今日も雨降りでどうやらこのまま梅雨は明けないような雰囲気である。

先日知人から墨の粉をいただくことになり、それを近所の観光案内所で預かってもらっていた。雨にもかかわらず何故か歩いて取りに行く気分になった。そして通りに出て、左に曲がるはずが、何のいたずらか、左に向いたのはつま先ではなく踵であった。理由も何もない。ただ、なんとなく。向かった先は虚空蔵菩薩をまつる小さなお堂。

虚空蔵、アカシックレコードとも解釈できるという友人の言葉を思い出す。

STONE SCULPTURE-虚空蔵さま

今住んでいる住所が虚空蔵中という。その地名はこの存在があってのことだろう。そして自分を丸森へ引きつけたのも、おそらく。

どんないわれがあるかさっぱりわからない。さほど広くもなく特記するほど立派でもなく、しかし心地のいい空間である。ゆっくりしたいところだが雨ということもあり、またすごい勢いで蚊が寄ってきたのでお参りだけすませた。心地よさに浸るのはまた次回。

STONE SCULPTURE-ネコ神様1

そしてこちらのお堂のそばに並ぶいくつかの石碑の列…のなかのネコ。

なかなかに見事なそのネコの石の彫刻。

この丸森町は昔から養蚕が盛んで、当時は相当潤っていたと思われる面影が各所に見受けられる。

これは猫神様といって、蚕の天敵であるネズミを捕るネコを祀ったものである。猫神様はこの地方独特の文化のようで、全国的に珍しいのかもしれない。特にこの丸森町に集中して残っており、町内各地に点在している。実は昨年知人が猫神様ツアーを企画し、一緒に数ヶ所周った経緯がある。そこで猫神様の存在を知った。その時ここには来ていなかった。

文化的にも彫刻としてもおもしろい存在である。今後もチェックしていければと思う。
STONE SCULPTURE-虚空蔵から

そして眼下には丸森の中心部が広がる。この土地へのつながりを少し感じた。


その後またてくてく歩いていく。昨日の際理幻夜は文字通りまぼろしだったかのように街中は普段と変わらぬ様相である。律儀なことに。観光案内所で知人から預かり物を引き取り、昨日のお礼をのべて少し話をする。そこで町のお寺MAPが最近出来上がったというので、神社MAPと一緒にいただいた。昨年末から年初にかけて、伊具三十三観音を巡礼したことを思い出す。すでに廃寺になって存在そのものがこの時空から失われていたり、盗難によって紛失していたり、あるいは民家の庭先であったり…。あの時は夢中だった。今から周る人は大変だろうな。


土地のつながりを感じて、そして神社MAP。そういえば神棚に氏神様がまだ祀られていないことに気付き、せっかくなのでMAP記載の番号に電話。後日うかがうことで話はついた。気持ちも落ち着く。

そのまま帰ろうとしたが、せっかくのお寺MAP、近所のお寺へ向かった。先日、今の貸家の大家さんの2代ほど前の方がこのお寺の出だということを聞いていて、そのうち行きたいと思っていた場所。この地方では曹洞宗が多くを占めている。同じ浄土真宗としては親近感もある。残念ながら家人とは出会えず話はできなかったが、なにはともあれお参りをした。そういえばもうお盆なんだな。今年も故郷には戻れない。しかし自分自身をアンテナ、方便とすればしっかり通じるはず。つながりさえ感じられればそれでいい。


今日も偶発的必然のご縁でつながる一日。ありがたい。

社会とのつながりをそろそろ持たないといけないが、あせらずあわてず。いずれにしろ裏も表も変わりはしない。