1983年夏の映画興行。

まだこのころは、邦画系のブロックブッキングがあって

(東宝・東映・松竹が全国一斉で

日本映画を基本2本立てで4週間毎くらいで

公開していくシステムを邦画系と呼んでいた)

この夏の邦画系は各社とも、一勝一敗。

それでも各社、1番組は10億の配収をあげたのは

すごいことだと思う。


まずは東宝系。

ちょっとイレギュラーな事態が。

7/2から松田聖子の「プルメリアの伝説」と

武田鉄矢の「刑事物語2」


話を洋画系に移しますが、

夏までの東宝洋画系は、数本のヒットしかなく

厳しい状態で、

有楽座では、6/18から神代監督の「もどり川」、

日比谷映画では、6/11からアルジェント先生の

「シャドー」。

もどり川は前番組がコケて、他劇場で公開の予定を

前倒しての、2週間公開。

シャドーは、南極物語までの6週間を乗り切るつもりでいたのか…?


で、話は戻って、邦画系。

東宝系はめずらしく、大人向け?の作品を立て続けに公開し、

5月公開の市川崑監督の細雪がまずまずのヒット。

とにかく、中高年層の女性に受けたから、

平日の稼動が良かったんではないかと。


そんなこんなで、日比谷映画でシャドーを3週間公開のあと、

7/2からは、邦画系の「プルメリアの伝説」を公開!

邦画系のチェーンマスターである千代田劇場では

細雪を続映し、

南極物語までの期間を持ちこたえたのだが、

空きができたから、と言って

日比谷映画で邦画系の封切りをする、というのが、

異例っちゃ異例。


それまで、松田聖子は、1981年に東映系で主演作「野菊の墓」を公開したが、

爆発的なヒットとまではいかず、

その後、東映☓角川のタッグが始まり、企画が塩漬けになったのか、

東宝系で、新たに映画主演。

まぁ、野菊の墓は、山口百恵の系譜から

古典文学の映画化だったが、

野菊の墓の頃は普通?のアイドルとして、

男性ファン主導でぶりっ子と揶揄されていたのに、

赤いスイートピーがヒットして、女性ファンを獲得するや

聖子ちゃんカットと呼ばれるヘアスタイルをはじめ

正に一世を風靡し、

この映画もターゲットを変えて、日本の古典?文学の映画化をやめて、

現代の話にして(とはいえ、大映テレビのような展開のようだったが)

期待以上のヒット。配収10億ごえ。


問題はその後の「嵐を呼ぶ男」

これも、当時は土曜封切りが通常なのに、

わざわざ8/4にしたのに(夏休み需要対応のため?)

期待及ばす。

前年の「ハイティーンブギ」が20億近い配収だったのに、

最終的に半分の8億台。そこそことはいえ、前作の配収からして

期待は相当、高かったろうが、

何せ、当時ですら、なぜ裕次郎の映画をリメイクしたのか?

誰がこのリメイクを見たいと思い、かつこの企画を通したのか、謎…

固定ファンが公開初週で押しかけたあとは

リピーターもつかなかったのか、

途中から(夏休み最中から)ハイティーンブギを

同時上映につけるという無謀な策に。

このあと、企画が進んでいたと思われる正月

トシちゃん主演の映画をもって

たのきんの映画は終了となる。


で。東映系。

7月はこれまた某事務所案件、シブがき隊の「ヘッドフォンララバイ」と「パタリロ!」

昨年夏は1作目の同じシブがき隊の「ボーイズ&ガールズ」で

デビューの勢いと森田芳光監督のいわゆる商業映画初監督で話題となり、

かつ同時上映が「Dr.スランプ!」の初映画

鳥山明の監修の元での長編作で

(こちらがメインだった印象)

そこそこのヒットだったので、企画としてはまんま第2弾といった感じだったが

シブがき隊の人気も落ち着き、パタリロ!もそこまでの集客できず

なんとか規定の上映期間を乗り切った感じ。

しかし、8月は東映らしく

ジャパンアクションクラブ総動員のマンガ実写化

伊賀野カバ丸と

東宝東和と取り合いになった挙げ句、

お蔵入りになってたジャッキーチェンの天中拳の

セットで10億超え。

このセットでたのきん超えは、してやったりな感じ。


そして、松竹。

もちろん、盆暮れ恒例の男はつらいよは10億超えで

安定の興行。

(比較的に正月の方が稼働がよいし、わりと同時上映作に左右されてたし)

大作・話題作の中で大きく落とさなかったのは、流石。

問題はその前の7月…

サンライズ制作の

中篇「ザブングル」と「ダグラム」のセット…

ガンダムのヒットで鉱脈見つけたという感じで

その前の年も「イデオン」で、

春には完全新作で「クラッシャージョウ」と

松本アニメとは違う意味でやり過ぎ感じが。

(ガンダムは別格として、固定ファンもそれほど…で、一般にそこまで浸透もしておらず)

ネタがなかったのか、やっつけだったのかはわからないが、

都内の松竹系では、午前だけアニメ、

午後からは洋画系でそこそこのヒットだった

「戦場のメリークリスマス」のムーブオーバー…

夏のかき入れどきに、2週目から

しかも系列とはいえ、洋画系(松竹富士)の

映画をかけてまで、寅さんまでしのぐとは。

寅さんも年2本の公開で封切を早める余裕もなかったのだろう。

あと、いくら系列とはいえ、洋画系の作品をかけるとは…

(さすがに、いくらコケても、東宝邦画型で

東宝東和の配給先をかけたことはなかったと思う)


と、いうことで、邦画系は多少、当り外れはあったものの、各社、10億超えを確保したのは

ホントにすごい。