街の灯りが、とてもキレイね、カワサキ~、ブルーライト カワ~サ~キ~♪
のっけから古い替え歌でノリノリです。
この頃、駅のホームにブルーライトが増えてきました。
最初に始めたのは、京浜急行の弘明寺駅だったと思います。
青には人の心を静める鎮静効果があり、その効果を利用して、
防犯、自殺防止を目論んで設置されました。
その効果は色々と取り沙汰されていますが、
実際、自殺者は減ったそうで、京浜急行の駅には、ブルーのライトが次々と設置されています。
京浜急行の夜の普通列車に乗ると、ブルーライトが灯る駅が、近づいては遠くなり、近づいては遠くなり、
なかなかよい雰囲気を醸し出しています。
好奇心旺盛な私は、そのブルーのライトの効果を確認せずにはいられず、
会社で嫌なことがあったある晩、
こっそり家を抜け出して、ブルーライトの下に佇んでみました。
22時。夜の八丁畷駅。
その昔800Mも続く田んぼだったローカルな駅の真横には、
天災で亡くなった人や、東海道で行き倒れた人を弔った、無縁塚があります。
自殺者より、幽霊の方が先に出ることが危ぶまれる土地柄。
乗る人も、降りる人もまばらなホームの端に佇む、OL一人。
ホームの下を見ると、窪んだ待避所も無く、飛び込んだら一溜まりも無いシチュエーション。
端から見れば、明らかに、怪しい熟女OL。
しかしながら、人っ子一人無く、
「お嬢さん、早まっちゃいけません!」
などと止めてくれる人もおらず、
只一人、修行僧のように、ブルーライトの下に佇みました。
降り注ぐ、青いライト。
5分、10分、静かに時は過ぎていきます。
「お、落ち着く・・・。」
この青い光が、逆に落ち込ませるのではないかと思っていたのですが、
不思議なほど心落ち着かせ、そのまま瞑想に入ってもよさそうなくらいに、
穏やかになっていきました。
よし、十分に自殺防止効果は得られる!との結論を得、八丁畷駅を後にしたのでした。
帰り道、青の鎮静効果で、落ち着いた熟女の魅力がパワーアップしたのか、
八丁畷のドヤ街に滞在していると思われる60歳くらいのオッチャンに、
「ねーちゃん、俺と付き合ってくれよ~~。」
お誘いを受けました。
ここはいっちょ、なめられぬよう絞めておかねばと、
ブルーライト効果により、緻密で冷静な判断を下した私は、
「変なこというと、警察呼ぶよ~!」
と凄んでみせたのですが、意外な返答が!
「何言ってんだ、お前~、おかまだろ!わかってんだぞ~!」
熟女を捕まえて、おかまとは。
ブルーライトで沈静化された私は、
「あー、そういえば、女性誌って豊胸手術の広告多いよなー」などという言葉が頭をよぎりつつ、
煮えたぎった真っ赤なマグマの如く、怒り心頭となってしまいました。
私が引き返し、八丁畷駅に戻ったのは言うまでもありません。
カラーライトを使ったヒーリングに、クロモセラピーというものがあります。
青のライトには、赤の苛立ちを抑える効果があり、赤のライトには、青の憂鬱を抑える効果があるそうです。
万能なのは、緑色のライト。
緑は、どんな状況でも、均衡と秩序の取れた状態に回復してくれます。
皆さんも落ち込んだ時は、是非駅のブルーライトの下に、そっと佇んでください。
但し、帰り道に酔っ払いのオッチャンに会わぬ様、くれぐれも気を付けて下さいませ。