薬物関連で逮捕される有名人の映像が何度も流されるのは、薬物依存の抑止力になっているでしょうか。目的はなんですか?みせしめですか?うなだれているヒーローに人々に落胆と失望を感じ「もうどうしようもない」という諦め心の扉を叩いてしまう。政治とお金もそう。「もうどうしようもない」といったような諦め。時間が経てば報道も追求しなくなる。この諦めは人が生きていく社会で最悪の種をまいていく。人はいつだって選択肢を右から左まで探すことを諦めてはいけないのです。たばこに関して未成年者に吸わせない方法をさんざん考えてきました。昔はお父さんのために子供がたばこ屋さんに買いに行ってたのです。泣けてくるほど子供の喫煙は心配なかった。若者はたばこを吸うとむせたものです。それが若年化してたばこが快感になっていく過程にストレスが関係している。今日の論文の結論は「たばこ業界との基本和解合意は,雑誌へのたばこの広告と、これらの広告への若者の曝露に対してほとんど効果がなかったと思われる」とあります。さんざん吸ってきた大人がこれからの医療費を削減するために若者に「吸うな」と言っても無駄なのでしょう。
The Master Settlement Agreement with the Tobacco Industry and Cigarette Advertising in Magazines Charles King III, and Michael Siegel
N Engl J Med 2001; 345 : 504 – 11「たばこ業界との基本和解合意とたばこの雑誌広告」
【背 景】1998 年に,46 州の司法長官が,米国のたばこ会社の最大手 4 社との基本和解合意(a Master Settlement Agreement)に署名した.この合意は,18 歳未満の若者を標的としたたばこ広告を禁止している.
【方 法】1995 ~ 2000 年のあいだに 38 種類の雑誌に掲載された,特定の15 銘柄のたばこの広告費用と,そのたばこ広告への若者の曝露について,傾向を分析した.1998 年に,8 学年,10 学年,および 12 学年の喫煙者の 5%以上によって吸われていたたばこの銘柄を,「若者」銘柄と定義した;その他の銘柄はすべて,「成人」銘柄とみなした.
読者の少なくとも 15%,あるいは少なくとも 200 万人の読者が 12 ~17 歳であった雑誌を,若者向け雑誌として分類した.
広告への曝露の標準尺度の一つである「広告到達率」は,任意の1年間に,ある特定の 1 銘柄のたばこの広告が掲載された雑誌を
少なくとも 1 冊は読んだ若者の人数として定義した.
【結 果】2000 年のドル換算で,38 雑誌に掲載された 15 銘柄のたばこの総広告費用は,1995 年が$238.2 百万,1998 年が$219.3 百万,1999 年が$291.1 百万,2000 年が$216.9 百万であった.若者向け雑誌に掲載された若者銘柄の広告費用は,1995 年が$ 56.4 百万,1998 年が$58.5 百万,1999 年が$67.4 百万,2000 年が$59.6 百万であった.若者向け雑誌に掲載された成人銘柄の広告費用は,それぞれ,$72.2 百万,$82.3 百万,$108.6 百万,および$67.6 百万であった.2000 年には,若者銘柄のたばこの雑誌広告は,米国の若者の80%以上に到達し,広告への平均曝露回数は若者一人あたり 17 回であった.
【結 論】たばこ業界との基本和解合意は,雑誌へのたばこの広告と,これらの広告への若者の曝露に対してほとんど効果がなかったと思われる。