イチロー今後は不透明「今日をもって元イチロー」(球団がイチロー選手の現役引退発表)<85分の会見 一問一答 も>
数々の金字塔を打ち立てた日本最高の安打製造機が、ユニホームを脱ぐ。日米通算4367安打(日本1278、米国3089)のマリナーズ・イチロー外野手(45)が21日、アスレチックスとの開幕第2戦(東京ドーム)後、引退を発表した。
静かにバットを置くイチロー
-監督になったり、指導者になったりする。イチロー選手は何になる
何になるんですかね。元カタカナのイチローになるんですかね。「元イチロー」って変だね。書く時どうなるんだろうね。どうしよっか。何になる…。監督は絶対無理ですよ。これは絶対がつきますよ。人望がない。本当に。人望がないんですよ、僕。いやぁ無理ですね。それくらいの判断能力は備えているので。アマチュアとプロの壁が日本の場合特殊な形で存在しているのでね。どうなるんですかね、そのルール。今までややこしいじゃないですか。自分に子どもがいて高校生だとすると、教えられないですよね。そうすると変な感じじゃないですか。今日をもって元イチローになるんで。それは小さな子どもなんで、高校生なのか、大学生なのか、分からないですけど、そこには興味がありますね。
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球団がイチロー選手の現役引退発表
シアトル・マリナーズが、イチロー選手の現役引退を発表しました。
数々の伝説を作ってきたイチロー選手。その名が広く知れ渡ったのが1994年。20歳で史上初のシーズン200本安打を達成。代名詞の「振り子打法」でヒットを量産、オリックス時代7年連続の首位打者に輝きました。
27歳のときに、日本人野手で初めてメジャーリーグへ。「マリナーズ・イチロー」が誕生。2001年のデビュー戦。メジャー初ヒットをマーク。この年、MVPと新人王に輝き、メジャーに「イチロー旋風」を巻き起こしました。守っても10度のゴールドグラブ賞を受賞。2004年には偉大な記録を打ち立てます。メジャーの記録を84年ぶりに塗り替える歴代最多シーズン262安打をマークします。
衰えを知らぬイチロー選手。そのバットから数々の大記録が生まれてきました。史上初となる10年連続のシーズン200安打。2012年途中から名門ヤンキースに移籍。2013年に日米通算4000本安打の偉業を打ち立てます。メジャーリーグだけで3000本以上のヒットを積み上げたイチロー選手。通算4367安打、世界中の誰よりもヒットを放ったイチロー選手。「最低50歳まで現役」を公言し、今年プロ28年目のシーズンをスタートさせました。
メジャー開幕第2戦の21日。2試合連続「9番ライト」でスタメン出場のイチロー選手。第1打席は3塁へのファウルフライ、オープン戦から今月20日まで26打席ノーヒット。この日も2打席を終えて、そのバットから快音は聞かれません。それでも守備ではメジャー初登板・菊池雄星投手(27)をしっかりバックアップ。「エリア51」と呼ばれたライトで安定感抜群のプレーを見せます。
そして迎えた第3打席。東京ドーム中、日本中、そして世界が願うヒットの瞬間。しかし、信じられない光景、バットが出ずに見逃し三振。第4打席、迫り来る最後の瞬間。世界の安打製造機、何とか最後の1本を・・・。しかし、この日も4打席ノーヒット。悔しさを噛みしめるイチロー選手、そして8回の守備へと向かったその時・・・。サービス監督がイチロー選手に交代を指示。日米通算28年、イチロー選手が第一線から退くことを明らかにしました。
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イチロー選手 現役引退、米メディア「神話だ」
現役引退を表明したイチロー選手について、アメリカメディアは「イチローは神話だった」などと功績を称えています。
イチロー選手がかつてプレーしたヤンキースの地元・ニューヨークの大衆紙「ニューヨーク・ポスト」は、「偉大な選手に留まらず、母国・日本ではエルビス・プレスリー、ベーブ・ルース、ビル・ゲイツを1人にしたような存在だった。彼は象徴であり、アイドルであり、神話だった」と評価する長文の記事を掲載しました。
