おかゆ、豆腐、納豆など、日本古来の食とお寺には、深い関わりがあります。お寺に受け継がれてきた無駄のない食には、心と体を豊かにする知恵が詰まっています。
そんな各地のお寺をとよた真帆さんが訪ね、お寺のごはんから日々の暮らしや自分自身を見つめ直すヒントを探っていきます。
さらに調理僧として食を切り口にお寺を身近に感じてもらおうと、ユニットを組む吉村昇洋さんと青江覚峰さんに、8回にわたりとっておきのレシピを教わります。
第1回はお粥です。禅の修行道場では、1年間365日朝食にはお粥を食べます。お粥+ごま塩・たくあんが朝食の基本構成。
なぜお粥を毎朝食べるのでしょうか。「粥有十利」といって、お粥には十の徳があると述べられいます。十の徳とは次のようなものです。
1. 体の血つやがよくなる
2. 気力が増す
3. 長寿となる
4. 食べ過ぎにならず体が安楽
5. 言葉が清く爽やかになる
6. 前に食べたものが残らず、胸やけしない
7. 風邪をひかない
8. 消化がよく栄養となって飢えを消す
9. のどの渇きを止める
10. 便通にもよい
朝食にお粥を食べると、これだけの功徳があるとされているのです。
今回は料理僧の吉村昇洋さんと青江覚峰さんに、とうもろこしと豆のお粥と、究極のごま塩の作り方を教えていただきました。
◆とうもろこしと豆の粥
米と一緒にとうもろこしや豆を煮るとうま味が出るので、特別な味付けはいりません。素材の甘みと適当な歯ざわりも楽しめるシンプルな味わいのお粥です。丁寧にいったごま塩とたくあんを添えていただきます。
*材料(4人分)
・米 1合(150g)
・水 2リットル
・コーン(缶詰/ホールタイプ) 100g
・ミックスビーンズ(ドライパック) 100g
<作り方>
1 米1合(150g)は洗ってザルに上げる。
2 土鍋に水(2リットル)を入れて強火にかけ沸騰したら、米、コーン・ミックスビーズン(各100g)を入れ、吹きこぼれないように注意しながら、フタをせずに弱火で25分間ほど炊く。
3 途中米が固まってきたら、鍋肌から「の」の字を描くように軽く混ぜる。レシピの加熱時間はあくまでも目安なので、お米が自分の好みの柔らかさになったらでき上がりです。
◆究極のごま塩
ごま塩作りの心得は、塩はいってサラサラに、ごまはやさしくすって油を出さないことです。こうして朝粥に欠かせない「究極のごま塩」を作ります。
たかがごま塩と思うかもしれませんが、ごまと塩をそれぞれいり、さらに丁寧にすり鉢ですってから合わせると、ごまのコクと塩辛さが一体化して絶妙なおいしさになります。
*材料(作りやすい分量/約1週間分)
・ごま(白または黒) 10g
・塩(海塩など天然のもの) 小さじ1
<作り方>
1 鍋に塩(海塩など天然のもの)小さじ1を入れて弱火にかけ、鍋を
揺すりながらサラサラになるまでいって、水分をとばす。
2 いった塩をすり鉢に入れ、大きな粒がなくなるまですって取り出す。
※すり鉢はできるだけ大きくて安定感のあるものを使って下さい。
3 鍋を中火で1分30秒間ほど熱し、火を止めてからごま(10g)を入れ、鍋を揺すりながら10秒間ほどいる。パチパチという音がしたらいり上がりです。
4 いったごまをすり鉢に入れ、すり鉢が動かないようにしっかりと支える。すりこ木を一方向に軽くゆっくりと回しながら、粒がなくなるまで
する。
・ポイント
ごまをするときはすりこ木を押しつけず、油を出さないようにすること。早くすろうとして力を入れると、どんどん油が出てしまいます。
5 ペーパータオルにごまを広げ、2の塩を味をみながら少しずつ加えていく。紙の上で余分な油を吸わせながら、手で混ぜ合わせる。味をみて塩辛さが際立ってきたらでき上がりです。