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孔明の実像

「尊敬する人は諸葛孔明」と臆面もなく公言していた時期がある。

 

そもそも私が『三国志』にハマッたのはNHKの人形劇で

川本喜八郎先生作による美麗な(芸術的な)人形が魅せる表情と

分かりやすいストーリー展開に虜にさせられた。

 

そこからはもう、三国志おたくへ一直線で

「さ」の字のつく書物は買いあさり、歴史雑誌に投稿し、

自分を主人公に模したタイムスリップ三国志小説を書き

同人誌を出し、、、、

今からは考えられないほどの10代の情熱は

戦場を駆け巡る英雄たちにささげられて(吸い上げられて)いったといっても過言ではない。

 

人形劇がそもそも蜀贔屓・劉備万歳の視点なので

自然、私も蜀好きになった。吉川英治・横山光輝ラインとでも言おうか。

 好きな登場人物は諸葛孔明。

もうベタベタのセオリーどおりの読者(笑)

 

今回読んだ酒見賢一『弱虫泣き虫諸葛孔明』

そういったファンにはあまりお勧めしないほうがいい一冊かもしれない。

 

なにしろ孔明が、超変人(変態?)で色好みに書かれている。

宇宙のことしか考えていない、弟いじめ、友達も少ない、周囲には引きまくられている人物・・

 

私が数年前にこれを読んでたら、間違いなく卒倒したね

イメージは、容姿端麗、品行法正、さわやかな好青年だったから。

 

で、ストーリーは正史や演義無視のまるで『龍狼伝』のような流れかと思ったらそうではなく

一応歴史どおりなんだな。

ただ、視点が違う。今まで蜀贔屓の面で見ていたものを

裏側に回って見せられているような。

例えば孔明自身が任官の思惑のために

水鏡先生の協力で、臥龍の噂を流したり、

まんまと引っかかった(笑)劉備も、三顧の礼なんてしたくないのに

性分が天邪鬼なため、関羽や張飛の止めるのを心と裏腹に押し切って

実行する羽目になる。

目ウロコとはこのことで、

淡々と人が殺されて

淡々と人が裏切られて

淡々と国が出来ていく

ような、演義とは違い、人間臭さ全開の小説なのである。

ってか、小説という感じじゃないな。

良く出来たマンガ同人誌が文章化されたイメージ(分からんかなあ)。

合間合間の作者の所感も併せて、笑える。

一般のイメージにある「小説」とは意を異にしていて、

内容が内容だからだろうけど

「ええっっ、そんなのもありなの?」

という文章である。

でも笑えるからゆるす。

結構厚い本なので、赤壁辺りまで話は進むのかなと思ったが、

孔明の出盧で終わった。

これは続編が望まれるところ。

美周郎との対決なんて、どう書いてくれるのか楽しみじゃないか!

そして、この一冊を知ってしまったことにより

私はこう言い換える。

「今もっともラブな人は諸葛孔明」。

 

 

 

 

車谷長吉

先日も書いたが、私が好んで読むのは

時代が一つ前の小説家が殆どである。(南無)

よって、書店に行っても、新刊台は素通りし、文庫棚の前で徘徊している。

 

そんな作家偏食の私だが、最近生きている作家で

漸く好みに合う人が出てきた

 

車谷長吉。

 

ジャケ買い、という言葉があるが

私が彼の著作を初めて購入したのは古本屋で

ジャケ買いに近かった。

『漂流物』

この一作が、傾倒の引き金となった。

一人称の淡々とした文章の底に流れる汚泥のようなもの。

身を削り、血族を犠牲にして「書か」れた物語。

現代の生ぬるいエッセイ、私小説とは明らかに一線を画している。

正直、こんな作家がまだいきていたのかと衝撃を受けた。

 

 

最新刊の『銭金について』は、小説ではなく

幾つかの章に分かれた随筆(という言葉も似合わないなあ)集であるが

小説以上にダイレクトに彼の暗部を見せ付けられた

世捨て人になろうとして、なりきれず贋世捨て人となっていることへの自虐、

金銭へ飽くことのない執着を持ち続ける人間への嫌悪、

浮ついた現代という時代への厭悪。

 

その考え方や、行動、言辞は普通の感覚を持った人々には

受け入れ難いものも多い。(というか九分九厘そうでは?)

