筑波山のほかの歌をみても、富士山の遠くから見た山容の美しさを詠うのとは対照的に、実際に登山したときの自然の景色の素晴らしさや感動を詠っています。

また、富士山の場合は日本の国を象徴する山として神聖視されていましたが、筑波山の場合は男体山と女体山の二つの峰が仲睦まじい男女を連想させたためか、とても親しみやすい山として人々に意識されていたようです。

なかでも有名だったのが、春と秋に山に入り飲食して楽しみ、男女の出会いの場ともなっていた“歌垣”でした。