イチロー選手の所属球団・マリナーズが拠点を置くシアトルの地元紙「シアトル・タイムズ」は、「彼はマリナーズが望んだ全てであり、それを上回る存在だった。2001年のシーズンでは年間116勝という記録にチームを導いた」と球団への貢献を称えています。
また、アメリカの有力な全国紙「ワシントン・ポスト」は、イチロー選手のかつてのチームメイト、長谷川滋利氏の言葉を引用して「日本ではマドンナやマイケル・ジャクソンのような存在だ」と紹介し、野球界のみならず、日本中で愛されていたと伝えました。
さらに、CNNテレビは、イチロー選手について「いずれ、アメリカの野球殿堂入りは間違いないだろう」と報じています。
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「人生最高のヒーロー」、シアトルでも惜しむ声相次ぐ
イチロー選手が所属するマリナーズの本拠地、アメリカ・シアトルではイチロー選手の引退を惜しむ声が相次ぎました。
「シアトルにあるマリナーズの公式グッズストアです。イチロー選手の人気は今も非常に高いということで、入ってすぐのところに商品が飾られています」(記者)
シアトル・マリナーズのホームスタジアムにある公式グッズストアでは今もイチロー選手の人気が根強いということで、ショーウィンドーにはイチローグッズがずらりと並んでいます。
イチロー選手が引退を表明したというニュースに触れた地元のファンからは引退を惜しむ声が相次ぎました。
「けさ、イチロー引退のニュースを見て、すごく感傷的になったよ。一つの時代の終わりだね」(マリナーズファン)
「とても残念だよ、50歳くらいまではプレーしてくれると思っていたからね。イチローは全てのスポーツ選手、俳優、歌手の中でも僕にとって人生最高のヒーローだよ」(マリナーズファン)
「僕は18歳だけど、イチローは自分の記憶の限りでは、ずっとマリナーズの顔だったよ。イチローは間違いなく、シアトルの象徴的な存在だよ」(マリナーズファン)
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日テレ、イチロー引退会見1分で中継終了「現役生活に終止符を打ち、引退することと…」ブチッ
イチローの引退会見は、午後11時56分開始という異例の「深夜会見」となり、テレビ各局の地上波放送では明暗が分かれた。
日本テレビ「news zero」は同57分に番組終了のため、中継は1分あまりで終了。イチローが「現役生活に終止符を打ち、引退することと…」と話しているところで番組が終了しCMに切り替わった。
フジテレビは、午後11時45分開始の「FNNプライムニュース α」で、テレビ東京は午後11時58分開始の「追跡LIVE!SPORTSウォッチャー」でともに会見の模様を伝えた。
TBSは「NEWS23」が同55分に終了したため冒頭部分の中継できず。テレビ朝日は「アメトーーク」でサッカーの特集、NHKは「歴史秘話ヒストリア」を放送したため、冒頭部分の中継はなかった。
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1:43:54
【全編】イチローが引退会見「後悔などあろうはずがない」(2019年3月21日)
https://www.youtube.com/watch?v=MoschCm4-XE
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「後悔などあろうはずがない」 イチロー選手が現役引退の会見で語ったこと【一問一答①】
イチロー選手は、一つ一つの質問に、言葉を選びながら、噛みしめるようにゆっくりと答えた。目が少し赤いようだった。
日本とアメリカで数々の記録を残してきたイチロー選手(45)が、3月21日、現役選手からの引退を表明した。アスレチックスとの試合後、東京ドームホテルで記者会見が行われた。
イチロー選手は、一つ一つの質問に、言葉を選びながら、噛みしめるようにゆっくりと答えた。目が少し赤いようだった。
一問一答は次の通り。
引退決めたタイミングと理由は?
タイミングはキャンプ終盤ですね。日本に戻ってくる、何日前かはお伝えできないですけど、終盤に入った時です。
もともと東京ドームでプレーするところまでが契約上の予定だったこともあったんですけれども、キャンプ終盤でも結果を出せずに、それを覆すことができなかったということですね
思い残すことは?