 

が、

 

彼がホンモノの世捨て人になりきれないところに

私は人間臭さを感じ取るのである

 

車谷長吉は、生まれる時代を間違えたのではないだろうか。

読書傾向

私の読書傾向は、可成り偏っていると思う。

性格的なものかもしれないが、何でも「これ」と思ったら、そこから脱却することが出来ない。

だから、自分のアンテナに引っかかる作品に行き会ったら、

しばらくその作家の書いた作品に埋没してしまう。

今まで嵌まった作家は、松本清張、田宮寅彦、福永武彦、車谷長吉etc・・・

友人からは渋好みだと言われる。殆どもうこの世にいない作家ばかりだ。

世界が狭いといえば狭い。

村上春樹や江國香織など最近持て囃されている作家には

どうも拒否反応があって、まあ食わず嫌いなんだけども

避けている部分がある。

というか、「昔ながらの文体」が、私にはしっくりくるんだろう。

実は、小説家になるのが夢なんだが、

前述したような作家の文体では、今の時代では受け入れられないのではないか

という危惧はある。

自分の文章を読み返してみたときに、万人受けはしないなと

実感している次第(笑)

でも、大衆に迎合するより、自分自身を貫くことが

信念であり、誠の作家ではないかなと考える。

家庭内暴力

昨日、友人から電話があった。

しばらくアルバイトに行ってないというので
気にはしていたが、
彼女は問わず語りに現状を打ち明けてくれた。

『殴られて・・・』


・・・えッ?

『昔からお兄ちゃん、仕事なんかで嫌なことがあると
私を八つ当たりの対象にするの。
お母さんが死んでから、それが余計に酷くなって、
先日は顔が歪むくらい殴られた』

淡々とした声。

『私も殴られてる最中に、意識がふっと遠のいてね、
これで死ぬのかなあと思っちゃった』

お父さんに助け求めなよ!お父さんもなぐられたわけじゃないでしょ?

『うん。今度は(今度はって・・)さすがに私の腫れた顔見て
怒った。救急車と警察呼んでくれたんだけど、
警察は家庭内のことだから、立ち入ってくれなくて
被害届出すって言っても、兄妹喧嘩でしょって。
私も家を出たいんだけど、ペットを飼ってて置き去りにしたら
お兄ちゃんが危害加えるだろうから、それにお金もなくて
出て行けないの』

・・・・

言葉を失うとは、まさにこのこと。
軽口を叩き合って、一緒に笑っていた友人の闇をのぞいて
私は何も知らなかったんだな、と思った。

興奮した口調ではなく、訥々と語る友人の声に、
その異常な環境が日常化してしまっていることへの恐怖と焦燥をも感じた。

何かしてあげたい、助けてあげたいが
一体、私に何が出来るのだろうか?

血のつながった家族に、手を上げられたことが殆どない私。

新聞や小説でしか目にしたことのない最悪の状況。

小説・・、そう、この前読んだ新堂冬樹の著作に『鬼子』
というのがあった。

これは、主人公の父親が、ある日突然急変した息子に
肉体的にも精神的にも暴力を受けるという話である。
父親は、ロマンチックな小説を書く作家という外面とは反対に
帰宅するときはびくびくし、息子の言動に憤っても報復を恐れて
媚びるような返答しかしない。

