2019年度  116本目の劇場鑑賞


巨匠ケン・ローチ演出の労働者階級家族の苦悩を描いた社会派のドラマ。


また、重く心にずっしりくる映画を観てしまった。


イングランドの北東部に住む4人家族の父親リッキーはやっとフランチャイズ制の宅配の仕事を得ることができた。

会社のマネージャーはフランチャイズ制の良いところ、総て自分都合のスケジュールで仕事ができる、ノルマが無い、やればやるほど収入になる、と良いことばかりを並べていたが現実は厳しく、フランチャイズとは会社が一切の責任を取らないだけ。ペナルティーも重い。


母親のアビーは介護の仕事を朝7:30から夜9:30までしていて子供と顔を合わす時間も少ない。


この手の映画に出てくる父親はとんでもないポンコツで何をやっても上手く行かず、失敗を総て他人のせいにするようなキャラクターが多いがこの作品は違う。


父親のリッキーは良く働き、母親のアビーは介護士の鏡のような女性で、二人とも子供たちを心から愛している。


両親二人は長時間労働でいつも疲れている。

だんだん皆がイライラするようになり、子供たちも荒れてくる。本当は二人とも良い子なのに。

息子のセブは学校に行かなくなり、娘のライザは父親を家に留めておこうと悪さをしてしまう。


万引きをしてしまったセブが情状酌量で放免される時に警察官が彼に行った言葉が一番印象に残った。こんな立派な注意をしてくれる警官がほんとにいるのだろうか。


ニヤッとできたのは応援するサッカ-チームの違いでリッキーと宅配の客が言い争う場面だけ。


親の子供に対する無償の愛、親しか頼るものが無い子供、そして家庭が壊れかけても働き続けないといけない厳しい社会。


強いと思っていた父親が泣く姿を見るのは一番辛い。

最後まで救い、光が見えない心が痛くなる作品だ。


途中少し弛み気味の部分はあったが良質な作品で映画の意義、役目などを考えさせられた。


 評点・・・★★★★ 4
『多くの国で格差が広がってゆく。人類には誰もが納得できる社会システムは構築できないのだろうか。』