今日のあの、球場での出来事…あんなもの見せられたら…後悔などあろうはずがありません。
もちろんもっとできたことはあると思いますけど、結果を残すために自分なりに重ねてきたこと、人よりも頑張ったということは全く言えないけど、自分なりに頑張ってきたということははっきりと言えるので。
これを重ねてきて…まぁ、重ねることでしか後悔を生まない、ということはできないのではないかと思います。
子どもたちにメッセージを
メッセージかぁ…苦手なんだよなぁ…。
(考え込む)
野球だけじゃなくてもいいんです。自分が夢中になれるものが見つけられれば、それに向かってエネルギーを注げられるので、そういうものを見つけて欲しい。それが見つかれば自分の前に立ちはだかる壁にも向かっていける。たち向かうことができると思います。
それが見つからないと、壁ができると諦めてしまうということがあると思う。いろんなものにトライして。自分に向くか向かないかというよりも好きなものを見つけて欲しいと思います。
選手生活で一番印象に残っていることは
色々な記録に立ち向かってきたんですけど…そういうものは大したことではないというか。
自分にとって、それを目指してやってきたんですけど、いずれそれは僕ら後輩が先輩たちの記録を抜いていくということはしなくてはいけないことだと思いますが、そのことにあまり意味はないというか。そんな風に体験すると小さく見えてくる。その点で10年続けてきたMVPをとったとかオールスターとったとかは本当に小さいことに過ぎないと思います。
今日のあの舞台に立てたことというのは、去年の5月以降ゲームに出られない状態になって、それを最後まで成し遂げられなければ今日のこの日はなかったと思うんですよね。
去年の5月からシーズン最後の日まで、あの日々はひょっとしたら誰にもできないことかもしれない、というささやかな誇りを生んだ日々。
どの記録も自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたことかなと思います。
「イチメーター」のエイミーさんがいた。ファンはどんな存在か
実際にそれが起きて19年目のシーズンをアメリカで迎えていたんですけど、日本のファンの方の熱量は普段感じることが難しい。
久しぶりに東京ドームに来てゲームは静かに進んでいくんですけど、なんとなく印象として、日本の方は表現することが苦手というか、そんな印象があったんですけど、それが完全に覆りました。
内側に持ってる熱い想い。それが確実にあるということ。とても想像つかなかったことです。
最も特別な瞬間。自分のためにプレーすることが、チームのためにもなるし、見てくれる人も喜んでくれると思ったが、NYに行った後に人に喜んでもらうことが一番の喜びに変わってきたんですね。
その点でファンの人無くしては自分のエネルギーは全く生まれないと行ってもいいと思います。
おかしなこと言ってます?(笑)
「遠回りしないと本当の自分に出会えない」イチロー引退会見【一問一答②】
現役引退を表明したマリナーズのイチロー選手の会見の一問一答は次の通り。
イチローが貫いたことはなんでしょうか
野球のことを愛したことだと思います。
これは変わることはなかったですね。…おかしなこと言ってます、俺?(笑)
日本に戻ってプレーするという選択肢はなかった?
なかったですね。
最低50までって本当に思ってたし、でもそれは叶わずで、有言不実行の男になってしまったわけですけど、その表現をしなかったらここまでこれなかったかなとも思います。
難しいかもしれないけれど、言葉にすることは目標に近づく一つの方法だと思います。
これからどうするか
今は分からないですねぇ。でも多分トレーニングしていると思いますよ。じっとしていられないから、動き回っていると思いますよ。ゆっくりしたいとか全然思わないです。多分動き回っています。
イチローの生き様は
生き方という風に考えれば…先ほどもお話ししましたけれど、人より頑張ることなんてとてもできないんですよね。
自分に限界を生みながら、ちょっとそれを超えていく。そうするといつの間にかこんな自分になっていくんだ、となっていく。少しずつの積み重ねが…。それでしか、自分自身を超えていけないのではないかと思います。
一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎてそれは続けられないと、僕は考えているので。地道に進むしかない。進むだけではないですね、後退をしながら。ある時は後退しかしない時もあると思うので。
でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく。それが正解とは限らない。間違ったことを続けてしまう場合もあるんですけど、そうやって遠回りしないと本当の自分に出会えないので。(ファンの方の横断幕を見て?)ファンの方の気持ちですよね。ひょっとしたらそんなことを見ていただいていたのかなというふうに。それは嬉しかったです。
芸名はどうなるんですか? 監督という道も?
