海外市場への展開を目指す中小企業にとって、製品のデザインや意匠を保護することは競争力を維持するために欠かせません。本記事では、海外市場での意匠登録の重要性と、ハーグ協定を活用した国際的な出願の方法について解説します。


1. 海外市場を視野に入れた意匠登録の必要性

グローバル化が進む現代では、国内市場にとどまらず、海外市場に進出する中小企業が増えています。しかし、優れたデザインの製品を他国で販売する際、意匠権がないと模倣や不正使用のリスクが高まります。
例えば、意匠登録がされていない国では、競合他社にデザインを模倣されても法的手段を講じることができず、ブランド価値や収益に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

以下の点を念頭に、海外での意匠登録を検討しましょう:

  • 模倣防止:他国での模倣品や不正競争からデザインを守る。
  • 市場競争力の確保:独自性をアピールし、消費者や取引先からの信頼を得る。
  • ビジネス拡大の基盤:グローバル市場での知的財産権保護により、海外パートナーとの取引も円滑に進められる。

2. ハーグ協定を活用した国際意匠登録出願

国際的に意匠を保護するには、ハーグ協定(正式名称:意匠の国際登録に関するハーグ協定)が有力な手段となります。この協定に基づく国際意匠登録出願は、一度の申請で複数の締約国における意匠登録を可能にする効率的な制度です。

ハーグ協定の主な利点

  1. 一括手続き
     複数国への意匠出願を、一つの申請書で対応可能。手間やコストを削減できます。
  2. 柔軟な選択肢
     保護を希望する国を自由に選択でき、状況に応じて追加の国を指定することも可能です。
  3. 簡便な管理
     更新や変更の手続きも一括で行えるため、意匠権の管理が容易になります。

利用手続きの流れ

  1. 申請準備
     意匠の詳細、希望する保護国、出願者情報を準備します。デザイン図面や写真も提出が必要です。
  2. 国際事務局への出願
     世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局を通じて申請を行います。
  3. 各国での審査
     指定国ごとの審査に基づき、登録の可否が判断されます。

注意点

  • ハーグ協定の締約国でない国は対象外になるため、対象国を確認してください。
  • 国ごとの審査基準や登録要件の違いを理解しておく必要があります。

まとめ

中小企業が海外市場で成功を収めるためには、意匠の国際的な保護を確保することが重要です。ハーグ協定を活用することで、効率的かつ効果的に複数国での意匠権を取得できます。この制度を上手に活用し、グローバルなビジネス展開の基盤を整えましょう。

 

 

ゲミニ

海外市場でデザインを守る!ハーグ協定を活用した国際意匠登録出願

1. なぜ海外で意匠登録が必要なのか?

グローバルな競争が激化する中、自社の製品を海外へ展開する中小企業が増えています。しかし、海外で自社製品のデザインを保護しなければ、模倣品が出回ったり、デザインが不正に使用されたりするリスクが高まります。

海外意匠登録のメリット

  • 模倣品防止: 自社製品のデザインを模倣した商品が出回るのを防ぎ、ブランドイメージを守ります。
  • 市場競争力の強化: 独自のデザインで差別化を図り、海外市場での競争力を高めます。
  • ビジネスチャンスの拡大: 海外企業との取引やライセンス契約を円滑に進めることができます。

2. ハーグ協定とは?

ハーグ協定は、複数の国で意匠登録を簡便に行える国際条約です。この協約を利用することで、一つの手続きで複数の国での意匠登録を申請できます。

ハーグ協定のメリット

  • 手間とコストの削減: 複数の国に個別に申請する手間とコストを大幅に削減できます。
  • 迅速な手続き: 一括して手続きを進めるため、迅速に登録を進めることができます。
  • 柔軟な対応: 保護を希望する国を自由に選択でき、状況に応じて追加することも可能です。

3. ハーグ協定を利用した国際出願の手順

  1. 申請準備: 意匠の詳細、希望する保護国、出願者情報などを準備します。
  2. 国際事務局への出願: 世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局を通じて申請を行います。
  3. 各国での審査: 指定した各国で審査が行われ、登録可否が決定されます。

4. ハーグ協定の注意点

  • 締約国: ハーグ協定は全ての国が加盟しているわけではありません。希望する国が締約国であるか事前に確認が必要です。
  • 審査基準: 各国の審査基準は異なるため、注意が必要です。
  • 費用: 出願費用に加え、各国で別途手数料が発生する場合があります。

