アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記 -27ページ目

アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記

大阪府羽曳野市にある『アイリス動物病院』です。
「犬や猫の病気について」と「看護師日記」を掲載していきます。
大切な家族であるわんちゃん、猫ちゃんが健康で長生きしていくためのお役に立てればと考えています。
是非ご覧下さい。

避妊手術をしていない中高齢の犬や猫では、子宮・卵巣・乳腺などの病気が比較的多くみられます。

今回はその中で、乳腺みられる乳腺腫瘍についてのお話です。

ところで犬や猫の乳腺がどこにあるかご存知ですか?
人と違い、犬や猫はお腹全体に8~10個ほどの乳頭があります。
つまり乳腺はほぼお腹全体に広がっているということになります。

$アイリス動物病院のブログ-乳腺




では犬や猫では乳腺腫瘍はどれくらい発生してしまうものなのでしょう。

では未避妊の女の子の腫瘍で最も多く、約50%が乳腺腫瘍であり、またそのうち約50%が悪性腫瘍(がん)といわれています。
なんと、人の乳腺腫瘍の発生率の約3倍もあります。

これに比べ、の乳腺腫瘍は全腫瘍のうち3番目に多くみられます。
犬と同様に、10~11歳くらいの高齢で発生する事が多く、早期の避妊手術で発生率を減らす事が出来ます。


しかし犬と猫の乳腺腫瘍では大きく異なることがあります。

それは、猫の方が悪性の可能性が高いということです。
犬でも約50%と決して低くはありませんが、猫では85~90%が悪性と極めて高い割合になります。
(人の乳腺のしこりでは10~20%が悪性であると聞いた事があります。産婦人科の先生、間違っていたらすいません。。。)



一般的にがんの治療法には、外科手術化学療法(抗がん剤)放射線治療などがありますが、今のところ悪性の乳腺腫瘍の完治を目標とした治療には、早期の外科手術以外に確立された方法はありません。


ここでちょっと怖いデータをご紹介します。
乳腺腫瘍に対して、片側の乳腺を全て切除した場合の予後報告です。
● 腫瘍サイズが3cm以上であれば、術後の中央生存期間は4~6ヶ月
● 腫瘍サイズが1cm以内であれば、術後の中央生存期間は3年以上


つまり「1cm以下の小さなシコリでも様子をみている場合ではない」という事です。

わかりやすく言えば「シコリが見つかったら出来るだけ早く手術をしましょう。」という事です。

発見、手術が遅れるとリンパ節や肺への転移が高率で起こります。そうなると手遅れになってしまいます。

中高齢以降の女の子のわんちゃん、ねこちゃん(特に避妊手術をしていない子)は乳腺に小さなシコリが出来ていないか、マメに触ってあげるようにして下さい。


アイリス動物病院
院長