延命処置と尊厳死。難しい問題です。

昔は、延命処置がほとんどでしたが、今は尊厳死ということが言われています。

でも現実、尊厳死は、まだ日本の文化には馴染めていません。病院で管だらけで死ぬのは嫌だと口ではいっていますが、いざ家族となると、病院へ救急搬送を望む方もかなりいます。

延命処置をしないということは、見捨てたと言う罪の意識があることが多いです。また親戚や近所の人もそのような目で見ると考えられます(ご自分がそう考えるのです)。
だから、いざというとき、慌てたり迷ったりしないために、日頃から、親が、元気なうちに、ご本人とよく話し合っておいて欲しいと思います。現場では、家族の思いが優先されます。と言うのはご本人の意思がわからないことがほとんどだからです。

先日困った経験をしたのです。ご本人の思いと家族の思いが違ったのです。
95歳のおばあさんでした。もう何日も食べられずにいましたが、急変したんです。家族は、この時病院へ行く事を望まれました。(もちろんこの時、ご本人はもう何も言うこともできずに、目をつぶったまま荒い息をしていました)

 じゃあその方向でと思ったときに、後ろから声がしたんです!「このままで、このままで・・・」

 びっくりしました。壁を隔てた後ろの部屋には、ご本人が寝ているんです。

 えっ?これってご本人の声?? 

「ご本人はこう言っておられますが・・」とはもちろん言えませんし、私はどうしようと思いましたが、「もうお歳のこともありますし、体に負担をかけずに、このままと言う選択肢もありますが・・」と提案しました。

 けれども「親父がこの場にいたら、病院を望むと思います」と長男さんは言い切りました。私は部屋へ取って返し、ご本人に伝えました。声に出して言ったのか、心で言ったのか未だに思い出せません。が、「お父さんがね・・・」と言いかけて、こういう場合は、きっちりした言葉を使わなければと思い、「ご主人がね・・」と言い直したことは覚えています。
それまで目をつぶっていた本人は、目を開けて力のある表情で私の目を見返して来ました。それで承知したのだと私は思い、「病院へ行くね」と念押しをしました。
3日後病院で亡くなられたと聞きました。ご家族、特にご主人には喜んで頂きましたが、考えさせられる出来事でした。

あとで、師匠のAllisonnにきいたら、もう、この時は、魂は、体から離れかけていたから、声が、聞こえたんだと思う ということでした。