超速効型インスリンの量はしばしば食後2時間の血糖値で
調整するように指導されます。
*これは2型糖尿病の研究で食後血糖と言えば、2時間値を指すためです。


しかし、超速効型インスリンは食後3.5時間くらいまで
緩やかに血糖値を下げ続ける可能性が示唆されております。


私個人の意見:
食後2時間値をターゲットにして、食後3-4時間後の低血糖が多い方は、
食後3-3.5時間くらいの血糖値をみて超速効型インスリンの量を
評価するのが良いかもしれません。


担当医によって意見の分かれるところですが、
私個人や職場の大先輩、
また、「糖尿病のあなたへ かんたんカーボカウント(医薬ジャーナル社)」
でも食後3.5時間後の血糖測定を推奨しています。
みなさまのご意見をお聞かせ下さい。

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登場人物
Aさん(32) 大学職員 1型糖尿病歴3年
Tさん(32) 糖尿病専門医


午後3時の昼下がりのできごと

A:「昼12時に血糖124でノボラピッドを6単位打ったのですが、
  2時の血糖値が120でうまくいってると思いました。
  しかし、
  いまさっき血糖値が68だったから、ブドウ糖飲んだんです。」

  「ノボラピッドは3時間くらいで血中から消失しているわけだから、
  さっきの低血糖は昼の基礎インスリンが多いってことですよね?」


T:「よく勉強されていますね☆
  しかし、先ほどの低血糖は昼のノボラピッドの影響かもしれません。」


A:「え!?でも血中にインスリンはないんですよね?」


T:「たしかにノボラピッドは3時間くらいでほとんど血中から消失します。
  しかし、3時間後でもノボラピッドはわずかに残存します。
  また、肝臓に対するインスリンの効果は、
  血中からインスリンが消失した後も遷延するんですよ」


A:「肝臓に対する効果?」


T:「はい。肝臓は空腹時にはブドウ糖を放出します。
  インスリンは肝臓からの糖の放出をストップさせてしまいます。
  たとえ、インスリンが血中から消失していたとしても、
  肝臓ではさらに1時間くらいインスリンの効果が持続しているんです。」


A:「ノボラピッドの量は食後2時間の血糖値が
  上がらないように設定するように指導を受けていますが、、」


T:「1型糖尿病のように繊細な血糖変動の場合、
  2時間値であわすと、しばしば食後3-4時間で低血糖になります」


A:「では食後どのくらいの血糖値をみて、
  ノボラピッドの量を評価すればいいのですか?」


T:「食後3時間あるいは3時間半後がおススメです!」

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ノボラピッドの血中濃度(上)と、
注射後の血糖値の変動(下)をみてみましょう!

↓ノボラピッド注100単位 添付文書より抜粋
糖尿病を理解して ストレスフリーな毎日を!


たしかに血中濃度は180分でほぼ消失していますね(上)。
しかしよく見ると、わずかながらノボラピッドは残存しています。


さらに先ほど述べたように、肝臓がまたブドウ糖を放出するように
なるのは、血中インスリンが消失したさらに1時間以上後です。


実際に血糖値の復帰も180分では完全に戻っていないのがわかります(下)。
ここへ運動などの要素が加わると、簡単に低血糖になってしまいます。


もしインスリン注射後3-4時間後の低血糖が多いようなら、
超速効型インスリンの量は3時間後を参考にしてみてください。


2時間がやっぱり一番!!
という方もコメントお願いします!


このあたりは、実験するのが難しく、エビデンスが欠如してます。
食後2時間で評価していてうまくいっている方は、いままでどおりでやってください。
もし、食後3-4時間後に低血糖があるようでしたら、3時間後の評価をおススメします。
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