(sheen 新作)
2019年度 79本目の劇場鑑賞
鉄道運転士の親子の愛情と友情をブラックユーモアで包んだオシャレなクロアチア・セルビア映画
定年が近い独身の鉄道運転士イリアは今まで28人を事故で「轢き殺し」てしまっている(冒頭のシーンでも6人が乗ったワゴン車と衝突し、全員が死んでしまう)。事故なので過失は無く、数が増えるに従って鈍感になってきてはいるが遺族にはいつも敬意をもって接していた。
危うくのところで事故を免れ、イリアに養子として育てられたシーマは大人になり、イリアの反対を押し切って同じ鉄道運転士になる。先輩たち(イリアの同僚でもある)から「轢き殺し」を経験していない運転士は一人前ではない(童貞だ)との話を多く聞き、いつその時が来るのかとノイローゼになってしまう。
果たしてシーマは無事に(無事に?)初体験をすることができるのか?
まずはセルビアだ。バルカン半島中西部は多くの民族が共存し、紛争が絶えない地域の一国との印象しか無い。スロベニア、ボスニア、クロアチアなど昔は皆ユーゴスラビアだった新しい国だ。小生も行ったことはなく、風景を含めイメージが沸かない。そんな国の映画だから見逃すわけにはゆかない。
それほど経験豊かなスタッフが多くいるとは思えない国の作品だがまずは映像が素晴らしい!落ち着いた光と自然な照明。ちょっとした合成画像も高技術ではないがセンスが良い。
また音楽も美しく、古いフランス映画のようであり、民族曲のようでもある。
同僚たちやガールフレンドなど皆魅力的でなんとなく謎に包まれている。住まいも鉄道関連なことは分かるが不思議な場所で、多くの花を栽培している(これは段々理由が想像できるようになる)。以前にも書いたことがあるが細かい説明的な(余分な)シーンが無く、観客の想像力が試される作品は大好きだ。
臨床精神科医とのやり取り、自殺志願者への頼み事、皆が「轢き殺し」を特別なこととしない会話など、笑えるシーンが多いセンスの良い作品だ。
評点・・・★★★★ 4




