ある チアリーディングクラブの活動 その6
次の日曜日に県内のスタジオに行かされた。
「やあ、いらっしゃい。カメラマンの大和といいます」と名刺を差し出してきた。
「かえでと七海でーす」
「時間が無いから行こうか?」
「え、ココで撮るんじゃないんですか」
「ああ、なんか手配違いがあったみたいで、ここのスタジオは使えないんだ」
「ふーん」
「すぐ、そこだから。機材はもう車に積んであるから、乗ってくれる」
言われるがままに後部座席に二人座った。
30分ほど車を走らせて、着いた先は木々に囲まれた貸別荘のようなところだ。
「着替えは隣の部屋を使って」
「ポンポンは持ちますか?」
「ポンポン?・・ああ、いいねえ」
二人はちょっと警戒心を露にしてユニフォームの下には途中で買って来たユニクロのかわいいインナーをつけてカメラの前に立った。
「いいじゃん。ちょっと表情が硬いね、楽にして」
「はい」
「ところで岬ちゃんは元気にしてるの?」
「キャプテンをご存知なんですか?」
「あれ?聞いてないの?最初にあの子を撮ったのがきっかけさ」
「ああ、そうだったんですか」
その会話をきっかけにずいぶん空気が和んだ。その間もシャッターはドンドン切られる。
「じゃあ、立ってまわってみて」
「ハイ、こうですか」
「ウン、いいよ。そう、もう一枚。髪の毛掻きあげてみよう・・・グッジョブ」
「足を上げてみて」
「レッツゴー、レッツゴー」
「それって足上げるときの条件反射?」岬もそう言って足上げてたもんナ」
「あはは、そーなんだ。まあ、癖って言えばそうかも。足の高さが違ってくるんですよ」
「フーン、あ、ところでその紺色のブルマ、かわいくねえな」
「でも決まりのユニフォームですから」
「学校名は隠すよ。隣の部屋のロッカーに撮影用の服そろえてあるから、ちょっと着替えてきて」そういって携帯を取り出し、誰かと電話を始めたので拒否するきっかけを失っていた。
ロッカーには白いブルマーが置いてあった。
「七海、コレブルマーだよ。ああ、よかった」しかし手にとって見るとビキニサイズのブルマーだった。
「よかったって・・コレへそ出しになるよ、きっと。短いもん」
「おへそくらい良いじゃん。キャプテンもやったんだし」
「ええ、うん、まあ」
履き替えてみるとハイレグブルマー?お尻がはみ出しそうだった。
「おーい。時間が無いんだ。契約は五時アウトなんだよ」
「ハイ。しょうがないよ。行こう」
かえでのほうが度胸がいい。
「お、やっぱりコレでなくちゃね。カシャ、カシャ、カシャ。二人ともモデルクラブにもう登録してる?」
「いえ、してないです」
「うっそー、もったいないなあ」
クラブでそういうの禁止なんです。そーか。岬ちゃんもそう言ってたなあ、遠慮じゃなかったんだ。おれさ、東京のいい事務所知ってるから紹介しよっか?最初は今日みたいなバイト感覚から始めればいいんだよ。日曜日とかさ。うん、ソファーに寝てみて。そう、そっちの君、うん、かえでちゃん。君なんか引っ張りだこだぜ、きっと。そのボーイッシュ姿。かえって凄い色気で、でくらくらするよ。えーほんとですか?まじまじ。お尻をこう突き出す感じで、いいねえ。よーし、ラストカット。ちょっとブラのとこまで服あげて。よーし。いいぞ。ラスト!ハイお疲れさん。
着替えて良いよ。あの、これどんな雑誌に出るんですか?まあ、編集者に送ってみて採用になるかどうかも、これからだし、でも雑誌決まったら連絡する。後で携帯教えてよ。
これ、今日のギャラ。二人分は入ってるから。糊付けされた封筒を貰った、あれ?領収書とかサインは要らないのかな。いいよ、コレはまだ僕のポケットマネーでお願いしてる仕事だから。駅まで車で送るから。そーか、君たち同じクラスなんだ、仲いいねえ。もしよかったらまた頼むよ。売れない写真家なんてモデルさんの力頼みなとこあるからね。
相手のペースで会話がドンドン進み、口を挟む隙を与えない。
駅に降ろされてやっと二人の会話が出来た。
「全然、危なくなかったね」「そう、あのハイレグ履かされたときはやばいことになるんじゃないかと心配したよ」「でも凄いいい人だったじゃん」「うん、まあね」
かえでは誉められて有頂天になっていた。電車に乗って封を切ると一万円札が一枚。
あれ、二人だと二万じゃないの?それともクラブには先渡ししてあるのか?