二人は あほやま大学の門をくぐり、サクラの花びらの残り少なくなった通りを歩いて学科まで行き休学願いを提出した。学食で飯を食った。
「私ね、キャンパス生活に憧れがあるの。私高卒なの。警察学校に行ったけど、花のようなキャンパスライフはなかった。うらやましいわ」
神崎は周りを見渡し受験の時に見かけた女の子を見つけ「あ、あの子だ。ちょっと話かけたい子がいるんですけど・・」
「彼女?私も一緒に側で話聞くことになるけどいい?」
「え、気恥ずかしいな。これから仲良くなろうという軟派の手口をばらすみたいでいやだなあ」
「解ったわ。じゃあ、5mはなれたところで見てる。それでいい?」
「じゃ、ここに座ってて、隣のテーブルで話すから」
神崎は女の子に声を掛けに行った。5分程立ち話をした後に隣のテーブルに座って話した。
手紙を渡し、「じゃ宜しく」
「終わりました」
「何か手紙渡してたみたいだけど」
「彼女は入試のときに一度話したことがあって・・可愛いから今度あったら手紙渡そうと思ってたんです。しばらく休学するからいつ会えるかわからないけどそれまでの授業のノート見せて欲しいって話したんです。
実際は「ノートの隠し場所」を記した紙を渡して復学したら返して欲しい・・と依頼したのだ。
警察に戻ってリュウザキ管理官と今まで彼の立てた仮説を討論し否定した。
実際ノートのことや事件の細かいことを忘れているので神崎の話す言葉は素人の想像と変わりない。
リュウザキ管理官は隠し事をしているのではないと感じているはずだ。
神崎を軟禁して3日目。
事件が起こった。
オクラテレビ祭りの会場で、婦女暴行の罪で有罪執行猶予になった男が小さな子供が遊べるコーナーでいきなりせんずりを始めたというのだ。
事件は午後3時に警察に連絡が入った。
男の名前は近藤武蔵という。
前科3犯の41歳。
幼女誘拐未遂、覘き、下着泥棒・・・女性を狙った犯行が多い。
子供広場は大きな立方体の発砲スチロールの積み木が置いてあり子供達はそれを積んで遊んだり転がしたりしていた。
そこへ41歳の男が積み木を山積みにして遊んでいると保護者から不満のクレームが警備員に入り、警備員が注意したところ、積み木の中で下半身裸で性器をいじっていたというので警察に連絡してきた。
警察が現場に駆けつけてみると、男の周りの積み木にはザーメンが飛び散り、父兄と子供は遠巻きに見ているという状況だった。
オクラテレビのカメラが2台出て中継していた。
女子アナが近藤武蔵の前科を伝え「これもオナの処刑のひとつでしょうか?今回の罪は公然猥褻罪、迷惑防止条例違反などに当たると考えられます。いったんスタジオへお返ししま~す」
「スタジオにはこの手の犯罪に詳しい山之内元弁護士においでいただいてますので、コメントをお願いしたいと思いますが」
「そ~ですね。この容疑者は過去3回、婦女子を対象にした犯罪を犯してますが、過去3回とも精神不安定、責任能力なしという事で不起訴になってますが、こういう男を野放しにしてはいかんですな」
「これももしかしたらオナの性犯罪人を対象にした処刑の説もあるんですが」
「もしそうだとすると、この近藤はせんず・・いや・・おな・・えー、自慰行為によって死に至るという事でしょうがまだソコンところは解りませんねェ」
「あ、今警察により手錠を掛けられてパトカーに乗せられて現場をあとにするところです」
「あ、こちら現場の三橋です。いま、犯人は車に乗せられて会場を後にするところです。現場は騒然としており、混乱しております。いま、先導のパトカーが・・記者が駆け寄りフラッシュがしきりに焚かれて、いま、犯人の顔をオクラテレビのカメラが捕らえました。
あ、いま白いモノが吹き上がりました。パトカーのガラスも白く汚れております」
「白いモノは何だと思われますか?三橋アナ」