カタカナの「イチロー」ってどうなんですかねぇ。「元イチロー」になるんですかね。どうなるんだろうね。
あれ(笑)どうしようか…何になる…。うーん…
でも監督は絶対無理ですよ。これは「絶対」がつきますよ。人望がない。本当に人望がないんですよ、僕。
(そうでもないと思いますよ)
いやー、それくらいの判断力は備えているので。
ただ、どうでしょうね…まぁプロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁がどうしても日本の場合は特殊な感じで存在しているので。
今、ややこしいじゃないですか。どうなっているんですか? 確か自分の子供には教えられないというルールですよね。そういうのってなんか変じゃないですか。
引退時期について
引退というより、クビになるんじゃないかということはありましたね。
NYって特殊な場所です。マイアミも違った意味で特殊な場所です。毎日そんなメンタリティーの中で過ごしていたんですね。だからクビになる時は、そんなのはしょっちゅうですね。
今回引退を決意された理由というのを聞きたい
マリナーズ以外にいく気持ちはなかったというのが大きいですね。去年シアトルに戻していただいて、本当に嬉しかったし…先ほどキャンプ前での話をしたが、5月にゲームに出られなくなると。あの時でもおかしくないんですよね。でも春に向けて可能性があると言われて、そこも自分なりに頑張ってきたんですけれども…質問なんでしたっけ?
「厳しさが、野球の魅力」イチロー引退会見【一問一答③】
菊地選手、号泣してましたね
いや、号泣中の号泣でしょう、あいつ!それを見てこっちは笑ってましたけどね。
どんな会話をした?
それはプライベートなので。雄星がお伝えするのは構わないけど、僕が伝えるのはね。二人の会話だからね。それをこんなことを僕が言いましたって、バカだからね。それは言わないです。
アメリカのファンにメッセージはありますか
「日本に帰れ」ってしょっちゅう言われましたよ。
だけど、結果を残した後は……。手の平を返す、という言い方もできてしまうので。ただ言葉ではなくて行動で示した時の敬意の示し方というのは、その迫力はあるな、という印象ですね。なかなか入れてもらえないんですけど、認めてもらった後はすごく近くなるという印象で、がっつり関係が出来上がる。シアトルのファンとはそれができたような、僕の勝手な印象ですけど。
ニューヨークも厳しいところでしたね。でも、やればそれこそどこよりも、どのエリアの人たちよりも熱い思いがある。マイアミというのはラテンの文化が強い印象で、結果を残さないと来てくれない。
特徴がそれぞれありましたけれど、アメリカは広いなぁという印象ですけど。やっぱり最後にシアトルに来て、姿をお見せできなくて、それは申し訳ないという思いがあります。
弓子夫人への想いは
いやー、頑張ってくれましたね。一番頑張ってくれたと思います。僕はアメリカで3089本のヒットを打ったわけですけど、ゲーム前にホームの時は妻が握ってくれたおにぎりを食べるんですね。その数が2800くらいなんですよ。3000いきたかったみたいですね。そこは3000個握らせてあげたかったなぁと思います。
とにかく頑張っていただきました。僕はゆっくりしないけど、妻にはゆっくりしてほしい。
それと一弓ですね。我が家の愛犬ですね。芝犬なんですけど、現在17歳と7カ月。今年で18歳になろうかという芝犬なんですけど。さすがにおじいちゃんになって来て毎日フラフラなんですけど、懸命に生きているんですよね。その姿を見ていたらそれは俺頑張らなきゃなって…
これはジョークとかではなく。あの懸命に生きる姿。僕が現役を終える時まで一緒に過ごせるとは思っていなかったので、これは大変感慨深いですね。感謝の思いしかないですね。
イチロー選手が一番我慢したことは?