5. 海外意匠登録のよくある質問

  • Q. 海外意匠登録はどのくらい時間がかかるのですか? A. 国によって審査期間は異なりますが、通常1年~2年程度かかります。
  • Q. 海外意匠登録にはどんな費用がかかりますか? A. 出願費用、審査費用、翻訳費用など、様々な費用がかかります。
  • Q. 自社で手続きを行うことはできますか? A. 可能ですが、専門知識が必要となるため、専門家への相談をおすすめします。

6. まとめ

海外市場で成功するためには、自社のデザインを保護することが不可欠です。ハーグ協定を活用することで、効率的に海外意匠登録を進めることができます

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株式会社経営知財研究

弁 理 士 矢口和彦事務所

意匠第9回:意匠権と他の知的財産権の違い

知的財産権は、企業が持つアイデアやデザイン、ブランドを保護するための重要な手段です。しかし、意匠権だけでなく商標、著作権、特許など多様な知的財産権が存在するため、その違いや役割を正しく理解することが大切です。

本記事では、意匠権と他の知的財産権との違いを解説し、それらを組み合わせた総合的な知財戦略の重要性を紹介します。


1. 意匠権とは?

意匠権は、製品の**デザイン(形状、模様、色彩)**に関する独自性を保護するための権利です。

  • 対象: 製品の外観デザイン(視覚的に認識されるもの)
  • : 家具のフォルム、バッグの装飾、家電の外観など
  • 保護期間: 登録から25年間(更新不可)

意匠権は製品の見た目を保護するものであり、他の知的財産権とは異なる役割を果たします。


2. 商標、著作権、特許との違い

(1) 商標権

  • 役割: 商品やサービスのブランド名やロゴを保護
  • 対象: 名前、ロゴ、スローガンなど、商業活動における識別標識
  • 保護期間: 登録後10年(更新可能)
  • : スポーツブランドのロゴ、企業名、商品名
  • 意匠権との違い:
    商標は「ブランド」の識別を守るものであり、外観デザイン自体を保護する意匠権とは異なる。

(2) 著作権

  • 役割: 創作物(文学、音楽、絵画、デザインなど)を保護
  • 対象: デザインのうち芸術的要素が強いもの(例:絵画や彫刻)
  • 保護期間: 創作者の死後70年(国による差あり)
  • : キャラクターデザイン、イラスト、音楽作品
  • 意匠権との違い:
    著作権は登録不要で発生するが、製品の形状や実用的なデザインは保護対象外となる場合が多い。

(3) 特許権

  • 役割: 技術的アイデアや発明を保護
  • 対象: 新規性のある技術、機能、仕組み
  • 保護期間: 出願から20年(一定条件で延長可能)
  • : 新しいエンジン技術、医療機器の構造
  • 意匠権との違い:
    特許は製品の「機能」や「技術」を保護するもので、見た目を保護する意匠権とは目的が異なる。

3. 知的財産権を組み合わせた総合的な戦略

中小企業が競争力を強化するためには、意匠権だけでなく他の知的財産権も活用し、総合的な保護戦略を構築することが重要です。

(1) ブランド構築に商標を活用

  • 戦略例:
    製品のデザイン(意匠権)を保護すると同時に、製品名やロゴ(商標権)を登録。
    : 特徴的なバッグデザインを意匠権で保護し、ブランドロゴを商標で登録。

(2) 芸術性の高いデザインに著作権を活用

  • 戦略例:
    意匠権で保護できない芸術的デザインは著作権で守る。
    : 製品外観を意匠権で保護し、製品カタログのイラストは著作権で保護。

(3) 技術革新と意匠を組み合わせる

  • 戦略例:
    製品の技術(特許権)と外観デザイン(意匠権)を同時に保護し、総合的な競争力を高める。
    : 新しい調理家電の機能を特許で、独自のデザインを意匠で保護。

(4) 模倣品対策に多面的な権利を活用

  • 戦略例:
    模倣品が登場した場合、意匠権・商標権・著作権を組み合わせて訴訟や警告を行う。
    : デザインをコピーした模倣品に対し、意匠権と商標権を根拠に差止請求。

4. 成功事例:知財権の組み合わせで競争力強化

事例:インテリア雑貨メーカーB社

  • 課題: 人気商品の模倣品が市場に出回り、売上が減少。
  • 対応:
    1. 商品の形状を意匠権で保護。
    2. 商品名を商標権で登録。
    3. カタログデザインを著作権で守る。
      結果: 模倣品業者に対し、複数の権利を活用して法的措置を実施。模倣品の販売停止に成功し、ブランドの信頼性を回復。

製品ラインナップの充実やバリエーション展開は、多くの中小企業にとって競争力を高める重要な戦略です。しかし、デザインの一貫性を保ちながら商品ごとに意匠を保護するには、効率的で柔軟な仕組みが必要です。そこで役立つのが「関連意匠制度」です。

本稿では、関連意匠制度の概要とその活用法、さらに商品ラインナップに合わせた効果的な意匠戦略について解説します。


1. 関連意匠制度とは?

