夏
日曜
昼下がり
賑やかなテレビ
笑ってるきみ
家にいるようだよ
いつもは上を向いているのが楽だけど
今日はこの景色を見ていたい
窓から差し込む夏光
賑やかなてれび
きみの笑い声
ずっとずっと聞いていたい
もうそろそろ見えなくなる
呼吸もだるくなってきてる
だからこの景色
もうぼやけた目だけど見ていたい
最後に見たい風景がそこにあるから
だんだんぼやけていくけれど
僕は忘れない
ありがとう
もう声には出せない言葉だけど
ありがとう
一緒に病と闘ってくれて
いつも明るいきみだから
闘ってこれたんだよ
もうすぐ
ありがとうからさよならなんだよ
それでも僕はみていたい
賑やかなテレビ
笑いながら見ているきみ
7月
日曜
昼下がり
百合の花が咲いた
一番見たい人はいないんだよ
大きな花をいくつも咲かせ
切ないほどの香りを放ち
白い花影は揺れて
早く帰っておいで
そして存分に愛でておくれ
叶わない百合の香り
あの病室までとどくだろうか？
