平凡神経内科医の「ズーキー」戯言

平凡神経内科医の「ズーキー」戯言

昭和終盤生まれの30代医師、神経内科勤務医をやっております。
神経内科のイメージ一新目的(?)にブログを始めました。

少しの間更新してみて、何か目標を立てていきたい、資格取得したいなと思い始めました。
突然にブログのタイトルが変わるかも?

2021/07/19更新

Amebaでブログを始めよう!

今回は治療です。

 

●急性型神経ベーチェット病(acute NB)

急性型神経ベーチェット病の急性期に中等量以上の副腎皮質ステロイドが投与され、症状の重症度によってはステロイドパルス療法が施行されます。

その疾患の発作予防については、コルヒチンを使用されている例で有意に再発が少なかったとされていますが、AZA:アザチオプリン;イムラン、CPA:シクロフォスファミド;エンドキサン、MTX:メトトレキサート;リウマトレックスカプセル・メトレートは再発に有意な影響を及ぼしませんでした。

また、ベーチェット病の難治性ブドウ膜炎に対して有効性が確認されている抗ヒトTNFαモノクローナル抗体:インフリキシマブ;レミケードは、それの再発予防効果が期待でき、2015年に保険適応になりました。

 

なお、CyA;シクロスポリン;ネオーラルは急性型神経ベーチェット病を誘発することが知られていますので、使用している場合には中止が必要です。

 

●慢性進行型神経ベーチェット病(CPNB)

慢性進行型神経ベーチェット病に対しては、副腎皮質ステロイド、AZA:アザチオプリン;イムラン、CPA:シクロフォスファミド;エンドキサンはいずれも無効であり、髄液IL-6は低下せず、症状は進行します。

一方で、MTX:メトトレキサート;リウマトレックスカプセル・メトレートの少量パルス療法が有効であることがこれまでに研究によって示されており、MTXは予後を有意に改善することが明らかとされています。

 

MTXへの反応の不十分な難治性の慢性進行型神経ベーチェット病に対して抗ヒトTNFαモノクローナル抗体:インフリキシマブ;レミケード5mg/kgを0、2、6、14週の4回投与も行った結果、髄液中のIL-6は速やかに低下し、その後も低値が存続する傾向を示し、投与開始24週後において神経症状と脳MRI上の脳幹の萎縮の有意な進行は認められていないとった報告もあります。

 

以上の結果を総合して、2014年に厚生労働省の研究班より、急性型神経ベーチェット病(acute NB)・慢性進行型神経ベーチェット病(CPNB)の治療指針が策定されています。

 

 

以上です。

 

 

今回は神経ベーチェット病です。

 

ベーチェット病は、再発性口腔内アフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍、眼病変を4大主症状とする炎症に基づく症候群です。

上記4主症状を示す完全型とそうでない不全型に分類されます。

また、特殊病型として血管ベーチェット病、腸管ベーチェット病、神経ベーチェット病の3つがあります。

ベーチェット病における中枢神経病変は上矢状静脈洞血栓症などの血管病変に起因するものと、脳実質に起因するものに分けられ、後者の頻度が圧倒的に高く狭義の神経ベーチェット病(neuro-Behçet’s disease:NB)とされています。

そして、神経ベーチェット病は急性型と慢性進行型の2つに分類されます。

 

 

●急性型神経ベーチェット病(acute NB)

急性型神経ベーチェット病は、多くは髄膜脳炎の型を取ります。

それに加えて片麻痺や脳神経麻痺など様々な脳局所徴候を伴うことが多いです。

そしてその障害部位は、MRIのFLAIR画像において高信号病変として現れます。

髄液検査では、髄液細胞数・髄液蛋白濃度の上昇を示し、特に髄液IL-6が顕著に上昇します。

そして、一般的にステロイドに対する反応性は良好ですが、無治療でも自然に軽快することがあるようです。

 

●慢性進行型神経ベーチェット病(CPNB)

急性型神経ベーチェット病とは異なり、ステロイド治療に抵抗して認知症などの精神症状が進行し、最終的には廃人同様になってしまう一群が存在することが報告され、それが慢性進行型神経ベーチェット病です。

慢性進行型神経ベーチェット病の患者では、急性型ベーチェット病の発作が先行して出現した後に、数年の経過で認知症・精神症状や構音障害・体幹失調が出現し、それが緩徐に進行します。

男性での発病率が多く、HLA-B51陽性の頻度と喫煙率が極めて高いとされています。

検査所見では、髄液中の細胞数・蛋白濃度は軽度の上昇であるにも関わらず、慢性進行型神経ベーチェット病では髄液IL-6が持続して17pg/mL以上の高値のまま推移します。

また、発症早期に2年以内に最も顕著に脳幹萎縮を呈し、この萎縮の程度は同期間の髄液IL-6の積分値(AUC)と相関するようです。

 

診断は以下の基準に当てはめます。

 

 

以上です。

 

 

