今日も比較的お客さんは多かった。最終的にどれだけの客足だったかはまだわからないが、この2日間での手打ちそばは700食を超えた。そば粉にして100キロ近く。とはいってもあまりピンと来ないが、例年その数字は延びていて、今年も記録更新したようだ。そば通にも好評だという。


実は昨日、硯の予約が入っていた。
STONE SCULPTURE-紅花09D

かなり初期に造った、カニのレリーフを施した硯。完成度も高く、自分自身気に入っていて看板商品として長く手元にあったもの。今まで売れなかったのは値段設定を高めにしていたから。デパート価格で48000円だったかな。あまり手放したくないという思いがあったのかもしれない。(大学教授に言わせれば安いんだろうけど…。)


昨日、久しぶりの再会があった。10年前に白鷹に初めて移住した時、地域の子供を対象に造形教室や各種イベントを開催していた。その時、子供と一緒に自分も参加したいというお父さんがいた。その時の父親が今回見に来てくれたのだ。8年ぶりくらいかな。確か息子は小学4年生だったか。聞けばもう大学生らしい。月日の流れを否応なく感じてしまう。あの頃は子供という認識で相手してたが、大学生となれば自分ともう何も変わらない対等の立場。この10年、自分が成長したかどうか思わず振り返ってしまった。


久々の対面に当時を懐かしく思い出しながら話をしていたら、彼が硯の値段を聞く。「法外な値段設定してまして」などと前置きし、恐る恐る「4万くらいですかね~。」と答える。すると突如買うと言い出した。不意を突かれたのでいささかの狼狽を覚える。これもまさにシンクロなのだろう。ここ最近相対していた課題が形を持って具現化したようだ。


またしても罪悪感と後ろめたさという妙な人たちがノックしてやってくる。こいつらどこからやってきたんだか。不安や臆病さなのだろう。結局この人らも自分に他ならない。自分自身を叱咤する。天恵はありがたくいただこう。


不思議なもんだなぁとつくづく思う。このタイミングでよくもまぁ。

何か、過去の自分に助けられた、という気がした。

種をまけば芽が出る。その収穫物が=現金収入だとは思わないが、今回わかりやすい形となって現れた。

人を育み、そして時代を造る。そこに必要な意識を育てたいという思いは当時確かにあった。

これもある意味農業なんじゃないかと思う。百姓として、目に見えない種をまいていこうと改めて思った。


当時わけもわからず子供相手に教室を開いていた自分に快くつきあってくれた参加者であるその父子に、特に会えなかった息子さんに何か渡したいと思い、小さな硯をオマケにつけることにした。その晩、せっせと小さな硯を制作した。せっかくだからとお父さんの分も。


STONE SCULPTURE-小硯

会場で暇だったこともあり、デモとしてもうひとつ造ったものと並べる。


今回で6枚目になるだろうか。今後これをオマケとしてではなく単体で売り出す予定。

お父さんにカニの硯と、小さな硯を2枚、手渡す。喜んでくれたようだ。

彼は特別書をするわけではない。つまり硯など使わない。多分、ミヤギ作のモノなら何でも、いくらでもよかったのかもしれない。すごくありがたいことではあるが、と同時にだからこそ下手なものは造れないと身を引き締めて、今後も価値を高めていくことが責務であると感じた。


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