さて、今回取り上げますのは、「職務質問のための実力行使」(最高裁平成6年9月16日第三小法廷決定)です。

 

この判例は、どのような点を争っているのかをつかむことが最も大切です。

端的に言うと、違法収集証拠ではないかという大きな争点の中で、捜査の適法性が議論されています。

この点をしっかりと捉えることが重要です。

これまで何回かお話ししていますが、判例百選を読む際のポイントは、自分が実務家ならどうするかという視点で読むことです。

その視点で、これも何回か示している論証の型(下記)に沿って本判例を分析してください。

①設問の事実関係を分析して、適用が問題になりそうな条文を指摘する

②その条文の各要件を挙げる

③各要件の中で法解釈が必要なものについて解釈論を述べる

④法解釈した内容に沿って本件の事実関係に当てはめる

⑤本件での結論を述べる

 

本判例は、できれば第1審判決から遡って読んでみたほうが良いです。

百選の記載だけでは、何が争点で、裁判所がどのように述べているのかがつかみにくいように思います。

 

また、ちなみに本判例に関して言うと、本件の弁護人は、1審をA弁護士(判例検索システムにお名前明記されていますので、ここでも示しても良いのでしょうが、念のため伏せます)、控訴審・最高裁をB弁護士が担当されています。

おそらく1審の福島地裁では国選として福島県弁護士会所属のA弁護士、控訴審の仙台高裁では、宮城県弁護士会所属のB弁護士が担当され、最高裁では、B弁護士がそのまま私選弁護人として就かれたのかと思います(1審から私選だったのかもしれませんが、私選か国選かまでは、私が利用している判例検索システムには明記されていませんので、推測です)。

で、注目していただきたいのは、最高裁での弁護人を担当されたB弁護士ですが、現在(2021.6)も弁護士をされているようです。

本判例は平成6年(1994)に出されたものです。

B弁護士がご自身の法律事務所のHPで述べられている経歴を拝見すると、平成3年に弁護士登録されたとあります。

ですので、本件を担当された当時は、弁護士登録して3年目ということです。

登録3年目というとまだまだ登録したての新人と言えますが、その時点でも最高裁で、しかも、後に判例百選に載るような判決に携わることがあるということです。

 

 

この判例を読む際には、自分も司法試験に合格して弁護士登録すると、こうした事案にすぐに当たる可能性があると思いながら読んでいただけると、本判例を興味深く読めるかと思います。

 

内容のお話は次回ということで、今日はここまでということで。

ありがとうございました。