プランターの芽に水をあげて、
日向に移した。
何でもそうだけど、小さい頃から、命あるものを育てるのは苦手だ。
なんでなんだろう。
もらって、もらって、もらってばっかり、もらったものに囲まれて、幸せで。
でもそれなのに、いつからか気づかないほど自然に、ほしいものに埋もれて
もらったものをないがしろにしていた。
大人になるってそういうことだと思った
もらう、からの卒業だって。
それだけじゃないのに。
なんども気づくチャンスはあったのに、
気づかずに、遠くの幸せばかり眺めて
感動する映画、沁みる音楽、大切な人との別れ、
そのたびに失いたくないものの多さに気づいたはずなのに
少し時間がたてばまた、ほしいものを探して、忘れて。
プランターの芽に水をかけながら、
そんなこと考え込んで、溢れさせる。
いま、ふりだしに戻れるのか。
自分がもらったものたちに、水をあげることが出来たら、まだ芽は伸びるか。
今更たちと闘いながら。
与えられるひとを目指したい。