久しぶりの更新になります。アニメを見ていなかったわけではないのですが、最近はアニメ映画にハマってしまいまして、最新作含め過去作で気になるものを見ておりました。巷で大人気の「君の名は」も見てきました。感想はおいおい書いてみたいと思います。
今回は僕も大好きな「夏目友人帳」の作者・緑川ゆきさん作の「蛍火の杜へ」を見ましたので、話の内容と合わせて感想でも書きたいと思います。内容があるのでネタバレになるかもしれませんがご了承ください。
話の始まりは、主人公の女の子である蛍がどこかに出かけるところから始まります。この段階ではどこに向かっているのか分かりません。外に出た蛍が昔の出来事について語りだし、物語が進んでいきます。
時は遡り、蛍が小学生頃の夏。蛍は森で迷子になります。ここで出会うのがもう一人の主人公であるギンです。顔にお面を付けている以外は普通の人間のような姿をしています。どことなく姿が「夏目友人帳」の主人公夏目貴志に似ているのは気のせいではないはずです。
ギンには特異な体質があり、人間に触れる・触れられることができません。蛍は迷子から解放された気持ちからギンに飛びつきますが、太い枝で容赦なく叩かれます。ここはちょっと面白かったですね。
ギンに触れることができないので、二人は木の枝越しに手をつなぐ形で森の外へと向かいます。別れ際にお互いの名前を教えて、蛍はまた明日も来ると伝え帰っていきます。名前を教える際にギンは間を開けています。この段階では蛍と接することに戸惑いがあったのかもしれません。
約束通りに蛍は次の日も森へやってきます。二人は特別なことをするわけでもなく、ただ森で遊びます。蛍もただ何気ないことがとても楽しいといった発言をしています。毎日のように遊ぶ二人でしたが、蛍は夏の間だけおじいさんの家に来ているため、明日からはもう来られないとギンに伝えます。
また来年来ればいいじゃないか?
さらっとギンは蛍にそう伝えます。そこからは毎年の夏が二人の会える時間になっていきます。1年、2年ではなく小学生のホタルが高校生になるときまで。蛍は初めはただギンに会えるのが嬉しかったのだと思います。中学生になったとき制服を見せに来るのですが、そのときは新しい自分をただ見せたいということが見てとれました。
高校生になり、日常の学校生活で蛍はギンのことを考えるようになります。夏になれば会えるという気持ちから、夏にしか会えないという気持ちに変わっていきます。周りの声が耳に入らなくなるほど。
そんな気持ちの中でまた夏はやってきます。蛍はギンに会って気づきます。最初は遠かった目線がだんだん近づいていることに。それは成長している速度が違うことでもあります。ここでやはりギンと蛍は違う存在なのだと知ったのかもしれません。
ギンは蛍に自分のことについて語りだします。自分は元々は人間であったが、この森に捨てられていたこと。本当はそのまま死ぬはずだっだが、憐れんだ山神の妖術で生かしてもらっていること。これにより妖怪でも人間でもない存在となっています。人間に触れられると消えてしまうのもこれが起因となっています。
高校を卒業したらこの地の近くに就職したいと蛍は言います。そうすれば春も秋も冬も一緒にいられるねと。しかし、そんな自分を忘れてもいいとギンは言います。こんな自分にかまうなと遠回しに言いたかったのかもしれません。それでも蛍は自分のことを忘れないでと言います。一方が忘れてもいい、一方は忘れないでと伝えるこのシーンは、まったく逆の意味で同じ気持ちを伝えたと思っています。
2人は妖怪たちのお祭りに行くことにします。人間のお祭りを真似ているので見た目は変わらず人間が間違って迷い込んでくることもあるといいます。二人でお祭りを見て回り、楽しいときを過ごします。それでも触れ合うことができないためお互いの手首に布を巻き付け離れないようにします。
蛍はこのお祭りが終わったら、もう今までのように会えないのではないのかと思い始めます。時間という流れの中でずっと二人でいうことは出来ない。でも離れたくないとギンに伝えます。ギンは一緒にいたい蛍の気持ちにお面越しにキスをして答えます。このときはこれが精いっぱいの表現だったのでしょう。
その後二人の後ろから二人の子供が現れ、男の子が躓いてしまいます。とっさにギンは男の子の腕を掴みます。お礼を言って去っていく子供。
次の瞬間、ギンの体が光り消えていきます。先ほどの男の子はお祭りに迷いこんだ人間でした。ギンは消えていく自分に驚きながらこう言います。
「来い蛍、やっとお前に触れられる」
ずっと触れ合いたかった二人。蛍もギンも笑顔で抱き合います。何年も待ったこの瞬間。しかし、それはあまりに儚く短いものでした。抱きしめあった瞬間にギンは衣服を残して消え去りました。
残ったのは服とお面だけ。ギンは森に棲む妖怪に好かれていて、妖怪たちはギンが最後に消えてしまうとしても触れ合いたい人間ができたことを喜んでいました。蛍にお礼までしています。
ギンはいなくなったけど、それでも前を向いてまた夏になったら、2人が出会った森に向かうところで話は終わります。
以上が大体の内容になります。
なんといいますか、緑川さんの話だなぁと深く感じました。夏目友人帳でもそうですが、どこか寂しげな気持ちを残しながら、それでも良かったと思える作品でした。
蛍は小学生の時に木から落ちるシーンがあります。このときギンは助けようとしますが、触れられないため手をひっこめます。その時蛍は「私に絶対に触らないで」と言います。
触れてほしいけど触れてほしくないという小学生ながらも葛藤する姿が印象的でした。ギンも出会った当初は触れようとする蛍を避けています。しかし高校生になった蛍が抱きついちゃうよというと「本望だ」と返します。だからこそ消える直前は本当に嬉しかったのだと思います。消えてしまうことよりも大切なことができたのだから。
この話は決してハッピーエンドではありません。消えてしまうことはないにしても、相手のことを考えたからこそ出来ない行動もあると思います。
それでも一つの出会いが考え方を大きく変えることがあります。例え二人が報われていなくても、それでいいのだと思います。
2人が抱き合う瞬間が見れて良かったです。
