秋分の日
2年ぶりに実家に帰った
ノワは車が大嫌い
実家のある大分県佐伯市には
福岡から約3時間かかる
宮崎との県境で海と山しかない田舎だけれど
母の出身地だったこの地に定年した父と母は移り住むことになった
私にとっては住んだことのない実家
私は温泉地で有名な別府市で生まれた
赤ちゃんだったので記憶はないが
父と母は家族に反対されての結婚だったので、私が生まれてようやく許されたという
当時別府は温泉地だったため、家にお風呂はなく、みな共同浴場(温泉)に行っていたので
母の口癖は
あなたの産湯は温泉で離乳食は「城下かれい」よ
であった
城下かれいとは別府湾で採れるカレイのことで、将軍への献上品ともなった大変美味で高級なカレイのこと
私はそんなエライ魚を離乳食にしてたのか、、
ま、たぶんそのあたりで採れたものだから、なのだと思う
さて
犬を連れてのドライブは途中休憩を入れなければかわいそうだ
玖珠PAで休憩
PAには様々な人間模様がある
少し肌寒い山あいのPAだけれど
祝日だからか活気があった
結局渋滞していたので4時間近くかかって
ようやくたどり着いた
実家には黒猫「りぼん」がいる
りぼんは今年9歳になる雌だが
とても人懐こく誰にでも抱っこされるような猫だけど
さすがに犬は怖いみたいで逆毛を立て怒っている
にもかかわらずノワは尻尾を振っている
遊んで欲しそうだ
結局彼女は食器棚の上に登ったまま、上からじっと見ているだけであった
お互い興味津々ではあってもそばに近寄ると一触触発なのでなかなかよいツーショットが撮れない
父は昔から犬が大嫌いだ
父の実家では数頭のシェパードを飼っていたにもかかわらず、犬は飼いたくない、の一点張りだった
だから私は犬を飼ったことがずっとなかったのだ
ノワを連れて帰った時、父はどう接してよいのかわからないようだった
ノワは足元に寄って行き足を舐め、尻尾を振った
犬にとって舐めるという行為は親愛の証なのだ
父がぎこちなくおもちゃを投げると喜んで取りにいった
何度も繰り返すうちに楽しくなかったのか(猫はしないので)
とうとう「散歩に行くか?」とまたぎこちなくリードを片手に出ていった
しばらくして「犬はちょろちょろして大変だ」とぶつぶつ言いながら帰ってきた
母が、犬はね、人間との主従関係がわかるのよ。あなたまだ、主人と認識されてないから引っ張られるの
確かに、父は犬に散歩させられているのだ
二人は夜には10時過ぎにさっさと寝てしまった
彼らは今年70歳になるが
若い若いと思っていた両親がぐっと年老いて見えた
今朝、私は思い立った
実家へ帰ろう!と
実は先週ソウルに行っていた時に
台風18号が上陸し
佐伯市に大変な雨を降らせた
私は福岡の友人と連絡を取っていたから
佐伯市に避難勧告がでたことなどを聞いて心配し実家に電話したがでないしとても心配した
近くの大きな家に避難していた、でも結局避難というより飲み会になったのよー
と後で聞いて拍子抜けしたのだけれど
それ以降ずっと気になっていた
私は彼らの顔をきちんと見ていない
久しぶりに会った父は痩せて小さくなっていた
野菜作りが趣味なので日焼けしてますます小さく見えた
母が私に
「最近車の運転が危ういの。だからもう軽自動車に変えましょう、と言ってるの。遠出するときは電車かバスにするわ」
といった
私は彼らが70歳になったのを改めて感じさせられた
彼らに何をしてあげられるだろう?
帰りに
野菜や栗、お米など持って帰りなさいと用意してくれた
うちでは食べきれないわ、と言うと
うちだって食べきれないからと笑っていった
お友達にあげてね、と
別府湾パーキングに車を停めた
高台から別府の街を見た
これが私の生まれた街よね
うちに帰ってきてお隣さんや近所の友達に栗を配ってあるいた
この栗は母が朝から一つ一つ泥を拭いて入れてくれた栗だった
友達は
売っている栗より立派な栗ね、と喜んだ
私は母に電話をし
喜んでもらえたよ、と伝えた
母が
良かった、また野菜ができたら送るね
あなたも無理しないでね
がんばりすぎよ
私はうん、わかった、ありがとうといって電話を切った
涙が溢れてきて止まらなかった