友人の話を聞き、瞬時に私の頭によみがえったのは、
この小説だった。

活字で追っていたストーリーが目の前に迫ってきたような。

そして、これは現実なのである。

どうにか、どうにかならないのだろうか。
神頼みくらいしか出来ないのだろうか。

警察は、事件が起こらないと動かないのだ。

書店員の資質

某大型書店でアルバイトしている私。

まだ働いて半年もならないが、
求人誌にあった「大好きな本に囲まれての仕事☆」という言葉は、
あってないようなもの。

理想と現実はかなり開いている、と思う。
入れ替わりが激しいのが証拠である。
これから本屋でアルバイトしたい、という方は
本と心中してもいいという覚悟があるかどうか、
まあ薄給でも、興味のない棚(分野)を任されてもやっていけるかどうか
自問自答してほしい。
私は大学が文学系だったという理由だけで、
新刊台を含めた文芸棚(文学、ノンフィクション、ノベルス、芸能の単行本)
を持たされた。

これまでやってきて、自分に向いてないことをつくづく思い知っている

文芸棚(+新刊台)限定で、書店員に必要なモノは何かを考えたとき、
以下のような項目が出てきた。

①客の観察

スリップ(立ち読みするとき邪魔になるアレ)集計で、店の客層を知ること。
立地によって客が違うので同じ店でも支店でランキングが異なる。
私の店はサラリーマン、OLが多くビジネス、女性エッセイが売れ筋。

②レイアウト力

新刊台も並べ方によって売れ方が違ったりする。心理的なものかな?

③アンテナ

今話題になっていることは何か、というアンテナを張っておけば
出版社から毎日多量に送られてくる商品営業FAXの中からいいものをえり抜き、
うまく仕掛ければど~んと売ることもできる。
TVでドラマ化される作品などはチェックしなければ駄目。
ところが、
私は基本的に昭和生まれの作家(田宮寅彦とか福永武彦とか松本清張とか・・・って、死んだ人ばっかり!)好きなので
アンテナは皆無に等しかった。

④コピーライト力

POPを書くときに必要とされるもの。
実は、あのPOP、本人は読まずにぱらぱらめくって書いているだけなので
限られた時間内で、視覚的に客に訴えられる文言を考えなければいけない。
私の場合、思い入れのある作家なら簡単だったが、
初めて聞くような作家の場合、帯をパクッた程度のことしか書かなかった。

か、 絵で誤魔化した。

⑤意思疎通

担当の社員とうまく行ってなければ棚の展開もうまくいかない。
実感。

⑥思い切りの良さ

日、祝日を除いて、ほぼ毎日新刊は入荷する。
でも新刊台の面積は増えるわけではない。
そう、売れてない商品を引かなければ(=返品しなければ)いけない。
ここは、人物の思い切りの良さを要求される作業である。
一昨日入荷したのに、すぐに新刊台から消してしまう本もある。
これは本当に悩ましい作業で、特にうちは新刊台が狭いため、身を切るような気持ちにいつもさせられる。
(つまり優柔不断なんですな)
で、返品した直後に客から問い合わせ来たりするんだな・・・泣


と、まだまだ出てきそうだけど、取りあえずはこんなところ。
本屋バイト、したいと思う方、一度当て嵌まるかどうか考えてみてください。
もし全部当て嵌まったら、求人の電話をかけてみたらいいと思う。
給料は本当に安いから。
どんだけ働いても、月10万円、弱。 私はこれからどうするか、は又の機会に。

初・参入

初めまして。関西の下町にて生息中の飄(ひょう)と申します。
昨年8月に結婚し、現在は夫と二人暮し。

もともとが「おひとりさま」向きな性格ゆえ、
未だもう一人の人間が傍にいる生活に慣れません。
子供のことも念頭にありません(今は)。

なんつったって、私の趣味は



さすらいの一人旅!!!



ですから・・・。

結婚しても、この病はなおらないでしょう。
18切符の時期が来るとむずむずしてきます・・。

このブログは、やけくそな一人旅の記録や、
若者(年は曝さないけど若者です)にしては渋好みの
読書や嗜好を世間に発表する場にしていこうかと思っております。

どうぞよろしく。