関連意匠制度は、基本意匠(本意匠)と類似性を持つ意匠を保護するための制度です。これにより、製品ライン全体のデザイン統一性を守りつつ、個別の意匠権を取得することができます。

  • 制度のポイント
    • 本意匠と「類似する」意匠であれば、関連意匠として登録可能でした。法改正により2020年4月から、本意匠と類似していなくても、登録された関連意匠と類似していれば関連意匠として登録が可能となりました。
    • 本意匠の出願日から10年以内に出願する必要があります。
    • 本意匠と関連意匠は独立した意匠権として保護されるため、それぞれ個別に権利行使が可能です。
  • 活用例
    • 本意匠:椅子の全体デザイン
    • 関連意匠:脚部のデザインが異なるバリエーションや肘掛けを追加したモデル

2. 関連意匠制度の利点

  1. シリーズ製品を一貫して保護
    • デザインの統一感を維持しながら、個々の製品に対応する意匠権を取得できます。これにより、シリーズ製品全体の模倣を防ぎやすくなります。
  2. コスト効率の向上
    • 本意匠と関連意匠を組み合わせることで、全体意匠を1件ずつ出願するよりも効率的に保護できます。
  3. 柔軟なデザイン展開が可能
    • 本意匠を起点に複数のバリエーションを登録することで、市場のニーズに合わせた製品展開を容易にします。

3. 関連意匠制度の活用法

商品ラインナップに合わせた意匠戦略として、関連意匠制度をどのように活用するかを以下に紹介します。

  1. シリーズ製品の一括保護
    • 同一ブランドで、デザインを統一した製品ラインを展開する場合に有効です。
    • 例: 同じ形状を持つ異なるサイズのバッグ、色や素材のバリエーションを持つ家具。
  2. 派生モデルへの適用
    • 本意匠を登録した後、マーケットの反応に応じて新しい派生モデルを開発する場合に利用します。
    • 例: スマートフォンケースの基本デザインから、カラーバリエーションや特定部分を改良したモデルを関連意匠として追加。
  3. 競合の模倣を阻止
    • 本意匠だけではカバーしきれない類似デザインを関連意匠で登録し、第三者による模倣を効果的に阻止します。
  4. 将来の展開を見据えた戦略
    • 本意匠を登録後、5〜10年以内に関連意匠を追加出願することで、長期的な保護を計画します。

4. 関連意匠制度の注意点

  1. 類似性の判断基準
    • 関連意匠として認められるためには、登録された本意匠または関連意匠と類似性があることが必須です。類似性が不明確な場合、拒絶されることもあります。
  2. タイムリミット
    • 本意匠の出願日から10年を超えると、関連意匠としての出願はできなくなります。タイミングに注意が必要です。
  3. 本意匠の維持が重要
    • 本意匠が無効となった場合、関連意匠も影響を受ける可能性があります。本意匠の維持に十分注意しましょう。

5. 成功事例:関連意匠でブランド価値を強化

事例:家具メーカーA社

  • 背景: A社は独自のデザインを持つ椅子を販売しており、異なるバリエーション展開を計画。
  • 本意匠登録: 最初に基本となる椅子のデザインを意匠登録。
  • 関連意匠登録: バリエーションとして、脚部の形状を変更したモデル、背もたれに装飾を追加したモデルを登録。
  • 結果: シリーズ製品全体を保護しつつ、競合他社の類似品を効果的に排除。ブランド価値が向上。

6. まとめと次回予告

関連意匠制度を活用することで、製品ラインナップ全体を効率的かつ柔軟に保護できます。中小企業がシリーズ製品の差別化やブランド強化を図る際に、この制度は大きな力を発揮します。

次回は意匠権と他の知的財産権の違いについて解説します。お楽しみに!

 

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株式会社経営知財研究

弁 理 士 矢口和彦事務所