21日土曜の夜の映画の続きになります。
映画ハシゴしました。
洋画のアド・アストラ見た後なので今度は邦画「アイネクライネハトムジーク」を。


この舌噛みそうな邦題「アイネクライネハトムジーク」の意味は、「アイネ(ある) クライネ(小さな) ナハト(夜の) ムジーク(曲)」というモーツァルトの楽曲からとったんだそうな。
原作者伊坂幸太郎が好みそうな凝った題名だなと思ったら、シンガーソングライターの斉藤和義の依頼により書いた小説「アイネクライネ」から今度はそれに曲を付けたのが「ベリーベリーストロング」。
そして再び伊坂幸太郎が小説「ライトヘビー」を書いて応えるという交流から、連作小説となった題名なんだそうです。

なんだそうです、というのは、この小説未読だから。
結構伊坂幸太郎小説は読んでるんどけどね。
伊坂幸太郎の小説というのは、時系列を縦横無尽に使い、小さな出来事がやがて伏線に発展し、最後に物語のエンディングとしてのカタルシスを得る、というのが特徴だと思います。

小説では「ラッシュライフ」、映画化作品では「ゴールデンスランバー」が僕の選ぶベストかな。

そしてね、もう一つ井坂作品の特徴は、小説の中に善悪の概念を持ち込まない。
氏の小説の中には、泥棒や殺人鬼が登場するけど、それら登場人物を悪を悪として描くことせずに、魅力的な人物として描いてしまう。
ラッシュライフの泥棒やらゴールデンスランバーの殺人鬼なんてのがそれに当たると思う。

そんな期待を持って、ある種のクライム(犯罪)映画を期待したのだけど、それは見事に裏切られた。
伊坂幸太郎って、ラブストーリーも描くんだね。

仙台在住の伊坂幸太郎の作品の舞台は、いつも仙台です。
仙台の、街並みや駅前とかは、よーく知ってます。
毎年毎年対楽天戦見に行くからね。
だから主人公が映画の冒頭、街頭アンケートする場面。
駅前の歩道橋やバスターミナル、仙台での定宿であるメトロポリタン、、、それらが映し出されると、それだけで嬉しくなる。

そんな冒頭。
街頭アンケートする主人公が出会う女性。
街頭で唄うフォークソンガー。
そして物語の中心となる世界ヘビー級タイトルマッチとその街頭画像に興奮する観客たち。
それぞれの恋の行方が占われることになります。
大きな変化よりは、人の持つ出会いと優しさが映画に描かれます。
幾つかの恋が散りばめられ、それぞれが絡み合うジグゾーパズルのように発展していく様は、ラブアクチュアリーのようです。

物語の中で、そのまで重要とは言えないまでも、非常に難しいと思われたボクシングのシーンがしっかりと描かれていた点を僕は評価したい。
ともすると、こういうシーンをおざなりにしがちだし、そうすることによって、映画そのものが安っぽくなってしまうから。
ブライアン・デ・パロマの映画のワンショットワンシーンのボクシングの場面を思い出した。
題名が思い浮かばないけど。