インドネシアでの大虐殺の加害者に当時の殺し方を再現させることで、罪の意識を認識させるという心理学セラピーみたいな作品。
(タイトルはそのままずばりアクトオブキリング。)
その第二作、
ルックオブサイレンス。
今作は、兄を虐殺された弟が、その加害者に会いに行って話を聞く。そのとき加害者たちはどんな反応をとるのか....という作品。
この虐殺
デヴィ夫人の夫、スカルノ大統領も少なからず関与してるらしく、そう考えると他人事じゃない感がすごい。
というか、あのおばさんが生きてきた時代のインドネシアすごすぎる、そりゃあんなガッツある女性が誕生する訳だと..。
この映画、
めちゃくちゃ重い........!重い!!重い重い!
でも、見たほうがいい。傑作です!

ということでこんな陰鬱、虐殺の歴史ドキュメントにも、最高のおもしろポイントあるよ!そこを探しつつ、ついでに内容も軽—くみてほしい。
というわけで
~私のイチ押し名シーン~
①100歳のじいさん、ばあさんに洗濯洗剤を振りかけられ、ゴシゴシ洗われる。
②100歳のじいさん、シャワーの後、ポロリしそうでポロリしない名人芸を披露
③100歳のじいさん、自分は17歳だと言い張る
④もちろん映画のラストも、100歳のじいさんが見事にシメてくれる!必見!!!
これであなたは今夜ゲオに向かうはず。
......。
え?まだ?
まあ戦争、虐殺はもはや私達には到底現実感のないものです。
じゃあ、おれおれ詐欺コントで考えてみよう!
そうすればこの映画の良さが分かってもらえるはず
私はアディ。
兄、ラムリが自殺した。オレオレ詐欺によってヤクザに1億の借金を背負わされたのだ。
ついにアディは、ヤクザの事務所を突き止め、兄の敵を取るため乗り込んだったのだった。
そのときヤクザの反応は?
コントにするとしたらこんな感じじゃないですか?
①ヤクザ超謝る。しんじられないくらい土下座する。
②アディ困惑。ヤクザ、これはチャンスとみて、アディに兄の魂が宿った壷だと言って100万でガラクタを売りつける。
③ヤクザ逆切れ。なんだかわかんないけどアンディを叱りつける。アディ半泣き。

とまあ、私達が想像する、犯罪の加害者ってこんな感じじゃないです?
つまり、
①すごい謝る、②更に悪行を重ねる、③開き直る まさに外道
この映画で出てくる加害者は、誰もがこれとは違う対応をします。そしてその反応って、普段私達がミスしたり、間違ったことを注意された時の反応と大して変わらない!
そう、
戦争での虐殺も、空き缶のポイ捨ても、案外私達が思ってるより近くにあって、一歩間違えばそっち側に行きかねないんだな、と。
この虐殺の加害者が、被害者家族にあった時の反応のリアルさだけでも、一見の価値あり。すごい嫌な親近感が湧くはず!
私はここで画面に向かって親指をグッと立てるのです....。
ここからは余談
(真面目な)~イチ押しシーン~
トラック数台が暗闇の中を走ってくるとこ。
冒頭と最後にこのシーンが挿入されます。このシーン、虫の鳴き声だけ(おそらく意図的に編集されている)が響き渡る中、トラックが走ってくる。
当時、アディの兄は数十人とトラックに乗せられ川辺まで運ばれ、殺されたらしい。その当時は命乞いの声が当たりには響き渡っていたのか。
はたまた、そんな抵抗の声も上げれず、こんな風に静寂が包んでいたのか.....。実はきついシーン。
更に真面目な話。
・構成
最初に歴史上の事実がテロップで説明されるがそれ以降ほとんどテロップ等で説明は無く、
103分間であらゆることを画面的に順を追って説明してくれる。うまい!
中ボス→ボス→大ボスと主人公アディの会いにいく人も事件の核心に近い人になってきます。この辺、うまい!
(注:当然、実際その順番に会いに行った訳ではないでしょう)
(まとめ)
100歳を超えたじじい。視力はもう無いらしく、いつもは目を閉じてますが、息子アディに『ほら目ぇ開けてみなよ?』と、言われ。目を開け、『何も見えんよ~』と可愛く言うシーンがあります。
このシーン、可愛い!
でも、この虚空を見上げるじいさん、
本当に何も見えていないの?

ルックオブサイレンス、このタイトルは、むごい虐殺事件の被害者達が、今なお声も挙げれず沈黙しているという意味でしょう。
この100歳のじいさんも、現実から目を背ける被害者の一人なのかも。最後それに気づくと、なんとか笑えてたじいさん関連のシーンも、笑えなくなる。
はあ、この監督、意地悪すぎ!!!
(ほめてます)
鬼かよ!
(ほめてる)
この映画を見ながら何度も私はそう思いました。
(更に更に)
この映画の主人公アディは眼鏡屋さん。
加害者達に新しい眼鏡を作ってあげるという口実でアポをとっていきます。
この視力を良くするという仕事は、(=虐殺という現実を改めて直視させる)存在でもある。
もう、監督、うまい!!!
あっぱれ!
はあ、インドネシアすごいわ.....。
じゃあ、最後にみんなでこう言いましょう
デヴィ夫人は、スゴい人!!!(完)
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