今回は鑑別疾患と治療です。

 

鑑別診断に有用な生理検査としてはexercise testがあります。

短時間の運動負荷で麻痺が出現するか否かを再現するshort exericise testと、運動後しばらくしてから麻痺が出現するか否かを再現するprolonged exercise testとがあり、その結果により原因遺伝子を推定するFournierらによる分類が提唱されていますが、特異度は高くないようです。

 

次は治療です。

周期性四肢麻痺の治療は、発作急性期における急性期治療と発作簡潔期における予防とに分けて考える必要があります。

 

発作急性期の治療は、不整脈の発生など生命予後に関わり得る血清K濃度及び心電図のモニタリングを行い、バイタルの安定を図ることが最重要です。

 

麻痺発作予防のための治療は、各病型に沿って誘因を避けることが重要です。

 

甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の予防には、抗甲状腺薬投与による甲状腺機能の正常化を図ります。

 

一次性低K性周期性四肢麻痺(HypoPP)の予防には、高炭水化物食や糖分・ナトリウムを多く含むジュース類を避け、Kを多く含む果物などを摂ることが勧められます。

アルコール多飲や非日常的な激しい運動を避けることも重要です。

アセタゾラミド;ダイアモックスが予防薬として使われることもありますが、有効とされる例は約50%で、症例によっては無効(30%)あるいは増悪(20%)させることがあります。

使用する場合には、一般に1日量250~500㎎を食後に分服します。

徐放性K製剤や抗アルドステロン薬;スピロノラクトンも時に有効です。

 

遺伝性高K性周期性四肢麻痺(HyperPP)の予防には、寒冷を避け保温し、空腹にならないように高炭水化物食を品秋に摂取すること、カリウムを多く含む果物やジュースを避けることが勧められます。

また、長時間の安静・座位を避けて、途中で体を動かすことなどが有効です。

サイアザイド系利尿薬(スピロノラクトン;アルダクトン)、ループ利尿薬(フロセミド;ラシックス)などは少量でも予防に有効なことが多く、アセタゾラミド;ダイアモックスも予防薬として用いられます。

ミオトニーが強い場合には、メキシチールの服用を考慮します。

 

二次的なリスクとして、周術期の合併症・症状の悪化が挙げられます。

低カリウム・抗カリウム性のいずれでも、悪性高熱のリスクの上昇、麻酔前後の筋力低下などに対する注意喚起がされているようです。

 

以上です。

 

 

今回は周期性四肢麻痺です。

 

周期性四肢麻痺は、発作性の四肢弛緩性麻痺を呈する疾患です。

一次性(遺伝性)のものと、二次性(内分泌・腎疾患などに随伴する)のものとがあります。

また、発作時の血清K値により、高カリウム性、低カリウム性とに分類されます。

 

一次性低カリウム性周期性四肢麻痺(HypoPP)は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(SCN4A)遺伝子、または骨格筋型電位依存性カルシウムチャネル(CACNA1S)遺伝子の点変異より生じる常染色体優性遺伝性疾患です。

一次性高カリウム性周期性四肢麻痺(HyperPP)は、骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネル(SCN4A)遺伝子の点変異により生じる常染色体優性遺伝性疾患です。

その他、不整脈(心電図異常)・先天性奇形・周期性四肢麻痺の3つを主症状とするAndersen-Tawil症候群があります。

それは、内向き整流性カリウムチャネル(KCNJ2)遺伝子やG蛋白共役型内向き整流性カリウムチャネル(KCNJ5)遺伝子の変異よりますが原因不明のものもあり、また、3徴が揃っていない不全例のものや、遺伝歴がはっきりしないことがあります。

 

二次性のものでは、甲状腺機能亢進症に随伴する甲状腺中毒性周期性四肢麻痺が最多で、その他、明確な家族歴・遺伝歴がなく、随伴する内分泌・腎疾患も持たない孤発性周期性四肢麻痺も存在します。

 

周期性四肢麻痺の診断に関しては、発作の特徴、随伴症状、臨床神経生理検査を参考に鑑別することが重要です。

 

一次性低カリウム性周期性四肢麻痺(HypoPP)の麻痺発作持続時間は、数時間から半日程度が多いですが、数日持続することもあります。

早朝~夜間に起こりやすく、典型的な発作では「前日の激しい運動や炭水化物の過食で、翌朝体が動かない」といった経過をたどります。

 

一次性高カリウム性周期性四肢麻痺(HyperPP)の麻痺発作は短時間(1時間未満)で自然軽快することが多く、ミオトニー(力を抜こうとしても筋肉が弛緩しにくい状態、筋硬直)を合併することがあります。

典型的な発作では、「朝食前に生じ、15分から1時間ほど持続した後に消失する」といった経過をたどります。

 

Andersen-Tawil症候群では、心電図異常(U波異常)や眼間解離、耳介低位、下顎低形成、第5指弯曲指といった先天性小奇形を合併する場合に疑います。

麻痺発作時の血清K値は高値・低値のいずれも取り得ます。

 

