板前日記

板前日記

1999年 web日記とよばれた時代から書き続けている店主の日々の記録です。
板前の日常を垣間見ることで、パンフレットでは書ききれない店の姿勢までうかがえるかもしれません。

Twitterで「いいね」を普段より多めに頂戴したお話です。

同じ町内には代々お付き合いのあるお店があります。

豆屋さんもそんな一軒です。

ご主人はもう70代に入ろうかという年配で独身。部外者が見ればやる気があるのかないのか?という仕事っぷりで、品揃えも長年変わらず変化がありません。

しかしながら多くはない品々の一つ一つが極上品であることはほとんど知られていません。
 
いつも使っている黒豆 小豆 大豆 花豆 とら豆 どれもが他では手に入らない一級品です。

尋ねなければどこにあるのか見えない真昆布 利尻昆布などは、他の乾物屋さんが「あのレベルを仕入れるのは難しい」というほどの品質です。昆布の場合は新規参入で極上品を手に入れるのは無理というくらい長年の付き合いがモノを言う分野なのだそうです。

とはいえ、極上昆布で出汁を取る家庭は皆無、自宅で豆を焚く方も減り、マーケットで出来上がったものを買ってきたり、缶詰で済ませる方が多い上に、豆を食べる習慣自体がないのです。料理屋でさえ、豆を多く使う店は少ないかもしれません。

コンビニの棚を思い返してみてください。煮豆はあったでしょうか?

そんなわけで豆屋さんの商売は地味になのは仕方がありません。


つい先日、すぐに隣に新しいチョコレート屋さんができて、連日の行列が続いています。

行列を作る方々は、横にある何を売っているのかよくわからない店に、極上品が並んでいることは一生知ることがないはずです。

チョコレート屋さんが何年続くかわかりませんが、100年以上続く店の底力が知れれないままなくなるかもしれないのは残念なことですが、それが今の日本。私は地道に豆を使っていきます。だって美味しいんですから。