2005年の夏頃、当時は山形に住んでいた。ある日楽天で折りたたみ自転車を買った。20インチ、シマノ製6段変速ギア＆Wサス搭載のマイパラスM-10というモデル。新品で8000円＋送料2000円。激安小径自転車の例に漏れずこいでも前に進まないギヤ比と折りたたみのくせに重かったりと短所は数あれど、この価格を思えば文句も出ない。実際、近所の買い物はもちろん、出張先の市街地での移動手段として縦横無尽に大活躍し、自分の中では3年くらいで元は取った感じ。散々使い倒し、その後はひっそりと庭先の片隅に追いやられていた。使い捨てで安いのをどんどん買い換えていけばいいや、なんて邪なことを考えてもいた。
しばらく野ざらしだったために無残な姿に変わり果てていたが、一昨年知人が倉庫の自転車を廃棄する際に色々とパーツをいただき、再びM-10への気持ちが向いた。
いただいたものはロードレーサー用のドロップハンドルとアルミペダル、ママチャリ用のお尻の痛くないサドルと前カゴとダイナモライト、ブリジストン純正リアキャリアと折りたたみ式横カゴ。
こだわりがある方ならここでカスタムだレストアだと全塗装したりするところだが、そこまで踏み込むつもりはさらさらないので、清掃することすらなく、ただくっつけた。ドロップハンドルとVブレーキは相性が悪いなどということもなんのその、無知は最強とばかりに、あるものをただ取り付けた。
そして生まれ変わったマイパラスM-10あらため、キモカワ自転車「ミコダ号」。
彼女からは顔をしかめて「気持ち悪い…」と褒められた。自分でもかなりきわどい線だとは思いつつも、近所の買い物や用事がある時はミコダ号で颯爽とでかけた。相変わらずこいでも前へ進まないけどなかなか憎めない奴。
今回、東京への長期出張が決まり、どうやら車で乗り付けることができないことが発覚。当初は新たに激安自転車を購入で動いていたが、やはりせっかくミコダ号があるのだし死んでるわけでもない。そこでミコダ号を丸森仕様から上京仕様へとカスタマイズすることにした。磨り減って丸坊主のタイヤをチューブごと交換。IRC製オンロード用。年末年始でなかなか入手が困難だった。、ブレーキワイヤーも交換。リフレクターがないのでダイソーでLEDの尾灯を購入。これだけで車体の半値近とは。ここまでは保守整備。
まともな部品とまともな材質でもの作りをすればそれなりの価格になるのは当然で、値段が妙に安いというのは当然どこかが損なわれる。中国製は特に顕著で性能や耐久性は二の次の似て非なるものが多い。それで事足りるのならそれでもよい。オーバースペックなものを使う必要もないが、ただあまりに質が落ちて使い物にならないのでは困る。この自転車のネジの一部は錆びて原形をとどめていない。買った当時自分の顔が映り混むほどきらめいていた金属部分は見る影もなく、隣のおやじからは「赤い自転車」と言われている。大量生産大量消費社会を助長するのもナニなので今回は新しいものを買わず、その社会の産物であるこやつをあえて直して使ってみるのも悪くはないかな。
上京仕様はまず邪魔な前カゴを取っ払った。そして最大の改造点が、真ん中の補助輪。このタイヤは倉庫内にしばらく眠っていた小型コンプレッサーの車輪を取っ払い、適当なアングル材で固定。しかしカゴを取るとミコダ号の絶妙なバランス、アイデンティティが薄らいでしまったようにも感じるが、彼女はこれでも「オカシイ。」と言う。
折りたたんだ際、後輪とこの補助輪によって、スーツケースのように転がして運搬することが可能となる。約19ｋgもある車体を担いで歩くのはさすがにしんどい。これで楽々。
ちなみに、ミコダ号で上京するわけではありません。まだそのレベルには達してません。なのでミコダ号と一緒に上京します。俗にいう輪行というやつです。
電車に自転車を乗っけるためにはカバーが必要。しかし専用の輪行袋は結構なお値段。ミコダ号より高いものもある。ネットを検索すると、ダイソーのエアコン室外機カバーで代用している人がいる。さっそくダイソーへ。が、サイズが小さい。何か他にと探したら洗濯機用カバーを発見。これだ！
さっそく被せてゴムで止めてみた。ハンドルとサドルを車体からはずせばさらに小さくなる。なかなかよろしい。試着しただけでカバーの一部がすり切れてしまったが、問題あるまい。
これ引っぱって東京さ行くだ。
年末から着々と上京への準備を進めている日々。
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