週末の日曜日に遠征又はマリンに行かないというのは久しぶり。
ということもあり、朝から長男と映画館にお出掛け。
「オリエント急行殺人事件」・「ナイル殺人事件」に続いてのケネス・プラナー版エルキュール・ポワロ3作目「ベネツィアの亡霊」
アガサ・クリスティは10代の頃、相当数ハヤカワ文庫にて読みました。
そう僕は生粋のミステリーファンなんです。
一方長男はというと、金田一少年やコナンを見て育ったので、こちらもまあミステリーファンの端くれではあります。
昨今のミステリーのトリックは複雑すぎて、そうだったのか的な騙し方が面白くない。
その点クリスティは、ミステリーの女王だけのことはある。
いつも僕ら読者の推理を良い意味で裏切ってくれます。
この映画、原作は「ハロウィンパーティ」という作品なんだそうです。
でも僕の記憶にそんな題名のアガサ・クリスティの作品の覚えがない。
ボケてきたのかな?
あるいは文庫本のタイトルが違っていたのか?
どちらにしても、クリスティ作品の中で原作を知らない作品の映画化なので、純粋に犯人探しを楽しもうと映画に臨みました。
今回のケネス・プラナー版ポアロは、前作・前々作と、原作を踏まえながらもオリジナルエピソードをブランドしてる点が新しいっちゃ新しい。
このシリーズ、ポワロの若かりし頃と恋愛が挿入されてます。
それを了と見るか否と見るかで、ケネス・プラナーの評価へと繋がるやも知れない。
僕は古い人間なので否とという立場だけど。
舞台は、水の都ベネツィア。
ポワロが引退の地としてこちらを選んだという設定。
原作では引退したのは、スタイルズ荘の近くで、カボチャを作ってはずなんどけどね。
(スタイルズ荘の怪事件参照)
そのベネツィアで、降霊の会に出席したポワロが、そこで起きる連続殺人の謎に挑む。
というストーリー。
水上都市ベネツィアで嵐の中、孤立した屋敷の中で起きる殺人。
閉ざされた空間にであるから、容疑者は屋敷の中の全員であり、犯人はその中にいるという、クローズドサークルマーダーは、クリスティの得意とするところであり、ミステリーの王道。
(余談だけどそのシチュエーションでの傑作と言えば「そして誰もいなくなった」だと思う)
その屋敷で数年前に死んだ女の子の声を聞くという降霊が行われます。は
集まったメンバーは、死んだ女の子の母親、家政婦、作家、医者、医者の息子そして降霊師。
降霊の会の後に起きる殺人。
嵐の中で孤立した中、第二の殺人が起きる。
果たして犯人は誰か?
かつて自殺した娘の事件に、今回の降霊がいかに関わったのか?
これらの謎をポワロが解きほぐす、というお話。
ミステリーという作品の性質上、内容として書けるのはここまで。
感想も、本筋に関わらない範囲で述べたい。
ケネス・ブラナー版ポワロは、オリエントにしろナイルにしろ、そして今回のベネツィアも、登場人物の紹介と造形が甘い、と思う。
いかに容疑者が怪しく見せるか、その個性を際立たせるか、それがミステリーを見る者に対するエチケットであると思うです。
その辺がどうしも切り込みが甘く、犯人探しに興向が感じない。
と思う。
いわゆる、そうだったのか! 感もまた甘い。
ポワロの好きなホット・チョコレートみたいに甘い。
それとプラナーのポワロがフランス人に見えないのも難点。
「ベルギー人です」という決め台詞の無いのも不満。
脚本家に灰色の脳細胞の冴えが無い。
キャスティングそのものも不満です。
オリエントは、きらびやかに彩られたスターを集め、それはAファニー版ポワロに劣らないキャスティングでしたが、ナイルになるとグッと落ちて、目新しさで言えばGガセットくらい。
そして今作になると、更に地味になり降霊師が「エブリシング・エブリデイ・オール・アット・ワンス」でアカデミー主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーくらいしか知らない。
ここまで地味だとこれはコケるだろう。
とすると第4弾はあるかな?