熊の会 熊野詣 ~Episode 9~

 

こんにちは!
こちらのブログでは“熊の会”3人による熊野詣記録をご紹介しています!今回は第9回目、「エピソード9」をお届けします。酷暑の8月を避け、一ヶ月延ばして9月に歩きましたが、それでもまだまだ暑い日でした。歩きはじめはいつも9時半でしたが、今回は10時スタート。

●JRきのくに線 紀伊宮原駅(JRきのくにせん きいみやはらえき)
今回のスタート地点はJRきのくに線(紀勢本線)の紀伊宮原駅。駅前ロータリーには有田市が作成した熊野古道ウォーキングマップがありました。自治体が頑張ってくれているとうれしい気持ちになります。
 



●有田川/宮原橋(ありだがわ/みやはらばし)
線路に沿って東へ進み、右に折れると札場地蔵があり、有田川に出ます。宮原橋北詰の天神社の横に「宮原渡し場跡」の碑が立っていまいた。有田川の増水で宮原の渡しが中止になると、札場地蔵に川止めの札がたてられたといいます。熊野古道は、この有田川を渡ると、中番(なかばん)村から糸我山を越えて、今日の終着である醤油発祥の地、湯浅へ向かいます。
   

●得生寺(とくしょうじ)
時の右大臣藤原豊成の娘である「中将(ちゅうじょう)姫の寺」として有名らしいです。姫が13才の時に継母(けいぼ・ままはは)に奈良の都から糸我の雲雀山に捨てられた後、3年の間に称賛浄土経一千巻を書写したと伝えられています。毎年5月14日に中将姫会式が行われ、地元の子供達が二十五菩薩の姿になり、開山堂から本堂へ錬供養(ねりくよう)が取り行われているとのこと。参道には、良い言葉が記された札が多く立っていました。

 

●糸我稲荷神社(いとがいなりじんじゃ)
少し進むと右手に大きなクスノキがあるのが糸我稲荷神社です。境内には樹齢500~600年の3本の大楠がそびえています。糸我社の創建は京都の伏見稲荷神社の創建より約60年も前に遡り、社前鳥居には「本朝最初稲荷神社」の額が上がっています。

 

●糸我の熊野古道 道標
糸我稲荷神社東南の十字路に「すく熊の道」と深く彫られた道標が建っています。「すく」とは真っすぐという意味を表しています。



■第44番王子 糸我王子(いとがおうじ)
藤原定家の「御幸記」では「イトカハの王子に参ず。又嶮岨(けんそ)を凌(しの)ぎてイトカ山を昇る」とあり、鎌倉時代以前からの存在が確認されていると手元の資料には記載されています。明治時代に稲荷神社に合祀されましたが、平成7年に愛郷会の人たちによって、当地に糸我王子として再建されたらしいです。少し進んだ所に「糸我王子跡」の石碑が建っており、もともとはこの場所であったのかもしれません。

 

●糸我峠(いとがとうげ)
今回の行程は楽勝かと思っていましたが、糸我峠は想定よりもきつい登りでした。更に暑さも追い打ち。舗装路から山道に入り、しばらく登ると休憩場所の東屋がありました。そして峠の最高点まではあともうひと息。頑張って登ると車道に出て、糸我峠の石碑がありました。そこからの眺めはとても気持ちよく、疲れを癒してくれました。この峠にはふたつの茶屋があったと記されていました。当時はどんな感じだったのか。
 

■第45番王子 逆川王子(さかがわおうじ)
坂を下って進んでゆくと右手に逆川神社が見えてきます。その中にあるのが逆川王子。王子近くを流れる吉川が、海のある西の方向とは逆の東方向に流れているのが王子社の名のおこりになったとか。昔の姿を今なおとどめている王子社です。
 

●腰掛岩の跡/弘法井戸/方津戸(ほうづと)峠
方津戸峠は、吉川の集落と湯浅の市街地の間にある小さな峠です。江戸時代、大阪方面での醤油売上金移送には、湯浅から出向いた受取人に紀州藩の役人が付添い、この峠まで来ると正装した湯浅の業者代表が出迎えに来て礼を述べるのが慣わしで、湯浅の玄関口であったと記されていました。吉川から登る途中には腰掛岩の跡や弘法井戸もありました。

  

●湯浅のまちと湯浅醤油
雲行きが怪しくなり、湯浅スポーツセンター前で雨やどり。そして、熊野古道は湯浅のまちに入りました。山田川沿いを進み北栄橋を左に折れると、入りくんだ湯浅の街並み。高さが2mほどもある「立石の道標」には「東 きみいでら、南 いせかうや、北 すぐ熊野道」と彫られています。


遅い昼食を「海ひこ」というお店で、このあたりの名物である“しらす丼”を美味しくいただきました。湯浅は日本の醤油発祥の地。国道42号線沿いにある湯浅醤油の工場では商品の販売や、醤油ソフトクリームも!

 

JRきのくに線湯浅駅に到着。今日の行程は約10km。距離としては短く、時間も早めの終了ということで、1時間に1本の電車に乗り和歌山駅へ。お楽しみの打上げは駅前の「居酒屋 城」にて。そしてここでは次回の作戦会議も。というのも、次回の道のりは峠を2ヶ所超えての約20km。分割することもできないため、心して臨まなければなりません。醤油のお土産で荷物が重くなり、ビールとつまみで心とお腹が満たされたところで、エピソード9はこれまで!また次回をお楽しみに~!