焼きそばでした。
何が焼きそばなのかお伝えしますね。
まず、混ぜるさまが、です。
混ざり方の中で何が生まれるのかはわかりません。
それでも念入りに混ぜて参りますと、やがていっしょくたに混ざり、
最初にあったもの、加えたもの、どちらでもないものになるのです。
まず、とても見た目が重要なのだと言えますね。
見た目そのままで捉えられる文様を「さま」と言い、
この国『ビハシャン』ではたいへん重んじられていました。
他に重要なものとして「ふり」があります。
こちらは動きのことです。
たとえば焼きそばを焼く時のコテの、かっしゃかっしゃ言う具合です。
かっしゃかっしゃの音はふりではありませんが、
かっしゃかっしゃ言わせる時のふりは、ふりなのです。
手のひらの返しです。その軌跡を見てください。
これも文様ではありませんか!
この、ふりについてはビハシャンではあまり重んじられていませんでした。
これらの焼きそばの現象の中で表れる二種の文様を見て行く時、
それは決して焼きそば然としていません。
不思議なことです。
さまとふりを見せながらやがて変化して行き、
文様を残しながら、どちらでもないものに至る…
この一連を焼きそば焼きと理解するなら、
ようやく物語を読むことの準備ができたと言えましょう。
そのような瞬間とその後の顛末についてお話をしましょう。

