酸素と黒い土(テラプレタ)の秘密
12月22日、TBSテレビで「古代アマゾン文明」についての放映がありました。アマゾンの古代文明が存在していたことはあまり知られていませんでしたが、近年の研究からその存在が広く知られるようになりました。それはボリビアのトリニダード北部にあるロマチョコラタリータという古代遺跡のことでした。そこで発掘された骸骨はテネシー大学でのDNA鑑定の結果,それが日本の北方の縄文人のDNAと一致したことが判明されて驚きました。しかし、もっと驚いたことはこの文明を築いた古代人が実にうまく酸素を利用していたことでした。遺跡には人工の四角い池が2000ヶ所ほど見つかりましたが、水深を測ると全てが2メートルでした。水深が1.5メートルだと魚が鳥に襲われるし、3メートルにすると水の循環水流ができないそうです。2メートルだと水循環水流ができ、その結果温度も一定し、溶存酸素も逃げないそうです。調べたドイツ人も何故2メートルなのか解らず、いろいろ実験をして、ようやく2メートルが最適であることに気づいたそうです。この時代から酸素の重要性を古代人は知っていたようです。更に、驚いたことは現地で黒い土と呼ばれる「テラプレタ」のことです。この辺りの土は赤土のように黄土色なのですが、耕作していた畑の土は黒いのです。現地人の話ですとその黒い土のある所では、何百年もの間一度も肥料を与えたことがないのに、毎年、パパイヤ、ココアバナナなどが豊富に採れるそうです。現代の科学者たちが、農学、環境学、微生物学、岩石学など15ものジャンルからこの黒い土の研究に挑んでいるのですが、今だに、なぜ肥料を加えずに何百年もの間、植物(主として果実)が豊富に採れるのか原因がわからないそうです。これと同じような黒い土が出来れば、現代の食糧問題もかなり改善できるのではないかと科学者がチャレンジしているのですが、めどがつくにはあと20年くらいかかると言ってました。彼らは「形の要素」である、ミネラルの分析を続けており、鉄、マンガン、亜鉛、リン、炭素の濃度を測っていました。土の色が黒いのは炭素が原因だそうです。通常の土ですと炭素の濃度は4~6ppmだそうですがここの黒い土は200ppmと通常の40倍多いそうです。この炭素の濃度に秘密があるように私には感じられました。この土に含まれる炭素がどれほど小さい穴を多くもっているかによって、当然、それを住まいとする微生物の数も多くなると思いましたが、その炭素がいかに空気中から「生かす要素」である酸素を吸収して保持できるかの方が「形の要素」であるミネラルの多少に関係なく植物は成長できているのではないかと思いました。炭素が多いことで酸素の吸収能力が非常に高くなり、この酸素は空気中からとりますから無限なのではないでしょうか。だから、「形の要素」である肥料を何百年もの間一度も与えなくても「生かす要素」の酸素が無限に時代を超えて供給されていることが肥料を与えなくても何百年もの間、豊作なのだと思いました。勿論、酸素を好む好気性の微生物(粘菌、放線菌、腐食菌など)の存在も無視できないとは思いますが。古代人のDNAが日本の北方の縄文人と一致したことを記しましたが、日本の縄文人が既に酸素をうまく利用するという英知を持っていたのかも知れないと思うとよけいのボリビアのアマゾン文明が親しく感じられます。ボリビアの「チチカカ湖」の名前もなんとなく、日本を感じさせられませんか?