犬と一緒に自転車を走らせ、


あるクライアントのお宅の玄関を開けた。






中年女性のそのクライアントは、


実際には会ったことがないけれど、


クライアントであることには、


夢のうちでは微塵の疑念もない。




今回、


婦人のペットである、


犬からの相談で、


急いでいたから、


婦人の許可は取らずに、


横暴にお宅にお邪魔した。




犬は、


ずいぶん前からボケていて、


婦人は犬を可愛がってはいたけれども、


ボケに関して、


見限ってもいた。




なので、


何事かを伝えなければならない犬の、


必死な訴えが、


明晰であったにもかかわらず、


婦人は相手にしてくれなかった。




そこで犬はジブンに相談に来た。




もはや犬もクライアントである。




犬の主張を、


すぐにでも伝えなければと、


熱くなって、


婦人のお宅に駆けつけた。




途中、


急いでいたのに、


スーパーで、


虫のから揚げを食べた。


たいへん美味。


犬はそのとき、


そばで人のふりをしていた。






ジブンは犬の主張を、


ちゃんと伝えられただろうか?




そのあたりの記憶がないけれども、


犬は、


たわんだ自身の皮をたぐって、


それでジブンの手をくるみ、


歯があたらないようにアマく、


何度も噛んだ。




ジブンは感謝されているんだと、


嬉しく感じ、


そして、


「こいつ、もう先がないな」


と思った。






“からだ”の夢/夢の“からだ”




そして、

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