おかゆ、豆腐、納豆など、日本古来の食とお寺には、深い関わりがあります。お寺に受け継がれてきた無駄のない食には、心と体を豊かにする知恵が詰まっています。
そんな各地のお寺をとよた真帆さんが訪ね、お寺のごはんから日々の暮らしや自分自身を見つめ直すヒントを探っていきます。
さらに調理僧として食を切り口にお寺を身近に感じてもらおうと、ユニットを組む吉村昇洋さんと青江覚峰さんに、8回にわたりとっておきのレシピを教わります。
第4回は「納豆」です。納豆といえば、ネバネバと糸を引く納豆を想像しがちですが、今回紹介するのは「寺納豆」と呼ばれる、みそと同じようにこうじ菌を使って発酵させた糸をひかない納豆です。
平安時代には塩辛納豆とも呼ばれ、かつては各地のお寺では広く作られていました。現在では一休寺納豆のほか、京都の大徳寺納豆、浜松の大福字納豆などが有名です。
今も昔ながらの製法で作られている寺納豆には、大豆を上手に保存しながら味わう知恵が息づいています。
○寺納豆ペースト
寺納豆はそのまま食べられるものですが、ペースト状にしてパンチの効いた調味料にすると、さらに使いやすくなります。
◆材料(作りやすい分量)
・寺納豆 20g
※寺納豆が手に入らない場合は、中国料理で使う豆豉(トーチ)で代用してもよい。
*調味料
・練りごま(白) 小さじ2
・粉ざんしょう 少々
<作り方>
1 寺納豆をすり鉢入れてペースト状にすりつぶす。
2 1のすり鉢に、白練りごま(小さじ2)、粉ざんしょう(少々)を加えて、さらにすり合わせたら完成です。
◎この寺納豆ペーストはごはんや豆腐にのせたり、野菜スティックにつけたり、焼いたナスにつけて田楽風にしてもおいしいです。
○じゃがいものポタージュ寺納豆ソース
素材の甘みが生かされた風味豊かなじゃがいものポタージュ。寺納豆の濃厚なコクと強いうまみを生かしたソースが、やさしい味わいを引き立てます。
◆材料(2人分)
・じゃがいも (大)1/2個
・塩 少々
・昆布だし カップ1
・豆乳 カップ1/2
・えごま油 小さじ1/2
*寺納豆ソース
・寺納豆ペースト 大さじ1
・昆布だし 大さじ1
<作り方>
1 じゃがいもは皮付きのまま、塩(少々)を入れたたっぷりの熱湯で15~20分間ゆでる。熱いうちに皮をむき、粗熱を取る。
2 小さめの器に、寺納豆ペースト(大さじ1)を入れ、昆布だし(大さじ1)を加えてのばし、寺納豆ソースを作る。
3 ミキサーに、ゆでたじゃがいも、昆布だし(カップ1)、豆乳(カップ1/2)、えごま油(小さじ1/2)、隠し味程度に塩(少々)を入れ、なめらかになるまで撹拌する。
4 3を鍋に移して中火でしっかり煮立たせ、カプチーノのようにクリーミーな泡が立ってきたら、火を止める。
5 ポタージュを器に注ぎ、2の寺納豆ソースをスプーンで少しかけたら完成です。