占いを習得する場合、現代では先生についたり、書籍から学んだりしますが、江戸時代も同じように本から知識を吸収していたようです。

著名な占い師は高価な漢籍を入手したり、日本で翻刻され出版された書籍をとおして、中国の家相や方位などを勉強していました。

家相や方位以外の占いも書籍から学んでいたようで、その占い師たちが参考にしていたのが、「大雑書(おおざっしょ)」と呼ばれる占い百科全書でした。

これは始めは平安時代頃に「雑書」と呼ばれた日の吉凶や方角の善悪、禁忌やまじないが記載されている暦の注釈書でしたが、時代とともに次第に内容が増え、江戸時代になると家相や人相・誕生日占いや夢占いなどのさまざまな雑占を取り込んだ、大型の生活百科全書になっていきました。

森田登代子氏「大雑書研究序説」によると、その大雑書の「完全版ないしは総集編」と目されているのが、この『天保新選 永代大雑書万暦大成(てんぽうしんせん えいだいだいざっしょばんれきたいせい)』です。