という題名の本が数年前に出版させたのを覚えています。その
新聞広告を見て、
旦那さんより先に奥さんが亡くなったという話だよね、そういう旦那さんは気の毒よね、でもそんなの買って読もうとする人がいるのかな、妻恋いというジャンルよね、万葉集の時代からあるよね・・・・
などと思っていたのですが、この1週間ほど、何をしていても・・・茶碗を洗っていてもスーパーの棚を覗いていても寝支度をしてベッドに身を横たえても・・・そうか、もうこの世に〇子、あなたはいないのか・・・という思いが押し寄せて来ています。
先週、水色の絵葉書が届きました。水色の地に樹氷が描いてあり上方に薄い小さな字で、 寒中お見舞い申し上げます と印刷されていて下部に
年賀状ありがとうございました。私の妻〇子は1年余の闘病の末2月●日に亡くなりました。長年親しくして下さったこと御礼申し上げます
と書いてあって●子のご主人の署名がありました。息が止まりました。
昨年は海外で娘さん一家と遊んでいる写真の年賀状が来ました。今年来なかったのはきっと娘さん一家の赴任先で長逗留しているんでしょう、
または、もう年賀状をやめたのね、そういう人は多いよね・・・とばかり思っていました。
小学校の入学式以来、長い深い家族ぐるみの付き合いだったのに
この10年余りはほぼ年賀状だけのあっさりした交際になっていました。
お年賀状に
墓参りにそちらに行き電車の高架から、この辺りがAちゃんの家だなと眺めました
と書き添えてあっても、あらなんで寄ってくれなかったの、次回は連絡してね
とは電話しませんでした。
また、ある年には娘さんの結婚式の家族写真で送られてきたのに
おめでとう、綺麗な花嫁姿ね、立派なお婿さんね、ご両親にも見せてあげたかったわね
との電話をしませんでした。
その次の年の、こちらからの年賀状にも
うちも長子が結婚しました♡等と書き添えずに
出会いから半世紀ですね、思えば遠くに来たものですね 等と広がらない様なことばかり書いていました。
話したり会ったりすれば
どうしてるの?お子さんは?ご主人はどうされているの?親御さんは?
ご実家は?
ということになり、当時主観的な困難に遭遇していた私には、どちらも気の進まない2つの中から選択して会話するしか無いと思い込んでいました。
つまり、にこやかに穏やかに和やかに実態のないウソにまみれた大人の話題に終始するか、或いは真っ正直に毒々しく愚痴と人の悪口のヘドロを〇子に浴びせるか・・・。
それが両方ともできませんでした。
しゃべっているとお互いの心にヒュウと快い風が吹いてくる様な付き合いの〇子ももしかしたら何か察していてくれたのかもしれません。
葉書から2日ほどして5歳離れた妹さんの家へ電話をしました。
小学生の時、私は妹さんの誕生会にもよんでもらっていました。また
お祖父さんお祖母さんが経営していた山のコテージを夏休みやお正月休みには我が家は利用していて、家族ぐるみの、親戚の様なお付き合いだったんですね。
妹さんによると、物忘れが頻繁になって、ある時、運転していて家に帰れなくなり病院に無理やり連れて行ったら大事なところに大きな脳腫瘍が
出来ていたそうなんです。
したいこと、するべき事はみんなした、ただもっと長く孫たちとあそびたかったなぁ、後の事はMちゃん、頼んだわね・・・と言っていたそうなんです。
高僧でもなく聖書の研究家でもなかった〇子、どうしたらそんな落ち着いた心境に達し得たのでしょうか。そんな大事なことを私に何の説明もなく逝ってしまうなんて・・・。
家で最後までご主人が看ていたそうなんですが最期に妹さんたちは間に合わず、ご主人一人で、彼は
息を引き取って僕はベッドの〇子に取りすがって号泣したよ、映画やドラマで見たことのあるシーンをまさか自分がするなんて思ってもみなかった
と言っていたと聞きました。
いつも〇子は私に苦情を言っていました。Aちゃんのせいで初めて来た縁談で親の言うまま、こんな北関東の寂しいところに23歳の若さで嫁に来てしまった、本当にAちゃんのせいだからね・・・って。
〇子は172センチ位の上背のある人でした。クラスでずっと1番の高身長でした。私は1番のおチビで凸凹コンビでした。私が
学生時代に、お見合いで婚約してしまい親御さんが私の母に、なぜこんなに早く・・・と聞いたところ、貰ってくれるという奇特な人がいる内にいかせなくては・・・と言ったらしく、A子ちゃんですらそうなんだから・・・・と圧がかかったと言うんですね。
A子ちゃんは身長150センチ位だ、世間様は163の男性の縁談も165も170も175の人の話も持ってくる、180のを持って来たって常識外れではない、170以上の〇子はAちゃんの半分以下の縁談にしか恵まれない
・・・と説得されたと言うんですね。さすが半世紀以上昔の日本昔話ではありますが。
A子ちゃんのせいだからねと文句を言っていた〇子へ、良い旦那さんよね、お互いに良い家族に成熟していってたんだね、A子のせいじゃなく、A子のお蔭でと言ってよね。
仲良しだったご両親にもお祖父様お祖母様にも今頃はきっと笑顔で迎えられている事でしょうね。しばらく待っていてくださいね。
5歳違いの妹さんの所へ電話を
