楽しみにしていた1週間後の
【高架下の飲み屋への約束】は
あっという間に訪れた。



いや、とても長く感じた1週間だった気がする。



仕事が終わりすぐにメールをした。



“おつかれ様です!終わったよ!“

“おつかれ様です。ほな向かいます“



1週間の壁なのだろうか、なんとなく敬語が混ざる。


そして待ち合わせは前回と一緒のパチンコ屋の裏にしていた。


今日は石田さんが先に居る。



“こんばんは!すみません、お待たせしました“

“おつかれっすー。僕も今来たとこです!“


ぎこちない会話の中でも前回と違う雰囲気。
なんだか安心感や安定感が生まれている気がする。




気づけば高架下の居酒屋に着いていた。



“ほな、入りましょか!“

“うわ〜この感じ大好き!“


ワクワクが止まらない!


いざ入店。

お店はサラリーマンのおじさん達でギュウギュウに賑わっている。

本当はカウンターに座りたいところだが
2人なのでテーブル席へ案内された。


店員さんからおしぼりを渡され
手を拭きながらお店の雰囲気と壁に貼ってあるメニューを見回しキョロキョロする私。


ふと、石田さんを見ると
似たような顔でキョロキョロしていた。



“とりあえず生ビール行きます?
それとも瓶ビールにします?“

“うわ〜悩む〜。
瓶ビール一緒に飲むのもいいなぁ“



この雰囲気での瓶ビールも最高だ。


すると石田さん


“すんませーん!瓶ビールグラス2つでお願いします“

と、店員さんに即注文。
即決出来るタイプの人なんだ。意外。



キンキンに冷えた瓶ビールがやってくる。


注ごうとすると
すかさず瓶ビールを片手に


“お先にどうぞ!“

とレディーファーストしてくれた。



遠慮なく頂き、
交代で石田さんへビールを注ぐ。


なぜかこの時とてもドキドキしていた。





乾杯



最高に美味しい。


思わず、うまー!と声が出てしまうと
石田さんもハモるようにうまー!と言った。


クスクスと笑いながら何を頼むか決める。



“石田さんチョイスで!!“


というと、
これまた即決で男前に頼み始めた。



冷奴
もつ煮込み
板わさ
串の盛り合わせ


え?最高ですか?
チョイス、最高すぎませんか?

私のドンピシャな物ばかりを頼んでいた。



最高の肴で瓶ビールはすでに3本目に突入している。

雰囲気と瓶ビールのおかげで緊張は溶け始めた。




“冷奴の最高の食べ方あるねん“

少しお喋りになってきた石田さんが急に話し出す。





“なにそれ!どんなん!?“



“上に乗ってるネギを口に入れて前歯で噛む。そのままビールを飲んでもう一回噛む。“



“え!?“


あまりにも斬新な飲み方にびっくりしつつも
なにそれめちゃくちゃ面白い!とウキウキする。


“…やってみていい?“

と聞いてみる。



“う、うん!“

となぜか石田さんが緊張している。






いざ、試した。


“最高!これだけでビール一杯飲める!“




“せやろ!?若手の頃よくこうやって飲んでて今でもこれやってまうねん“


あまりにも想像していなかったこんな事でとても笑っていた。
石田さんも今までで一番最高な笑顔をして陽気に笑っている。









その瞬間、私は、、、






石田さんに恋をした。




飾らない石田さんの無邪気な笑顔と素直さと
奥の奥に見える男気と優しさがとても素敵だった。





この人と居たらずっと笑ってられる気がする。


なんだか、そう思った。





お酒の力借りて

このまま

この気持ち、伝えちゃおうかな。。






























“あのっ!!!“








つづく。