別れるって、「別れよう」って言う以外に何かしないといけませんでしたっけ?
別れ方が分かりません。
カン君も分からないみたいです。
眼帯を持って来てくれて、「後でね」の言葉通り、電話がかかって来ました。
「別れてんから電話してこんといて。
着信拒否するよ。」
「別れてないよ!俺ちゃんと反省してるし。
繰り返さへん男やから、大丈夫。」
「大丈夫じゃないよ!もう嫌いになってんもん。
会いたくないし。」
「そんな事ないって。
大丈夫、もうしないねんから許したって?」
「いやぁ、今回の逆ギレは忘れられへんわ。
はあ?って言うてたもんな。
めっちゃ腹立ったわ。」
「本当にごめんなさい。
2度としません。
許してください。」
「もう別れたし。
別れようって言う他に何かしなあかんの?
もらったもんswitch以外返すわ。」
「そんなん返えさんでええよ。
………ちょっと待って!switchは返さへんの?」
「switchは絶対返さへん!」
「別れてへんし、別れへんし。
お誕生日もお祝いしたいから、空けといてね。」
「誕生日なんてめでたくもないのに、もういいよ。
多分私、忘れへんと思うねん。
痛みの記憶と共に根に持ち続けるわ。
肝心な時に笑われたって。」
「ホンマにごめん。
心配やってんで。
なんで笑っちゃったんかってめっちゃ後悔してる。」
「まあとにかくもう別れたし。
もう寝るから切るわね。」
「別れてへんし、明日の晩御飯、一緒に買いに行こうね。」
別れてくれないのかしら?
翌日の今日、カン君と別れたんだなぁって。
無職だなぁって。
お仕事探さなきゃ。
何しよう?
占い師?
でも確実に稼ぐには、やっぱり美容師に戻るべき?
雇ってもらえるものかしら?
占い師の他に、砂利トラの運ちゃんもしてみたいんですよね。
長距離トラックも乗ってみたかったけれど、重たい荷物の積み下ろしがあるそうなので諦めました。
大型免許取りに行こうかな?
フォークリフトの免許も欲しい…
職安行こうかな?
ちょっと夢は膨らみつつ…
お昼寝を。
自然光が目に沁みて。
目を閉じても左目だけ明るいんですよね。
目玉って繊細なんだなぁ。
お昼に目が覚めて、辛辛魚ラーメンを食べました。
カン君は何にも食べられないって言ってたけど…
ちょっと痩せたら良いわって、食べるようにも安心させてあげる様にも言いませんでした。
痛みが引くと、カン君が笑ったのは、私の日頃の行いのせいなんじゃないか?って思えて来て。
いつも冗談ばっかり言ってるから。
最近は「顔芸」が上達してるそうです。
ぬいぐるみをねだって買って貰えなかったりした時、大袈裟に肩を落としたりしてたから?
なんでも大袈裟に表現してたから、今回の事も大袈裟に言ってお仕事休みたかったって思ったのかしら?
私が悪い?
「もうカン君なんか嫌い!」
って電話切る事もあったから、また冗談だと思ったのかしら?
日頃の行いに自信がありません
私が悪かったのかも知れない。
誕生日空けておいてって、それまで会わないつもりかしら?
夕方にカン君から電話がかかって来ました。
「cookieちゃん、晩御飯買いに行こう。」
それまで、別れたくない様な、私が悪かった様な気になっていたのに、カン君が電話をくれたので、安心して…グレてしまいました。
「別れてんから、私の晩御飯なんて気にせんといて。」
「別れてへんし、子供ちゃん達の晩ご飯も要るでしょ?
俺の晩御飯も無いねんから一緒に買いに行こうよ。」
「別れるのに別れるって言う以上になんか言わなあかんの?
大体カン君、最近私の事好きじゃないんでしょ?」
「俺はcookieちゃんの事大好きやし、完全に依存して付き纏ってるやん。」
「こないだから競馬はするし、私が目が見えへんって言うたら笑うし。
何が面白かったの?」
「それは本当にごめん。
競馬ももう2度とせーへんし、目が痛いのはそこまでとは思わんかってん。
今考えたら、好きな人が凄く困ってるのになんの力にもなられへんかったって後悔してる。
今から出来る事、足りへんかも知れへんけど、助けになりたいと思ってる。」
「もう目が見える様になったから大丈夫よ。
カン君も他の人探したら?
デブが好きな人もおるって。」
「cookieちゃんデブ好きやん。
他の人なんて嫌や、cookieちゃんじゃないと嫌やもん。
cookieちゃん良い人出来たん?」
え?目が痛くてのたうち回ってる間に?
「うん出来た。
大体デブは嫌いって100万回言うてるやん。」
「絶対嘘やん。
なんでそんな噓吐くんよ。」
「じゃあ言わんといてよ。
仕事は探したよ。」
「あかん!あかんで!
じゃあ直ぐ行くから、用意しといてね。」
うーん。
どうやって別れるんでしたっけ?