『悪い夢さえ見なければ ロングビーチ市警殺人課』(創元推理文庫)
タイラー・ディルツ、安達眞弓訳
悪い夢さえ見なければ、っていうのは、シェイクスピアの『ハムレットの悲劇』の中で登場人物の台詞にあるらしい。
「たとえ胡桃の中に閉じ込められようと、自分は無限の宇宙の王と思えるのだ。悪い夢さえ見なければ」
ロングビーチ市、っていうのは訳者さんによると、ロサンゼルスから車で南に30分。
広々としたビーチと米国太平洋岸有数の貿易港を擁する、所らしい。
このブログでも記事にした、『マギの聖骨』が、ハリウッド映画を文字で読むような感覚なら、この本は、まさにアメリカのドラマを文字にした感じ。
ちょっと前まではまってた、「CSI:マイアミ」みたいだった。
殺人事件を専門に捜査するチームがあって、ダンディなボスがいて、美人で優秀な相棒と生活感あふれるおじさん仲間と、そしてちょっと過去ありな男主人公。
ちょっとした仲間内の喧嘩はあるけど、事件解決までは固い結束力でつながっている。
ありそう、ドラマに。
事件の進み方も、きっとアメリカの犯罪捜査ってこうやって進むんだろうな、って思わせる。
日本みたいに帳場がたって、泊まり込み、っていうのとは少し違うかな。
捜査本部が立ち上がって、何も知らないお偉いさん方が現場仕事の邪魔をする、っていうのは似てるけどw
犯人については、最初の犯人視点のプロローグを読めば、後で関係者として登場した時点で犯人はこいつだ!って読者には分かる感じなのかな。
(それか日本語訳だと、ため口と敬語の使い方とかで年齢層が分かるだけ?)
あれみたいだった。
踊る大捜査線の最初の映画版。
あれは確か、最初に副警視総監を誘拐する場面を観客だけが見てて。
犯人は大体こんなやつ。って思いながら見てたら、捜査中に関係ない風に登場してきて。
観客は、あ、この子たち犯人だ、って分かるけど、主人公の青島刑事たちは順当にもっともらしい被疑者から追っていく。
最後ら付近になると、いつ気づくの?いつ気づくの?って思いながら、ドキドキしてる感じ。
って、色々、あれみたいだ~これみたいだ~~とか書いてみたけど、この本の読み応えのあるところは、支え合う男女刑事コンビってところなんだろうな。
男主人公ダニーの奥さんが妊娠したまま亡くなったこととか、諸々含めて、相棒ジェンと二人で精神的に支え合いながら、お互いの事を信頼して、守り合って、事件を解決するために全力を尽くす。
萌えた…
なんだこれ。素敵すぐる。。
中途半端に恋愛絡められるのはすごく好きじゃないけど、恋愛とかじゃなくて、信頼が最初に出てくる関係、って憧れるかも~~~。
ちなみに、相棒ジェンのフルネームは、ジェニファー・タナカ。
茶色い瞳のチャーミングな美人さん。
テコンドー黒帯をはじめ、数々の武道を極め、合気道を若者に教たりなんかしてる。すごい。ハイスペック。
ファミリーネームがタナカだけど、日系、とかは書いてなかった気がするな。
他の登場人物には結構、○○系アメリカ人、みたいに紹介があるのに。
でも名前だけで親近感ww
あとボスが仕事できるワイルド系イケメンっぽくて、しびれるww
かっこいい~。
シリーズ物なら、また続き読みたいかも~。