市中繁栄七夕祭



空高く伸びる七夕飾りの背景に富士山が描かれています。
商家のシンボル大福帳や千両箱、大漁祈願の紙製の網や魚、酒好きの瓢箪や杯など、思い思いの欲するものを笹の葉にくくりつけ、まるで富士の神に祈願しているかのようです。

ヘンリー・スミス氏は『広重 名所江戸百景』(岩波書店)の中で、この絵の題名には唯一場所の銘記がなく、ただ「市中」とだけあるところから、これは広重の家から眺めた七夕の風景ではないかという説を述べています。