思えば、平々凡々な人生を歩んできました。
虫を殺してしまったことに罪悪感を抱きながら虫を見かけては嫌がるような、普通の少女でした。
親に殴られても蹴られても罵声を浴びせられても、そんな親が好きだった、普通の少女でした。
親戚が遺産争いでもめて大人の汚いところを見せつけられても、私はああはならないと思うような、普通の少女でした。
いじめられていた友人を暴力で助けることしかできない、普通の少女でした。
内輪もめで傷つき疲れた友人を抱きしめることで自分を確立していた、普通の少女でした。
人前に出るのが嫌なくせに、発表の時に誰もやらないので司会を務める、普通の少女でした。
変わらない私が好きだと友人が言うので、5年間一切変わらずにいたら、友人が全く知らない風貌に変わっていた、普通の少女でした。
いつ会っても同じテンションでへこんでいるところなんて見たことがない、と言われるような、普通の少女でした。
自分のことを嫌ってくる人が嫌いな、普通の少女でした。
逆に、自分のことを好いてくれる人さえ嫌いな、普通になりきれない少女でした。