台湾へ行ったとき、センチュリー21が〝21世紀不動産〟であったり、ファミリーマートが〝全家便利商店〟であることに「なるほどなぁ」とつくづく感心した。

海外ではこうした〝面白い漢字〟に遭遇することがちょいちょいある。


かれこれ20年くらい前になるか。
メキシコのチチェン・イッツァでのこと。
いかにも〝テストステロン投与してます〟という不自然な筋肉の男性と、それとは対照的に華奢な女性のカップルがいた。二人とも年の頃は20くらい?どうやらアメリカ人らしい。

男の腕には漢字のタトゥーが。なんて書いてあるのか確かめようと、目を凝らして見ていると、

hey, what are you looking at? What’s your problem? 
(おい、なに見てんだよ。おめぇ何なんだ?)

と言われた。

いや、ちょっとタトゥーを見ていただけと告げた次の瞬間、それまで遠目に見ていたタトゥーの全貌が明らかとなり、思わずププッと笑ってしまった。その屈強そうな腕にはこう彫られていた。





           尼





いやぁ〝尼〟って...

しかも左右反転して鏡文字になっている。
女性がニコニコしながら興味深々に、

What does it say? 
(なんて書いてあるの?どんな意味?)

と訊くので正直に答えた。

No offense but it says a ‘nun’... you know, a nun like a female monk... and it’s umm... left-right reversed.
(怒らないでね。それは〝アマ〟っていう意味。そう、女性のお坊さんの、あの〝尼〟ね。それと... 左右逆なんだよね)

女性は大爆笑。男は顔を真っ赤にして今にも殴りかかってきそうであったが、女性が腹を抱えながら止めてくれた。

今思えば悪いことをしたと思うが、ぼくもまだ若かった。



日本国内でも〝痛い英語〟をよく目にする。

これは単に誤植だと思うが、シャルドネが〝シャルドネップ〟になっていたり...


‘orange’ が ‘orenge’ になっていたり...


‘flavor’ が ‘flever’ に...


ラズベリーの情報源?
‘source’ → ‘sauce’ 


モスコミュール
‘Moscou’ は ‘Moscow’ の誤り。
キューバリブレ
‘river’ ではなく ‘libre’ 

まぁスペルの間違いについては〝気持ちはわかる〟ものが多い。でもこのキューバリブレならぬ〝キューバリバー〟(キューバ川?)のように、違う単語になってしまうとトンデモナイ意味になってしまうので注意が必要である。



表参道にある Clinton St. Baking Company のエッグベネディクトが好きでよく食べに行ったが、ある日、店内のチョークボードに ‘Spring Pee Soup’ と書いてあった。おい、ちょっと待ってくれ。



春のおしっこスープ?



さすがにこれは放っておけず、お店の人に言ってすぐに書き直してもらった。 ‘Pee’ (おしっこ)ではなく ‘Pea’(豆)ね。


同僚の結婚式の引出物の中に入っていたのがこれ。
 ‘Just Married’ (たった今、結婚しました)のはずが ‘Just Marriage’ (たかが結婚じゃん)になっていた。下の小さく書かれている英文もめちゃくちゃ。




メニューはいくらでも作り直せるが、タトゥーを入れるときは慎重に。