手術の後や関節痛などで、お家のわんちゃん、猫ちゃんは痛みを感じていませんか?
人と違い、動物達は自分から、「痛いっ!」とは言ってくれません。動物達は痛みを我慢し、大きなストレスとなってしまいます。
これは「動物のいたみ研究会」が示している痛みに対する症状です。
★ 犬の急性痛:http://www.dourinken.com/download/pdf/q3.pdf ★
★ 犬の慢性痛:http://www.dourinken.com/download/pdf/q4.pdf ★
当てはまる項目が無いか、チェックしてみてください。
手術をしたから仕方が無い。大人しくなったのは歳をとったから。それで片付けてしまっていませんか?
近年、動物の痛みに対する考え方は大きく変わってきています。
去勢手術や避妊手術、またその他全ての手術では、当然大きな「痛み」を伴います。
ひと昔前であれば、
「少しぐらい痛がっている方が大人しくできる」
「痛み止めを使うと傷の治りが悪くなる」
という考え方が一般的で、鎮痛処置はほとんど実施されていませんでした。
そのため動物たちは、痛みでうずくまってしまい、痛みで食欲が無くなってしまう事がよくありました。
しかし現在では人の医療でも、手術後の痛みをできるだけ少なくすることが傷や身体全体の回復を早めると考えられています。
また積極的な手術前、手術中、手術後まで鎮痛処置を施すことで、麻酔の安定、麻酔薬の減量、さらには麻酔からよりスムーズに覚醒する事が出来るようになります。そのため麻酔薬による副作用も軽減する事が出来るのです。
<動物病院でよく用いている鎮痛薬の例>
●局所麻酔薬:マーカイン、キシロカイン注射液、キシロカインスプレーなど
傷の痛みや、痛みを伝達する神経をブロックする場合に用いられます。
またキシロカインは不整脈の治療薬としても用いられます。
●非ステロイド系消炎鎮痛剤:プレビコックス、メタカムなど
主に手術、術後の鎮痛として用いられます。
また、関節炎などの慢性の痛みの管理などにも用いられます。
●非麻薬性オピオイド:ベトルファール、レペタンなど
主に術中、術後の鎮痛として用いられます。
また、ベトルファールは鎮咳作用もあり、咳止めとしても用いられます。
●麻薬性オピオイド:モルヒネ、フェンタニルなど
主に中等度~重度の痛みを伴う手術や、癌による痛みなどに対して用いられます。
●その他:ケタミンなど
主に術中、術後の鎮痛として用いられます。
これらの鎮痛剤は、それぞれ身体の中で作用する機序や部位が異なります。そのため関節炎などの慢性痛や外傷、さらには手術、骨折、癌などの様々な痛みに対して、これらの鎮痛剤を組み合わせる事(マルチモーダル鎮痛)で、さらに効果的な鎮痛が期待出来ます。
痛みを見つけ、うまくコントロールすることで、動物達の痛みのストレス、そして痛そうにしている動物達のそばにいる飼主様の精神的なストレスも和らげることが、私たち動物病院の役目だと思います。
気なる症状がございましたら、動物病院にご相談下さい。
アイリス動物病院
中村