難しい質問だなぁ。僕、我慢できない人なんですよ。我慢が苦手で、楽なこと楽なことを重ねている感じなんですね。自分がやりたいことを重ねている感じなので、とにかく体を動かしたくてしょうがないので。体を動かしたくて我慢をするということはたくさんありました。それ以外は自分にとってなるべくストレスがないように行動してきたつもりなので。
今聞かれたような趣旨の我慢は思い当たらないですね。おかしなこと言ってます?(笑)
野球はどういう存在か
団体競技なんですけど、個人競技だというところですね。ここは野球の面白いところです。チームが勝てばそれでいいかというと、そうではない。個人の方でも結果を残さないと生きていくことはできないですよね。チームとして勝っていればそれでいいんじゃないか、という考え方もできるんですけど、決してそうではない。その厳しさが魅力であるということは間違い無いですね。
あと、同じ瞬間が無いということ。必ずどの瞬間も違うということ。これは飽きがないですよね。
悲しんでいるファンは何を楽しんだらいいか。
2001年に僕がアメリカに来てから、今は2019年。全く違う野球になりました。
頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつような……現場にいる人たちは全員感じていることだと思うんですけど、しばらくはこの流れは止まらないと思うんですけど。本来野球というのは...だめだ。これをいうとまた問題になりそうだな…
(野球は)頭使わなきゃできない競技なんですよ。でもそうじゃなくなってきているのが、どうも気持ち悪くて。野球がそうなってきていることに危機感を持っている人って結構いると思うんですよね。
だから、日本の野球がアメリカの野球に追随する必要って全くなくて…。日本の野球は、頭を使う面白い野球であってほしいと思います。せめて日本の野球は、決して変わってはいけないこと。変わってはいけないことを大切にしてほしいと思います。
「孤独で苦しんだ体験が未来の自分の支えになる」イチロー引退会見【一問一答④】
子供の頃からの夢であるプロ野球選手になるという夢を叶えて、イチローさんは何を得たと思っていらっしゃいますか。
成功かどうかわからないですね。どこから成功なのか、僕には判断できない。
だから僕は成功という言葉は嫌いなんですけど...メジャーリーグに挑戦するということは、大変な勇気だと思うんですけれど、ここはあえて成功と表現しますけど、成功すると思うからやってみたい。それができないと思うから行かないという判断基準では、後悔をうむだろうなという風に思います。
やりたいならやってみればいい。やりたいと思うなら挑戦すればいい。その時にどんな結果が出ようとも後悔はないと思うんですよね。それで勝ち取ったところで達成感があるかというとそれは微妙だと僕は思うので。基本的にやりたいと思ったことをやるのがいいと思っています。
何を得たか...。うーん。まぁこんなものかなぁという感覚ですかね。
勝つのってそんなに難しいことじゃないなって思っていたんですけど、勝利するのは大変なことです。この感覚を得たことは大きいかもしれないですね。
甲子園から、プロ野球、大リーグへと挑戦してきた。もっと大リーグに挑戦しやすい制度、日本の育成制度への思いは?
制度に関しては詳しくないんですけれども、日本で基礎を作る。自分が将来MLBで活躍するための礎を作るという考え方であれば、できるだけ早くというのはわかりますけど、日本の野球で鍛えられるということはたくさんあるんですよね。だから制度だけに目を向けるというのは、違うんじゃないかなと思います。
日本の野球で鍛えられたところは?
基本的な基礎の動きというのは、日本だったらアメリカの野球に比べたら中学生レベルの方がうまい可能性がありますよ。それはチームとしての連携もあるじゃないですか。そんなの言わなくたってできますからね、日本の野球は。
大谷翔平選手への期待は?
世界の翔平にならなきゃいけない。翔平との対戦、僕がピッチャーで翔平がバッターでやりたかったです。僕がピッチャーで、翔平がバッター。そこは誤解ないよう(笑)
投げることも打つこともやるなら、1シーズンごとにピッチャー、次はバッターって…それで最年少とホームラン王を獲ったら…。考えることもできない。でも、翔平はそれを想像させる。その二刀流は面白いなと。
野球選手じゃなかったら?
