先月ほうれん草の種をまいたのが、ようやくちらほら芽を出し始めた。そして今日、ビタミン菜の種をまいた。さらに庭先を掘り返して、ニンジンの種もまいた。
こだわってます、なんて力説せず、ただ自然にまかせての完全無農薬。
そして完全無肥料。なんのことはない、面倒くさがりの放置な畑。
もともと日当たりがよいわけでも、土がよいわけでもない。できるものはしれている。だが、あるのとないのでは大違い。貴重な食料源であることも確かだ。
あまり力まず、ささやかな楽しみ。
借家の庭先を畑にしていて、調理の際の野菜くずなどは直接ぶん投げている。おかげで燃えるゴミは生々しくない。あ、これは有機肥料になるかな。心なしか小鳥がよく訪れる。なんだか楽しい。
今日おおざっぱに草をむしっていると、かな～り前に放り投げた白菜の芯を発見した。―――昔は白菜は普通に包丁でざくっと切っていたのだが、ある時友人が調理するのを見てからやり方が変わった。その時使う分だけ白菜を一枚一枚むしっていくというもの。なるほど、切り口が痛むこともなく、これは無駄がない。そうして最後に残った芯の部分。よ～く見ると…。
なんと根を生やしている！そして葉っぱが出ている！
全然死んではいなかったのですね。なんとたくましい。うち捨てられていた状態で必死に大地に根をはり天へと伸びていた姿に少し感動。ちゃんと植え替えた。
そういえばいつぞや買ってきたニンジンと、冬に収穫した大根のちょん切った頭も、密かに生かしていた。彼らもすくすくと育っていた。なんという生命力。あまり植物がなかった殺風景な部屋に、小さな緑の存在は大きい。この後どうなるんだかわからない。それだけに楽しみ。
ずっと種という状態だった自分自身も、ようやく芽が出始めているようだ。殻は外界から守ってくれる。が、いざ外へ出るとなると、殻は監獄となる。もう、そろそろいいかな。
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