母親からの暴力、覚醒剤の常用、売春の強要、それが21歳の杏の人生の全てだったー
日常と化した地獄で、杏は抵抗する事無く生きていた。それが彼女の日常だったからだ。何も与えらず、全て搾取される。ただそこに産まれてきたというだけで、彼女の人生は決まってしまっていた。
子は親を選んで産まれて来れない。だが決して、子は親の所有物ではない。産んでやった、育てやった、そんな理由で子の人権を奪ってはいけない。親は子に、産まれてきてくれた、育ってくれた、そう思わなければならないのだと感じる。
愛される喜び、愛する喜び、必要とされる喜びー
初めて触れる感情に、不器用ながらも生きている幸せを感じる杏。
その喜びがエゴや偽善に塗れていたと知り、再び絶望の淵に立たされても、一緒に食べたラーメンの味を杏は決して忘れる事は無いだろう。