違う野球選手になってますよ。
お腹がへっててきて集中力が…。だから、(プロ選手でなくても)野球で楽しくやっていると思うんですけど。きっと草野球を極めた。真剣に草野球を極める野球選手だったと思います。
お腹減ってきた、もう結構やっていないですか? 今時間どれくらい? 1時間20分…
小学生時代の自分にどんな言葉をかける?
お前、契約で1億ももらえないよ(笑)
ドラ1(ドラフト1位)の(契約金)1億って卒業文集に掲げてましたけど、ある意味では挫折ですよね、これは(笑)
こんな終わり方でいいのかな…なんかキュってしたいね最後は
孤独感をずっと感じながらプレーしていたのか
現時点では、全くないですね。
アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと。
アメリカでは僕は外国人ですが。このことは...外国人になったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れてきましたね。
この体験というのは...本を読んだり、情報を取ることはできたりしたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。
孤独を感じて苦しんだことは、多々ありました。ありましたけど、その体験は、未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います。
だから、辛いこと、しんどいことから逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でも、エネルギーのある元気な時にそれに立ち向かっていく。そのことは、すごく人として重要なことなんじゃないかなって感じています。
深々と一礼をしたイチロー選手。最後まで涙は見せなかった。
「みなさんも、そろそろ、帰りますか? ね!」
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どんな英雄にも、いつか終わりは来る。
夕方になって、
「第一線を退く意向」
という速報が流れ、日本での凱旋興行だった対アスレチックス第2戦の出場をもって現役を退くことが濃厚となったシアトルマリナーズ・イチロー選手。
去年、一度選手登録を外れた(が、引退とは明言しなかった)時から、来年の開幕シリーズを見据えて復帰する、という観測は流れていたし、自分は、実績のある選手であればあるほど「ボロボロになるまで続けて最後はマイナーリーグとかどこかの知らない国のリーグで選手生活を終える(あるいはフェイドアウトしていく)」という生き方のほうが格好いいな*1、と思っている口なので、あれだけ飛びぬけた実績を残したイチロー選手が、よく言えばいかにも日本的な引退興行、悪く言えば″客寄せ”の演出に使われて終わり、ということになってしまうのだとすると、ちょっと寂しい気もする*2。
ただ、そこは選手一人ひとりの美学とか、(引退後も見据えた)一種の打算で決めてよい話なのであって、外の素人たちがとやかくいうことではない。
そして、会社に入りたての頃、海を越えて歴史を塗り替え続けていた彼の存在が、様々な「壁」を超えることへの心理的な恐怖感を無意識のうちに取り払ってくれていたことを考えれば*3、もう何でもいいや・・・と。
イチロー選手が海を渡ってから18年、その後の日本選手の成功と失敗の歴史の中で、今や日本人選手が海を渡ることへのインパクトも当時とはくらべものにならないくらい薄れてしまったが*4、心のどこかで、生きている間にもう一度同じような興奮を味わえたらな、と思わずにはいられない。
そして、何年たっても消えない、そんな麻薬のような効果を頭の中に刷り込んでくれたのが、野茂英雄選手であり、意外性の男・世界の新庄であり、そして、最後まで第一線にいたイチロー選手だったのだ、ということに、今、自分は改めて気づかされているのである。
*1:ここはやはり野茂英雄選手の影響が強いのかもしれない。
*2:オープン戦終盤に絶不調に陥った、というニュースが流れていた時には、「無理」と思わせて日本に来た途端に決定的なヒット、ホームランを連発するのでは?という妄想にも陥っていたのだが、やはり、あの年齢で、約1年近く公式戦のグラウンドに立たずに過ごしたブランクを跳ね返せるほど、メジャーリーグは甘くなかった、ということなのだと思う。
*3:もっとも、あの頃はイチローと並んで、新庄剛志、という自分的にはスーパースターがいたし、イチロー選手がヒットを積み重ねた日よりも、新庄選手がとんでもないホームランを打った日のほうが気分が高揚していた、というのは、ここだけの話である。
*4:この記念すべき日に、菊池雄星選手がメジャー初登板を飾った、というニュースも、今やそれに気を留める人がどれだけいるかわからないくらいの些末な話になってしまった。
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