神津:「けど田舎はいいよ。差別がねぇからよ」
金八:「いやぁ差別しちゃいけませんよ。田舎にだって差別くらいありますよ。ねぇ、そんなの気にするからよくないんですよ」
加藤:「いや、俺はこだわる。俺は許せねぇ!」
金八:「あのねぇ、加藤ねぇ・・・」
加藤:「親父がいなくなってから、急に俺たちをばい菌扱いしやがって何が隣り近所だ。学校だってそうだよ。目つきが悪くなったと陰口をたたきやがる。そんな風に差別された人間の気持ちがどんなものか、あんたにわかるか?」
金八:「あー、わかってたまるか!」
加藤:「見ろ!それが本音だ!」
金八:「ふざけるなよ。ええ? 差別してんのはどっちだよ。俺が教師というだけで、お前、変な色眼鏡で見てさ、差別してんのは君たちの方じゃないかよ。なんだぃ、差別差別ってあんた、錦の御旗みたいに振り回すな、このバカチンどもが」
神津:「言わしとけばこの野郎が!」
金八:「あ、よし、じゃあんたに聞こう、あんたに聞こう、え? そもそも義務教育とは何だ? そもそも義務教育とは何だ? はい、答えてごらん? はじめっから答えてごらん、あんた。え? 義務教育とは何だ、ほら?」
神津:「頭へ来るぜ、まったくもう・・・」
加藤:「俺は認めねぇぞ、そんなもの。誰が決めたのか知らねぇけどよぉ!行きたくもないのに義務だから来いなんて人権蹂躙だよ!」
金八:「加藤、だからお前バカだっつんだよ」
岸森:「おい、いい加減にしなよ」
金八:「いい加減にされたくなかったら聞きなさいよ、ねえ、教育をこの受けさせる義務、それはね、小学校から中学校まで、親、国、自治体にあってね、加藤優、お前にあるのはね、教育を受ける権利があるんだ。お前は教育を受ける権利者なんだ。なあ。教育を受けなければならない義務があると思い込むのがそもそもの間違いなんだよ。ねぇ」
岸森:「聞いたことねぇなぁ、そんな話・・・」
金八:「だったら終いまで聞きなさいよ・・・」
(昭和55年放送『3年B組金八先生』第2シリーズ第6話より)