ流通の場を提供する事業者は「プラットフォーマー」「プラットフォーム事業者」などと呼ばれる。

一般にはコンテンツの販売元や発行主体を指し、出版社と著者、レコード会社と作詞家・作曲家・実演家の関係のように、必ずしも権利者(権利保有者)とは一致しないが、権利者のことをこのように呼ぶ場合もある。

コンテンツアグリゲータ (content aggregator)

他の事業者が公開・提供しているコンテンツを収集し、利用者へ整理された一覧を提示したり、コンテンツそのものを配信・販売したりする事業者のこと。そのようなサービスやソフトウェアを指す場合もある。

価格比較サイトやニュースリーダーのように、インターネット上で公開された情報を収集し、一覧や比較などができるようまとめたものを指す場合と、ポータルサイトや音楽配信サービスのように、コンテンツの発行主体から内容の提供を受け、配信や販売などを行う場を運営する事業者を指す場合がある。