「えー、たぶん、そのう、犯人の体液かと思います」
「すると犯人はパトカーの中でも猥褻な行為を止めていないという事ですね」
「私にはよく解りません」
「三橋さん、何回くらい体液が出たか教えてください!」
「始めから現場にいたわけではありませんので・・お隣にいる父兄の方に聞いてみたいと思います」
「おい、俺は三橋アナに聞いてるんだよ」
「えー音声の具合が悪くて・・現場からの中継を終わります」
「くそ!スペシャルゲストの西川先生にお聞きします。一般成人男子では続けての射精は何回が可能なんでしょう?」
「いやあ、私は年収4000万以下はちょっと・・・」
「先生、よく聞いてください。年収ではなく可能回数です」
「一晩に7回が今まで最多ですね。でももう別れました」
「先生?」
「でもザーメンは男性ホルモンですから女性の肌にはいいですね・・」
その晩オクラテレビは何度もこの放送をニュースとして流した。
他の局は映像がない。
その場にいた父兄の携帯の写真を流したが、迫力に欠けて視聴率ではオクラテレビがトップに立った。
この事件の間中、神埼とリュウザキ管理官は同じ部屋で同じ時間を過ごしていた。
「なあ、神崎君。君がオナがとしたらなぜオクラテレビを選ぶ?」
「はて、俺はオナじゃないんで解りませんが、オクラテレビはオナの見方だと公言してるくらいですから・・」
「ノートは犯人に時間と場所も指定できるのかな?」
「この場合の犯人はどちらでしょうか?」
「オナをするほうだ」
「デスノートによるとそこまで指定できるはずですよね」
「これは仮説だが、指定できるとすれば神崎、お前がノートの書き込んでおいて、警察に来たとも考えられるな?どうだ」
「それは言えます。可能です。ただそんなノートが実在し、指定できるとすればですけどネ」
「くそー!犯人はどうした?今着く?檻に放り込んどけ!男のマスなんか見たくもない。そうだ。指紋と写真取ったら病院に連れて行け。どうせ今晩中に死ぬだろう」
「はっ解りました」
「病院には後で小池を行かせる。見張りはマスコミ除けに一人でよかろう」
「大池さんの間違いでは・・」
「はっ、ああ、いや、大池巡査は、実は毛深くてな、それであだ名が濃い毛なんだ。あは、あは、あは・・」
「リュウザキさん。もしかしたら第2のオナの出現じゃありませんか?」
「ほーう、何故そう思うか?」
「デスノートではそういう展開があったから・・・」
「デスノート、デスノートってそう漫画通りに行くかな?」
「さっきリュウザキさんの仮説もデスノート参考にしてるんじゃ・・」
小池巡査は近藤の監視に当たっていた。
足元に立ち「かばんの中身を確認させてもらいますよ」
「あうっあぎゃ!」
「何聞いても答えて呉れないと解ってるけど・・あ、この白い粉の入った袋は何?」
・・・・「口利けないものね・・きゃ、あ~あ、制服汚しやがって!1m下がって尋問しないと、飛んできちゃうわ」
「えーこれは証拠物件として押収します。あとでリストに・・・きゃ、またついた。エロ馬鹿インポめ!あ、インポじゃないか!コンドーム野郎が!あと1m下がろう」
近藤は腰だけピコピコさせている。手錠を背中でされているので手はつかえない。
「えーと、覚せい剤は誰から買ったの?ひゃ、また飛んだ!どこまで飛ぶのかしら」
「これ以上逃げようがないわ。しようがない、隣の部屋で。ガラスの向こうに行けば大丈夫」
「大体女のあたしに見張り番って何考えてるんだか・・・あたしの魅力にああ腰を振るんだわ。どう?近藤ちゃん、こんなポーズ感じる?」
スカートをちょっと捲って見せた。
「わっ!ガラスに飛んできた!よーしそれなら・・」
彼女は制服の下にガーターベルトをしていた。
なみの男でも欲情する。
「ほらほら見える?」
「ビシッ!」仕切りのガラスのひびがはいった。
そして近藤は口を空いたまんまこと切れていた。
つづく