甲状腺機能亢進の合併がある場合には甲状腺中毒性周期性四肢麻痺を考え、麻痺発作はHypoPPと同様です。

 

以上です。

 

 

今回は脊髄性筋萎縮症です。

 

脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)は、進行性筋力低下を特徴とする遺伝性疾患で、常染色体劣性遺伝形式をとるものが多く、5番目染色体上のSMN1遺伝子欠失によって引き起こされます。

 

運動神経には、上位運動ニューロン(一次運動ニューロン)と下位運動ニューロン(二次運動ニューロン)に分類され、上位運動ニューロンとは、簡単に言えば中枢神経で、脳~脊髄までを指し、下位運動ニューロンは、脊髄前角細胞~末梢神経までを指します。

脊髄性筋萎縮症:SMAは下位運動ニューロンの障害です。

 

 

脊髄性筋萎縮症:SMAの身体症状の特徴は、左右対称性の筋トーヌス低下、筋力低下、繊維束性収縮、手指振戦、腱反射減弱~消失です。

筋トーヌスとは安静状態にある筋の緊張状態で、振戦とは筋肉の収縮と弛緩が繰り返される不随意でリズミカルな震えで、繊維束性収縮とは筋肉が細かくぴくぴくと小さなけいれんのような動きで、運動神経や脊髄の運動神経細胞(脊髄前角細胞)の障害にて出現します。

 

脊髄性筋萎縮症:SMAは、乳幼児、子ども、10代の青少年から成人まで幅広い年齢層で発症し、その重症度も様々で、発症時期と運動能力の達成度により5病型に分類されます。

①0型 - 胎児期に発症する再重症型。出生直後より呼吸困難を示し、生後数か月以内で死亡する。

②Ⅰ型 - 生後6か月までに発症。自力で座位を保持する能力を獲得することなく、2歳までに人工呼吸管理あるいは死亡の転機をとることが多い。

③Ⅱ型 - 生後18カ月までに発症する中等症型。自力で起立し、歩行する能力を獲得するには至らない。嚥下障害や排痰障害、呼吸器合併症や、脊柱の変形が問題になる。

④Ⅲ型 - 生後18か月以降に発症する軽症型。自力で起立し、歩行することが可能な時期がある。

⑤Ⅳ型 - 20歳以降に発症する最軽症型で、生涯を通じて歩行可能であることが多い。

 

有効な検査としては、以下のものがある。

1.血液検査

血清CK(CPK)の上昇を認めるが、正常の10倍以上にはならないとされます。

2.針筋電図

陽性鋭波、繊維自発電位、繊維束攣縮といった所謂脱神経電位を認め、運動単位電位が高電位、持続時間延長を示す。つまり、下位運動ニューロンの障害を示唆する異常所見を呈する。

3.神経伝導検査

運動神経の伝導速度は正常下限値の70%以下で、時たま感覚神経の異常を認める場合もある。

4.筋病理検査

筋組織を生検して、筋の骨格筋の形態的変化や蛋白の増減を評価する検査です。SMAでは萎縮繊維のグループ形成や肥大繊維の散在を得られることがあります。

5.遺伝子検査

遺伝子検査はSMN1遺伝子の異常の有無を調べます。また、原因に直結するSMN1遺伝子欠損と、SMN2遺伝子のコピー数が重要で、SMN2遺伝子のコピー数が多いほど重症度が低くなります。

 

イベントバナー

 

治療は、遺伝学的検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者へのアンチセンスオリゴ核酸(ASO)薬であるヌシネルセン;スピンラザ髄腔内投与の適応が認められています。

なお、SMN2遺伝子のコピー数が1の患者及び4以上の患者や、永続的な人工呼吸が導入された患者における有効性及び安全性は確立していないようです。

乳児型脊髄性筋萎縮症に対しては初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行い、乳児型以外の脊髄性筋萎縮症に対しては初回投与後、4週及び12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与します。

 

腰椎穿刺とは、背中の腰のあたり、真ん中から背骨の中に存在する脊髄くも膜下腔に向かって針を挿入し、脳脊髄液の圧測定や、液採取を行う手技です。

そう、スピンラザは髄腔内投与、つまり、腰椎穿刺を行い、そこへ薬剤を投与します。

 

副作用としては、主な副作用は頭痛、背部痛、発熱、腰椎穿刺後症候群、嘔吐が主であるようです。

 

それ以外に、呼吸不全の治療として人工呼吸器や非侵襲性気道内圧陽圧人工呼吸器を用いる呼吸管理(noninvasive ventilation:NIV)を用います。

栄養管理には、経鼻胃管チューブ、胃瘻、中心静脈栄養が必要になることがあります。

また、骨格変形、特に後側弯の程度が強く、日常生活で外科的治療(脊柱固定術)が必要になる場合があります。

 

以上です。