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少し前に遡りますが、7月にもう2本、素敵な舞台を鑑賞いたしましたので簡単に紹介いたします。
7月8日日、高知にて行われた一の宮バレエ研究所第38回発表会昼の部を観て参りました。
2008年、2009年、2011年に続いて4回目の鑑賞です。
新国立劇場バレエ団の山本隆之さん、谷桃子バレエ団の下島功左さんがゲスト出演されました。
第1部はバレエコンサート、小さな生徒さんから大活躍です。
最後を締めたのはラ・フィーユ・マル・ガルデのパ・ド・ドゥ、発表会の定番ですが、生徒さんの女性が溌剌と満面の笑みで踊り切り、パ・ド・ドゥだけでも恋人への思いが伝わって印象強く残りました。
パートナーはこちらの研究所出身で新国立の研修所を経て現在新国立劇場バレエ団アーティストの宇賀大将うかひろゆきさんが踊りました。
この日の1週間前までマノンに出演されていて、物乞いのリーーの仲間役という大きな役での活躍は記憶に新しく、今後どんな役に抜擢されるか楽しみです。
第2部はお待ちかね、『くるみ割り人形』より第2幕です。
幕が開くと出演者全員が勢揃いしてポーズを取っていて、その華やかさと余りの眩しさに客席のあちこちから感嘆の声が漏れていました。
隣席の6歳位の女の子も、お母様と一緒に拍手を送りながらきれいきれいと目を輝かせていました。
そして中央には、山本さんの王子のお姿がありました。
爪先立ちでアチチュードのポーズを取る金平糖の精の腰に優しく両手を添え、骨の髄まで高貴さが染み通るそのお姿は輝くばかりに美しく、照明の光をも跳ね返すほどでした。
パドドゥにおいても金平糖の精に終始礼を尽くし、一瞬の隙も無くおとぎの世界に観客を導いていらっしゃいました。
クラシックバレエはこんなにも美しい素晴らしい芸術であると改めて気づかせてくださったように思います。
ところで、上演時間や準備など諸々の理由でクララと王子の舟旅や到着後、クララが事の成り行きを説明する場面は省略、できればある方がより嬉しかったのは正直な心持ちです。
王子に恋心を抱いて身を委ね、大人への階段を上りつつクララの姿や彼女の心や舟の揺らめきを投影させたかのような2幕冒頭の音楽に通称どんぶらこのテーマ観客も一緒に旅をしている気分になれます。
また、再度登場したねずみの王様に勇敢に立ち向かう王子を見て優しさだけでなく強さも兼ね備えた頼もしい男性に感じるからであります。
この場面で忘れられない舞台があり、ここで少し2年半前のエピソードを紹介いたします。
2010年1月に兵庫県の三田市で行われた新国立劇場バレエ団によるバレエハイライト公演でのことです。
第1部はガラコンサート、第2部は牧阿佐美前監督版『くるみ割り人形』より第2幕という構成で主役陣は金平糖は本島美和さん、王子が山本隆之さん、クララが伊東真央まちかさんでした。
くるみが始まり、クララと王子の乗った舟が到着してここまでの経緯をクララが説明し始めねずみの王様が登場した途端会場のあちらこちらから笑い声が聞こえてきたのです。
東京の公演では全く無かったことで、驚いてしまいました。
どうやら、恐怖を超えたグロテスクな容貌に笑うしかなかったようです。
それに冷静に考えてみれば、2幕からの上演でしたのでねずみの王様はこのときが初登場、確かに目にしたときの衝撃は強いことでしょう。
そんな笑い声が収まらぬ中においても王子と王様は真面目に一騎打ちをしきちんと職務遂行したのでありました。
さて、簡単と言っておきながらまた長くなってしまいました。
飛ばして行きます。
第3部は『オズの魔法使い』、研究所オリジナルの創作バレエです。
発表会のときは必ず1作品は取り入れているようで、これまでに鑑賞した、アリババ、ヘンゼルとグレーテルともに1幕仕立ての分かりやすい筋運びでしたので期待が膨らみましたが、今回も見応えある楽しい作品でした。
ドロシーやかかし、ブリキなどお馴染みのキャラクター達が生き生きと登場します。
ドロシーに新たな仲間が加わって出発する度に流れていたのはプロコフィエフの『3つのオレンジへの恋』、『シンデレラ』で王子がシンデレラに珍しいオレンジを贈るときにも使われている曲です。
不可思議な行進曲が未知なる冒険に繰り出そうとしているドロシー達にぴったりでした。
そして今回は山本さんもご出演、タイトルロールでした。
実は年老いた詐欺師という役柄で、タキシードにシルクハットで眼鏡というお洒落な服装ですが行動はおどおどしていてどこか挙動不審、巨大なマシンに囲まれ楽しそうに操作していたもののあっけなくドロシー達に追い詰められてしまいました。
実に短い出番でしたが山本さんの高い演技力と芸域の広さに裏スタービーチ感服です。
3年前の第35回の公演『シンデレラ』では王子役で出演されていたのですが、一の宮先生のアイディアがあちこちで光りユーモアに富んだ人物として描かれていました。
ガラスの靴の持ち主探しの最中お供する友人や道化が疲れて倒れ込むと喝を入れる熱血体育会系な王子で、そうかと思えば靴に無理矢理足を入れようと試みる継母にショックを受け直立姿勢のまま後ろに倒れ、あわやというときに道化に後ろを支えられるという人間味のある王子を好演されていたのでした。
完全無欠な王子よりもずっと魅力があると今思い出しても感じます。
品格を保ちつつ弾けるところもあり、比率が絶妙でした。
簡単と書いておきながらまたもや長くなってしまいこれでは詐欺師と同じになってしまいますのでこのあたりで締めにいたします。
今回は一度に正反対の役柄を2役拝見でき、まことに喜ばしい土佐滞在となりました。